原子力発電所を海上に浮かべることは可能だろうか?
サムスン重工業は7日、報道資料でデンマークの原子炉メーカー「シーボーグ」(Seaborg)と小型溶融塩原子炉(CMSR)を活用した「浮遊式原子力発電設備」製品開発のための技術協力協約を締結したと明らかにした。サムスン重工業が製作した海上プラットフォームにシーボーグが製造した発電設備を載せる方式だ。
サムスン重工業は、シーボーグとともに年内に最大800メガワット級の浮遊式原子炉発電設備モデルを開発し、船級認証と営業活動を始める計画だ。サムスン重工業は「溶融塩原子炉は一般の大型原子炉に比べ小さく、活用分野が多様で、核分裂のエネルギーを活用し二酸化炭素排出がなく、高い効率で電力を生産できる次世代エネルギー源」と紹介した。
海上原子力発電施設は、海に接するところならどこにでも訪ねて行き電力を供給できる。陸地に発電所建設が難しい北極など、海洋資源地や島嶼地域などに安定した電力供給が可能になる。原発建設地の住民の反対から自由であることも長所に挙げられる。
懸念も多い。安全性確保の問題だ。海上の悪天候に直接露出し、台風・津波などの影響を受ける。事故が起きれば、陸上に比べ迅速な対応が難しい。グリーンピースなどの環境団体が浮遊式原発設備を「浮かぶチョルノービリ(チェルノブイリ)」、「原子力タイタニック」などと呼んで批判する理由だ。
すでに稼動中の海上原発施設もある。ロシアは2019年に世界初の浮遊式原発「アカデミック・ロモノソフ」を完工した。大型のプラットフォームに35メガワット級の原子炉2基を設置し運営する方式だ。エネルギーの供給が難しいロシアの極地に電力と暖房を供給している。
サムスン重工業は「溶融塩原子炉は、原子炉内部に異常信号が発生すれば液体溶融塩(核燃料と冷却材)が固まるよう設計されており、高い安定性を確保した」と説明した。