サムスン電子がカナダの移動体通信事業者と基地局装備の供給契約を締結した。米国の制裁により中国の華為技術(ファーウェイ)が去った市場をサムスン電子が積極的に攻略している。ファーウェイは、世界の通信装備市場を主導してきた企業の一つだ。
サムスン電子は16日、カナダの移動体通信事業者「サスクテル」に5世代(5G)・LTE(4G)基地局などを単独供給すると明らかにした。サムスン電子が供給する装備は、多様な周波数帯域の5G・4G基地局と多重入出力基地局(Massive MIMO)、仮想化コア用ソフトウェアなどだ。このうち5G仮想化コアはサムスン電子が初めて国外に供給する装備であり、5Gと4Gデータのトラフィックを同時に処理できる。サムスン電子側は「(供給する装備を活用すれば)ネットワーク資源をより効率的に管理できる」と話した。
今回の契約は、サムスン電子がファーウェイの空きを占めて参入する性格が濃厚だ。通信装備業者として世界首位だったファーウェイは、米中貿易紛争が起きる中で米国の制裁を受け、主要国で事業の進行に困難を来している。今回サムスン電子と手を握ったサスクテルも、これまではファーウェイの装備を使い続けてきた。今回の供給契約は、2019年の初受注以降サムスン電子がカナダで獲得した3番目の受注でもある。ただし、サムスン電子は契約の規模など詳しい内容は公開しなかった。
一方、サムスンリサーチ次世代通信研究センターのチェ・ヒョンジン研究員は、国際電気通信連合(ITU)の電波通信部門の標準化会議で、「6Gビジョングループ」の議長に選出された。6Gビジョングループは、6Gの性能と要求事項の定義、標準化・商用化のロードマップなどを樹立するために最近開かれた標準化会議総会で新設された。