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[社説]「ウクライナ兵器支援」可能性に言及、懸念強まる尹大統領の訪米

登録:2023-04-20 06:13 修正:2023-04-20 09:16
尹錫悦大統領が18日午後、大統領室執務室でロイター通信のインタビューに応じている=ロイター/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がウクライナに対する兵器支援の可能性を公開の場で初めて言及した。韓国政府が対外的に維持してきた「軍事支援は不可能」とする立場の変化を示唆したのだ。韓国が直面する国際的な状況において、大統領がこうした公の場での言及をするのはきわめて不適切だ。それだけでなく、来週の韓米首脳会談を控え、米国の国際戦略に合わせた一方的な要求をそのまま全部受け入れるのではないかという懸念が強い。尹大統領の発言が報じられるとすぐにロシアが強く反発するなど、緊張感が高まっている。

 尹大統領は19日、ロイター通信のインタビューで、「民間人への大規模攻撃や虐殺、重大な戦争法違反など、国際社会が容認できない事態が発生した場合、人道・資金援助だけに固執するのは難しいかもしれない」と述べた。前提条件を付けはしたが、「殺傷力のある兵器は支援不可」とする政府の立場を変える可能性に大統領が直接言及したのだ。

 ウクライナや米国、北大西洋条約機構(NATO)などは韓国に対しウクライナに兵器を支援するように要求してきたが、韓国政府は交戦国家への兵器輸出を禁止した国内政策を掲げ、これを断ってきた。ロシアの安全保障・経済的報復の可能性、特に北朝鮮に対するロシアの軍事技術の支援拡大の可能性を懸念せざるをえない現実を考慮したのだ。尹大統領の発言が伝わると、ロシア大統領府の報道官は「ウクライナに対する韓国の兵器支援は、紛争に対する一定部分の(戦争)介入を意味する」とする反応を出した。これに先立ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年、韓国がウクライナに兵器を提供した場合、韓国とロシアの関係は破綻するだろうと脅しをかけた。

 最近、韓国が米国やポーランドなどを通して砲弾を迂回支援しているという報道が出てきたこともあるが、政府がこれを公に明らかにしたことはない。それだけ敏感性と破壊力が大きいからだ。ところが、これを大統領が外国メディアのインタビューの形態でいきなり取りだす方式は、とうてい理解しがたい。

 そのため、韓米首脳会談を前にして、米国に向けて送るメッセージや、先週米国を訪問したキム・テヒョ国家安保室第1次長が米国と議論を行ったのではないかと推測することになる。北朝鮮核問題の解決策には米国に依存する強硬論が目立ち、半導体や電気自動車(EV)、バッテリーなどの経済関連の進展はあまりみえない。米国の要求はすべて受け入れるが、韓国はこれを通じて韓米同盟強化の約束以外に何を得るのか、尹錫悦政権は米国に何を要求しているのか分からない。米国国賓訪問を控え、国民の懸念が強まっている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1088574.html韓国語原文入力:2023-04-20 02:40
訳M.S

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