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韓火とのビッグディール、サムスン理事会会議録が半日で消える

登録:2014-11-27 20:32 修正:2014-11-28 19:36
金融監督院公示から削除され…公示規定違反の有無に注目
取引条件など詳細に書かれ…韓火取引提案の時点は8月
韓国取引所の電子公示システム//ハンギョレ新聞社

 1997年外国為替危機当時に進行された財閥グループ間のビッグディール(大規模な吸収・合併)以後、取引代金基準で最大規模のサムスングループと韓火グループの株式持分取引の細部条件が記録されたサムスン理事会の議事録が、わずか半日で金融監督院・韓国取引所の電子公示システムから削除された。 当局は、資本市場法ないし取引所公示規定違反の可能性に慎重な態度を取っている。

半日で消えた理事会議事録、公示規定違反?
金融当局「慎重」VS サムスン「単純ミス」

 28日、金融当局とサムスン関係者らの話を総合すると、サムスン物産は27日午前9時、サムスン総合化学の持分売却と関連した内容を公示しながら、該当決定をした理事会議事録を添付文書として上げた。しかし、この文書は4時間ほど公開されただけで、跡形もなく消えた。主要財閥間の大規模持分取引であり市場参加者たちの耳目が集中した状況で、取引関連重要文書が半日で特別な説明もなく消えたわけだ。

 市場の一部では、サムスン物産のこのような行為に対して公示規則違反があったのではないかという意見がある。 公示内容が変わっただけに別途の「訂正公示」手続きを踏まなければならなかったというのだ。 特に公開されたが削除された理事会議事録には、公示本文に含まれていない細部取引条件まで入っていたために、議事録を見た投資家とそうでない投資家の間で投資意志決定にも少なからぬ影響を及ぼす恐れがあったという点も単純なハプニングとは見難いという見解も侮れない。

 公示手続などを管理・監督する当局の立場は慎重だ。

 金融監督院企業公示局キム・ジンウク副局長は『ハンギョレ』との通話で、「公開義務がある添付書類ではなかったため公開したものを撤回したからと言って、公示規定違反にはならないと思われる」と話した。 ただしキム副局長は「投資決定に大きく影響を及ぼしたり、サムスン物産側の故意があったとすれば、資本市場法上の株式不公正取引や不正行為に該当する素地はある」と話した。

 金融監督院内で別の意見を出す幹部もいる。イ・グンヨン企業公示局公示3チーム長は「削除された議事録に(公示本文にはなかった)重要追加情報があるならば、訂正公示手続きを踏むのが正しい。問題は議事録に含まれていた情報の重要度」と、多少異なる立場を取った。

 もちろんサムスン物産側が公示規定に違反したと言っても、過怠金や罰金などの措置は受けない。該当公示は資本市場法による公示(金融監督院公示)ではなく、韓国取引所公示規定による取引所随時公示であるためだ。取引所公示規定に違反した場合は、通常、不誠実公示法人に指定されるだけで措置は終えられる。

 従ってサムスン物産側の議事録削除要請を受け入れたのも取引所だ。取引所側は公示規定違反の可能性を一蹴する。 イム・フンテク取引所公示1チーム長は「添付された議事録は公開義務書類ではない。このような場合、該当法人から非公開の要請があれば、取引所は受け入れる」と話した。 イム チーム長はまた「このようなケースはたびたびある。 さらには公示本文と関係のない内容がミスで添付されるケースもある」と付け加えた。

 公示を翻意した当事者であるサムスン物産側は公示担当実務者のミスと抗弁する。 ハン・グァンソプ サムスン物産広報担当専務は『ハンギョレ』と会い、「公示を担当している若い職員のミスで起きたことだ。 内部的に法的検討をしてみたが、大きな問題はないと把握された」として、公示違反などの拡大解釈を警戒した。 サムスングループ内部では、理事会議事録を公開したサムスン物産側に不都合な話が少なくないという。 サムスン関係者は「絶対に必要な情報だけを外部に公開するグループ文化の特性から今回の議事録公開を敏感に見る内部の視線が多い」と話した。

削除された理事会議事録にはどんな内容が?
取引代金調整基準など詳しい内容が含まれていた

 公示規定違反の有無はさておき、半日だけ公開されたサムスン物産理事会議事録に含まれていた内容も注目を引く。 公示本文には抽象的に含まれている細部取引条件の一部が、この議事録には含まれている。

 先ず、関心を集めた取引代金が指摘されている。サムスンと韓火側は27日に報道資料を出し、実態調査過程を経た後に売却代金(1兆600億ウォン、1ウォンは約0.1円)の調整は1000億ウォン内外だと公開した経緯がある。 議事録にはサムスン物産がサムスン総合化学の保有持分38.35%のうち19.88%を売却した代価として3204~3658億ウォンを受け取るとされている。 サムスン総合化学の持分を保有するサムスン電子などの系列会社別持分率に基づいて『ハンギョレ』が調査してみると、サムスングループ全体が受け取る売却代金は9300億~1兆1600億ウォンだ。 サムスングループのある系列会社の高位役員は「今回の取引に参加したすべての系列会社が、サムスン物産と同じ契約条件を持っている」と確認した。

 取引代金調整の具体的な基準も議事録には含まれていた。 ひとまず国内吸収・合併取引では珍しいアーンアウト(earn-out)方式で契約が締結されたために、市場の関心を集めた部分も議事録で見ることができる。 アーンアウト方式とは、売り物件の今後の営業成果に応じて追加で売却代金を購入者が支払うことを意味する。サムスン物産の公示本文で「営業成果により追加代金受領可能」と表現している。

 議事録を見ると、公示本文で表現された営業成果の主体はサムスン総合化学ではなく、サムスントータルとされている。 サムスントータルは、サムスン総合化学が持分50%を保有している子会社だ。 また、サムスントータルが2017年と2018年の二度にかけて前年対比営業利益が5%以上増える場合に限り、韓火側はサムスン物産にそれぞれ172億5000万ウォンずつを定額支給するよう取り決められている。 サムスングループ全体が受け取れる最大金額は1000億ウォンだ。

 売却代金の減額条件も指摘されている。 基準は二つだ。 売却実態調査を通じて2014年基準でサムスン総合化学のエビータ(EBITDA)実績値から展望値を引いた値に持分率をかけた値を調整金額としている。 エビータは法人税引き前、利子支払い前、減価償却前の利益を意味する財務用語で、企業の現金創出力を計る指標としてよく使われる。 またもう一つの基準は、売却にともなう従業員特別賞与金だ。 一定額まではサムスン総合化学が負担し、その超過分に対してはサムスン総合化学の持分を持っているサムスン系列会社が負担するとされている。

 また、議事録には今回の持分取引がなされることになった日程も記述されている。今年8月末、韓火側が先に吸収提案を行い、今月6日に吸収提案書にサムスンと韓火の両社が合意した。 その後24日まで契約書交渉が進行された。 これは持分取引の事実を明らかにした27日に韓火側が“防衛産業の競争力強化を検討している間にサムスンにサムスンテックワンの買収を提案し、再びサムスンテックワンが大株主であるサムスン総合化学も併せて買収すると提案した」と発表した内容と合致する。

 そのほか、議事録にはサムスン総合化学が売却されても従業員は勤労基準法により5年間の雇用と処遇水準を保障するという内容も含まれている。

世宗/キム・ギョンナク記者、ファン・ボヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/666460.html 韓国語原文入力:2014/11/27 18:18
訳J.S(3270字)

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