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SK、90億ドルで米インテルのNAND部門を買収…同部門で世界2位に浮上

登録:2020-10-21 06:38 修正:2020-10-22 09:12
韓国最大のビッグディール、半導体市場に地殻変動 
世界NAND型フラッシュメモリー市場で2位に跳躍 
NANDのシェア20%で後発の弱点を克服 
DRAMへの依存度を下げ、事業構造を再編
グラフィック=キム・ジョンスク//ハンギョレ新聞社

 SKハイニックスによる米インテルのメモリー半導体(NAND型フラッシュメモリー)事業の買収は、世界の半導体産業の地形はもちろん、国内財界の勢力図にも変化をもたらす「ビッグディール」だ。今回の買収でハイニックスはDRAMだけでなく、NAND型フラッシュメモリー市場でも世界第2位に浮上する。現代自動車グループの後を追っているSKグループは、今回の取引で財界ランキング2位に躍進する可能性が高くなった。

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ビッグディールの背景は

 買収代金は10兆3千億ウォン(約90億ドル)で、韓国国内の買収・合併(M&A)史上最も規模が大きい。これまでの記録は2017年に米国の自動車電装メーカーを9兆3千億ウォン(約80億ドル)で買収したサムスン電子が保有している。今回の取引は、SKハイニックスとインテル両方の利害関係が一致したため実現した。まず、SKハイニックスは売上げの割合が70%を超えるほど、DRAMの依存度が高い。DRAM業況は属性上、周期的な騰落が大きいため、SKハイニックスの実績もそれに左右されてきた。事業ポートフォリオの調整が求められていたのだ。

 SKハイニックスのイ・ソクヒ代表は同日、役員と社員に送ったメッセージで、「NAND事業は開始がやや遅れたため、後発走者の弱点を克服するのは容易ではなかった」とし、今回の取引の背景を説明した。メリッツ証券のキム・ソンウ研究員は「SKハイニックスのインテル買収でNAND業界の供給者が減って交渉力が高まり、SKハイニックスは20%のシェアで規模の経済を実現できるだろう」と予想した。

NAND型フラッシュメモリー世界市場のシェア//ハンギョレ新聞社

 インテルは世界の代表的な半導体企業という位置づけとは裏腹に、非メモリー事業で技術競争力が弱いとされていた。非メモリー事業に力をより集中する必要があったという背景だ。非メモリー半導体技術を前面に押し出したNVDIAなど後発企業の攻勢がいつにも増して激しかった今年は、「インテルの危機」を指摘する声もあった。コロナ禍で非対面サービスが広がりを見せ、半導体企業が特需を享受している間、インテルの株価はむしろ大幅に下落した。すでに時価総額ではNVDIAを下回っている。インテルとしては、危機克服の突破口としてメモリー事業の売却を選択したわけだ。

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財界の勢力図にも変化

 今回の取引で、SKグループは一気に財界ランキング2位の座まで迫っている。昨年末、資産総額(公正資産)基準で、SKは9兆ウォン(約8300億円)前後の差で、現代自動車グループのあとを追っていた。SKの幹部は「契約上、来年各国政府から取引承認を受けることになれば、総額90億ドルのうち70億ドルを優先的に支払い、残金は取引が終結する2025年に支払う。インテル資産の所有権も代金支払い時期に合わせて変わる」と述べた。早ければ来年末頃、SKグループが財界ランキング2位に上がる可能性が高い。今回の取引で買収するインテルの資産は計7兆8千億ウォン(約7200億円)だ。

 SKグループは国内主要財閥グループのうち、最も積極的な買収・合併でグループの規模を拡大してきた。出資を通じて会社を設立した後、事業を多角化してきたほかのグループとは異なる。韓国の財閥グループが合併・買収に本格的に乗り出したのは、ここ2~3年のことだ。特にSKは2012年に3兆ウォン(約2800億円)を投じてハイニックスを買収した後、再び今回の取引が成立したことで、10年も経たないうちに半導体産業をグループの核心事業軸として位置づけた。サムスン電子が約30年間半導体産業に力を入れてきたのとは対比を成している。

 主要グループ事情に詳しいある財界関係者は「ここ数年、産業環境が急変するにつれ、新しいビジネスを探すための大企業の買収・合併の動きが活発になっている」とし、「大規模取引で財界順位が変わるなど、財界の勢力図が揺れ動く現象が頻繁に現れる可能性がある」と述べた。

 一方、同日有価証券市場でSKハイニックスの株価は、前日比1500ウォン(1.73%)安の8万5200ウォン(約7900円)で取引を終えた。取引開始直後、前日に比べて2700ウォン(約250円)までしばらく上昇した後、取引時間中弱勢が続いた。

ク・ボングォン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/966518.html韓国語原文入力:2020-10-21 02:03
訳H.J

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