2匹のサメが大洋を平和に泳ぐ。自由に海中で戯れているサメのうち1匹が突然消える。消えた相手を探してあたりを見回したサメが目にしたのは、長い釣り針にかかった恋人の姿。突然の危機にどうすればいいのか分からない彼らは、別れを告げる暇もなく引き離される。釣り針にかかったサメの視野から、愛する相手の姿は点のように小さくなる。
国際環境団体「グリーンピース」は14日、「サメ啓発の日(Shark Awareness Day)」にあわせ、サメの乱獲の深刻さを伝えるアニメと報告書を公開した。この日公開されたアニメ『孤独なサメ』は、サメのカップルのソフィアとバレリアがはえ縄漁業によって別れることになる悲しいストーリーだ。
1分30秒の動画は、深海の美しい風景から釣り糸にかかったサメの絶望的な表情まで、3Dアニメーションでリアルな悲しさを表現した。特に、アニメのBGMには英国のミュージシャン「レディオヘッド」のボーカルのトム・ヨーク氏が参加し、その意義を高めた。
また、グリーンピースは同日、北大西洋地域で急減するサメの個体数とはえ縄漁業による乱獲の問題を指摘する報告書『釣り針にかかったサメ(Hooked on Sharks)』を発行した。はえ縄漁業は、長いロープのはえ縄に一定間隔で釣り針をつけた釣糸をぶら下げ、一度に多くの種類の魚を吊り上げる漁業方式だ。
グリーンピースによると、過去50年間、無分別なサメの捕獲で全世界のサメの個体数は71%減少した。このようなサメの個体数の急減は、サメの生息地で起きているはえ縄漁業と関係が深い。北大西洋での平均的な操業基準では、はえ縄漁業に使われるはえ縄のロープは1200キロメートルに達し、そのロープから吊り下げられる釣り針は1万5000~2万8000個に達すると推定されている。
報告書は、北大西洋でのはえ縄漁業が、名目上はマグロ刺身の材料として知られるメカジキを標的にしているが、収益維持のためにサメを混獲していると指摘している。混獲は、漁業中に意図して取ろうとした水産物ではない海洋生物を捕獲することを意味するが、海洋保護生物ではない種に限り販売が可能とされている。
現在、全世界のサメの種の3分の1が絶滅の危機に瀕している。サメは海の最上位の捕食者として、海洋生態系と食物連鎖のバランスを維持する重要な役割を担っている。食物連鎖からサメが消えることになれば、生態系は急激に崩れ、結局は大気の炭素と熱を吸収する海の機能を悪化させる。にもかかわらず、全世界のサメ製品の需要は増加し続けている。サメは毎年約1億匹が商業目的で捕獲されていると推定されており、ひれを用いるフカヒレ料理だけではなく、肝油や軟骨などが化粧品や栄養剤に使われ、消費が増えている。
グリーンピースは、増加するサメ肉市場が貿易現場を彷彿とさせると指摘する。2020年の全世界での10大サメ肉輸入国と輸出国によると、主な輸出入国の上位はスペイン、ポルトガル、ブラジルだったが、中国や韓国などのアジア国家も順位に含含まれた。韓国は全世界で8番目の規模のサメ肉輸入国で、その規模は約670万ドルに達し、重量は約2474万トンに至る。
グリーンピースの海洋キャンペーナーのキム・ヨンハ氏は、「気候危機により海洋生物が危険に直面しているなか、現在のような破壊的なサメの捕獲が続けば、サメは絶滅に至ることになるだろう。来月15日に開催される国連の海洋生物多様性条約会議では、海洋保護区域の指定のため、韓国政府も強い声をあげてほしい」と強調した。
一方、国連では8月、国家管轄権外区域における海洋生物多様性(BBNJ)条約の第5回会議を開き、各国間で海洋条約の締結を論議する。環境団体は、全世界の公海の一部を海洋保護区域に指定すべきだという「30×30」を主張している。2030年までに公海(どの国の主権にも属さない海)の30%を保護区域に指定し保護しようという主張だ。米国、英国、ドイツ、スペイン、韓国などがそのような動きに参加する雰囲気だったが、3月に開かれた第4回会議では、条約締結は失敗に終わった。グリーンピースが発行した英文の報告書の全文はwww.greenpeace.org.uk/wp-content/uploads/2022/07/PTO-Shark-Trade-Report-Final-Web.pdfで確認できる。