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直径40メートルの「サメの合コン」目撃…「一人ぼっちが繁殖する方法」

登録:2022-09-16 06:51 修正:2022-09-16 08:48
[アニマルピープル] 
絶滅危惧種の“一人ぼっち”のウバザメ、ベールに包まれた繁殖についての情報 
晩夏から秋に成体6~23匹が集まり「スピードデート」 
直径17~39メートルのドーナツ形になり、ぐるぐる回って恋人探し
ウバザメが円筒形をとり一方向に曲がっていく様子。世界的に珍しい観察されたこの行動は交尾をする儀式だという事実が明らかになった=アイルランド・ウバザメ・グループ提供//ハンギョレ新聞社

 世界の温帯の海の表面をゆっくり遊泳し、巨大な口を開けて動物プランクトンを食べるウバザメは、成長すると7~8メートル、最大の個体は12メートルにのぼる大型のサメだ。

 ジンベエザメに次ぐ大きな体だが、性格は穏やかで、ボートやダイバーの接近を許すことが多い。しかし、乱獲により現在は世界的に絶滅危惧種だ。

 過去200年間、ウバザメは巨大な肝やヒレなどを目的とする主要な漁獲対象だった。しかし、いつどこで繁殖するのかなど、保護のための必須な情報は知られていなかった。

 英国海洋生物協会のデービッド・シムス研究委員(サザンプトン大学教授)らは、ウバザメが毎年8~9月頃、北大西洋の東部海域で、ドーナツ形(トーラス)の群れを作ってぐるぐる回り交尾をする行動をとるという事実を明らかにした。ウバザメのぐるぐる回る動きは、過去40年ほどの間に2~3回だけ報告された、非常に珍しい謎の行動だった。

海の表面にて巨大な口で虫プランクトンをろ過して食べる大型のサメであるウバザメの独特な交尾行動が初めて明かされた=グレッグ・スコマル氏、米国立海洋大気庁(NOAA)提供//ハンギョレ新聞社

 研究者らは、アイルランドとスコットランドの西海岸で2016~2021年の間、水中とドローンでの撮影を通じて合計19回も回転行動を観察した。行動に参加するウバザメはすべて成体で、6~23匹が集まり、海の表面から水深16メートルにかけて直径17~39メートルのドーナツ状で回った。

 回転行動を行うサメたちは、オスとメスの数が近い割合であり、餌を取る活動はまったくしなかったと研究者らは明らかにした。また、メスは体の色が交尾をするときに現れる薄い色に変わった。

 前にいるサメをしっかり追いながら編隊遊泳するこの儀式は長時間続いたが、数日間続くこともあると研究者らは明らかにした。メスとオスは互いに、ひれとひれまたはひれと体を接触したり体を回して腹をみせるなど、交尾の準備を伝える行動をした。このような行動を通じて数分間のうちに回転に参加したオスとメスのサメは、互いを知ることができ、何回も交尾を行うことができると研究者らは明らかにした。

ウバザメがぐるぐる回る水中での様子。互いの体に触れて交尾をする意向を打診する=ニック・パイパー氏提供//ハンギョレ新聞社

 シムス教授は協会の報道資料で、「普段は大洋で一人ぼっちで生きているウバザメがどのようにして交尾の相手を探すのかについては、長い間謎だった」とし、「驚くべきことに、今回、交尾のトーラスをつくるだけでなく、あたかも『スピードデート』をするかのように多くのサメが潜在的なパートナーに一度に会うという事実を知ることができた」と述べた。スピードデートとは、多くの人が順番に一人ずつ会うようにして恋人を探すイベントのことだ。

 研究者らは、ウバザメがプランクトンの多い海域に夏の間に集まり、餌の密度が減る晩夏と秋にわたって交尾を行うことを明らかにした。研究に参加したアイルランドの大西洋工科大学のサイモン・ベロー博士は「今回の発見により、ウバザメが交尾する場所がアイルランド西部の沿岸海域にあるという事実が明らかになったので、種の法的保護はもちろん、船舶との衝突や海上風力施設の影響から保護するための努力が急がれる」と述べた。

 ウバザメは個体数が急激に減っており、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リスト(レッドリスト)では「絶滅危惧」に指定され、欧州連合(EU)と米国、英国を中心に保護措置がとられている。

引用論文: Journal of Fish Biology,DOI: 10.1111/jfb.15187

チョ・ホンソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/animalpeople/ecology_evolution/1058697.html韓国語原文入力:2022-09-15 19:20
訳M.S

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