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[書評]映画よりもドラマチックな独立運動の事件と人物たち

登録:2022-09-03 09:10 修正:2022-09-14 10:30
『独立運動列伝1・2:忘れられた事件を探して(1巻)、忘れられた人物を探して(2巻)』 
イム・ギョンソク著、プルンヨクサ刊
キム・ダルハは1925年3月30日、中国北京のある住宅街で日本の密偵容疑(臨時政府破壊工作)を受けて殺害される=イム・ギョンソク//ハンギョレ新聞社
『独立運動列伝1・2:忘れられた事件を探して(1巻)、忘れられた人物を探して(2巻)』イム・ギョンソク著、プルンヨクサ刊//ハンギョレ新聞社

 1920年1月4日、咸鏡北道会寧(フェリョン)から出発した現金護送の行列が間島の龍井に向かって道を急いでいた。暗くなる頃、日帝の鉄道敷設資金15万ウォンを護送していた武装警官ら6人は、怪漢らの襲撃を受け、現金を奪われる。北間島地域の青年秘密結社「鉄血光復団」の団員らが、日帝に打撃を与え独立運動の資金を調達するために起こした、いわゆる「15万ウォン奪取事件」だ。

 現在の購買力で150億ウォンほどにあたる資金を奪われた日帝は、非常事態に陥った。団員たちはロシアの領土であるウラジオストクに身を隠し、独立運動に使う武器を買う契約まで結んだが、1月31日未明、日本の憲兵隊によって一網打尽にされる。チェ・ボンソル(チェ・ゲリプ)は銃に撃たれたが格闘の末辛うじて脱出し、チェ・ソンハ、チェ・ゲボク父娘の誠心誠意の看護と保護で命を取り留めた。だが、ユン・ジュンヒ、イム・グクチョン、ハン・サンホは翌年、ソウル西大門刑務所で死刑に処された。当時、彼らを密告したのは団員たちが武器購入を依頼した「独立軍の先輩」オム・インソプ。1908年夏の国内進攻作戦の時、最先鋒に立った義兵長であり、安重根(アン・ジュングン)と義兄弟の契りを結んだ人物だった。彼に関し、日本側の記録は1908年に「(日本の)領事館に出頭し、スパイとして雇用してほしいと請願」したと証言している。

 映画に出てきそうなストーリーだが、日帝強占期(植民地時代)の独立運動史にはこれよりもさらにドラマチックに、喜びや悔しさ、悲しみに満ちた物語があふれている。『独立運動列伝』は、そのような物語の中の様々な人間群像を取り上げる。レーニンから金貨330キロを受け取り、横領などの疑いで臨時政府の警護員(警察)によって銃殺されたキム・リプ、日帝の予防拘禁に100日以上の断食で立ち向かい獄死したイ・ハンビン、光州学生運動を率いた傑出した青年指導者チャン・ジェソン、大韓民国愛国婦人会の初代会長だったが、夫カン・ナグォンと共に組織を丸ごと日帝に密告し、一家の無事を保ったオ・ヒョンジュ、臨時政府の破壊工作に乗り出し処断されたキム・ダルハ…。

 「史料を読んでいると、思いがけず驚くべき涙のエピソードを知ることもあった」という著者は、「型にはまった英雄物語」を拒む一方、社会主義者の独立運動家たちを積極的に発掘して見渡す。韓国では長年タブー視されていた彼らの多くは、北朝鮮でもまともな待遇を受けることができなかった。金日成(キム・イルソン)系列の抗日闘争が過度に神格化し、リ・ホングァン、ホ・ヒョンシクなど名を馳せた指導者でさえ、金日成の部下に格下げされたり、相対的に隠されてきたからだ。丁寧に取り上げられた平凡な人々の「無名の献身」や、独立運動家の家族の波乱の人生も、読者の胸に迫ってくる。

イ・スンヒョク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1057213.html韓国語原文入力:2022-09-02 10:30
訳C.M

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