韓国で今年に入って株価が上昇するとともに、住宅価格バブルが予想よりはじけていないことで、金融脆弱性指数(FVI)が上昇に転じている。これは、中長期的な金融リスクが再び拡大していることを意味する。韓国銀行は、家計や企業にすでに多くの負債が累積している中、資産市場の上下動の影響で負債規模がさらに拡大する可能性があるとして警戒感を示した。
韓銀が21日に発表した「2023年上半期金融安定報告書」によれば、今年第1四半期のFVIは前四半期(46.0)より2.1上昇の48.1。FVIは2021年第2四半期に59.4にまで上昇したが、その後、韓銀が政策金利を引き上げたことで下落が続いてきた。FVIは中長期の金融リスクを示す指標で、資産価格(不動産、株、債券)、信用蓄積(家計、企業、対外)、金融システムの復元力などを反映する。
韓銀は「今年に入り、国内外の通貨政策の緊縮基調が緩和されるとの期待などが影響して株価と債券価格が上昇するとともに、不動産価格の下落幅が縮小する中で、家計負債が再び増えている」とFVI上昇の背景を説明した。
FVIは第2四半期にはさらに上昇する可能性が高い。家計負債残高は昨年8月以降は減ってきていたが、今年2月からは減少幅が縮小し、4月にはついに増加に転じた。韓国銀行のキム・イング金融安定局長は記者懇談会で「4月以降に家計負債が再び増えていることなどを考慮すれば、第2四半期には(FVIが)さらに上昇するだろう」と話した。
FVIが上昇に転じたことで、デレバレッジ(負債縮小)が弱まることを懸念する韓銀の警戒心も強まる見通しだ。韓銀は最近、住宅価格のバブルの解消が不十分な状態で家計負債が再び増加することに対して、連日懸念を表明している。韓銀のイ・ジョンニョル副総裁補は「家計負債が再び増加すれば、金融不均衡の累積の可能性が高まる。国内総生産(GDP)に対して適正な水準で家計負債を管理しなければならない」と強調した。今年第1四半期末の名目GDPに対する民間信用(資金循環統計上の家計・企業負債の合計)比率は223.1%。民間の負債規模が、民間と政府が1年間に作り出す総付加価値の2倍をはるかに超えているということだ。