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ダウンロードの速い5Gが寿命を縮める?

登録:2021-09-25 06:19 修正:2021-09-26 07:51
[書評]『5Gの逆襲:速くなったダウンロードの速度だけあなたの寿命も短くなる』ジョセフ・メルコラ著、キム・ボウン訳、パンミドン刊
スペインのマドリードで集会参加者が「ワクチン反対、5G反対、マスク反対」というスローガンが書かれたプラカードを持っている/AP・聯合ニュース
『5Gの逆襲:速くなったダウンロードの速度だけあなたの寿命も短くなる』の表紙//ハンギョレ新聞社

 スマートフォンやタブレットはもとより、エアコンやテレビ、ロボット掃除機のような家電も、モノのインターネットでつながる時代だ。『5Gの逆襲(原題:EMF*D: 5G, Wi-Fi & Cell Phones: Hidden Harms and How to Protect Yourself)』の著者はこのように日常生活を便利にする無線機器が作動する時に使われる電磁場(electromagnetic fields: EMFs)が健康を脅かしていると指摘する。実際、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究所(IARC)は、携帯電話から出る無線周波数の電磁場を潜在的な発がん物質(グループ2B)に分類した。

 特に、最近普及している5Gネットワークが、その構造的特性からかつての3Gや4G技術とは次元の違う電磁場を形成するというのが、著者の主張だ。現在、国内ではカバレッジの問題と技術的限界で試験的なサービスにとどまっている28ギガヘルツ(GHz)の高周波帯域の5G周波数は、その波長の長さが10ミリメートルより短い。現在使われている低周波帯域の周波数の波長の長さが数十センチなのとは対比を成している。

 問題は波長が短いだけに、安定的なサービスを提供するためには「スモールセル」という中小型基地局をこれまでよりはるかに多く建設しなければならず、数十億個のアンテナが必要だという点だ。それだけユーザーは、自宅や会社、学校でより強力になった電磁場にさらされるわけだ。これに対して著者は、人類の健康のために無線インターネットの代わりに光ケーブルを連結した有線インターネットを使用することを提案する。このほかにも著者は、電磁場が健康に及ぼす具体的な危険と、これまで産業界がこれを隠すためにどのような努力をしてきたのか詳述する。

 ただし、著者のジョセフ・メルコラ博士が、米国でソーシャルメディアを通じて新型コロナワクチン陰謀論を広めた主要人物に挙げられ、批判を受けてきたことを踏まえて、同書については批判的な読書が必要だ。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1012586.html韓国語原文入力:2021-09-24 10:17
訳H.J

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