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[寄稿]韓日両政府は法治を踏みにじるのをやめよ

登録:2023-03-14 04:43 修正:2023-03-14 08:56
11日午後、ソウル中区の市庁広場の東側で開かれた「強制動員屈辱解決策強行糾弾および日本の謝罪賠償要求第2回汎国民大会」で参加者たちがプラカードを持ちシュプレヒコールを叫んでいる=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 パク・チン外交部長官は3月6日に強制動員問題に関する政府の「解決策」を発表した際に、日本が「法治という普遍的価値を共有する最も近い隣国」だということを、解決策を打ち出した根拠のひとつとしてあげた。日本政府も、韓国最高裁(大法院)の強制動員賠償判決は国際「法」に違反していると主張してきた。韓日両国政府が「法治」というスローガンの下に「大同団結」した格好だ。

 2018年10月30日に大韓民国最高裁で日本の戦犯企業の損害賠償責任を認めた判決が下された直後から、日本政府はこの判決のことを「国際法違反」だと非難してきた。日本の言う国際法とは、1965年に締結された韓日請求権協定という二国間条約だ。しかし最高裁判決は、条約の解釈に関する基本原則を定めた国際法である「条約法に関するウィーン条約」を根拠に、請求権協定の条文を詳細かつ妥当に解釈したものだ。にもかかわらず日本政府は、一切の根拠の提示もなしに請求権協定の条文だけを掲げて判決を攻撃した。

 日本政府こそ請求権協定を不当に動員して韓国の司法主権を侵害しており、主権の相互尊重という国際社会の最も基本的な規範を破っているのだ。「1965年の国交正常化以降で最悪」と言われる韓日対立は、国際法に従った最高裁判決のせいではなく、国際法に違反している日本政府の不当な攻撃のせいで生じたものであり、それこそが事態の核心だ。

 韓国政府の「解決策」も「反法治」であるのは変わらない。「第三者弁済」などの固い法律用語で飾り立ててはいるものの、「解決策」の核心は判決が宣告した日本企業の損害賠償責任を免除することだ。最高裁は、日帝の朝鮮半島支配は憲法前文の規定する「3・1独立運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」に照らして不法な強制占領であり、強制動員は不法な強制占領に直結した反人道的不法行為であるため、請求権協定の適用対象ではないと判示した。韓国政府の「解決策」はこれを否定したものであり、憲法違反だ。

 韓国政府は北朝鮮の核などの安保状況を前面に掲げているが、それがこのように日本政府に全面投降しなければならない根拠にはなりえない。「高齢の被害者のために速やかに」とも主張するが、「外交交渉を行っているから売却命令に関する再抗告事件は決定を先送りしてほしい」という意見書を最高裁に提出し、決定を遅延させているのは、他ならぬ韓国政府だ。

 韓国政府は高齢の被害者のためだと言いながら、すでに最高裁で勝訴が確定している被害者と、現在進行中の60件あまりの訴訟で将来勝訴が確定する被害者のみに金を支給するという。「最高裁まで行って勝訴すれば、日本企業に代わって金を与える」というのが、どうして高齢の被害者のための迅速な解決なのか。これは日本企業の責任を免除することこそ「解決策」の絶対的な目的だという事実を自認しているに過ぎない。

 政府が提示した解決策は、日帝強制動員被害者支援財団が日本企業を肩代わりして強制動員被害者に金を支給するというものだが、財団設置の根拠法たる「強制動員特別法」によれば、日本企業の責任を免除するという、請求権協定とは関係のないことは、法律の目的の範囲を逸脱している。

 くわえて、財源は請求権協定で得た経済協力資金の恩恵を受けた韓国企業の「自発的寄与」で作るというが、最高裁判決によれば強制動員は請求権協定の適用対象ではない。したがって、請求権協定によって日本政府から受け取った無償3億ドルは強制動員と関係がなく、その無償3億ドルから支援を受けたポスコなどの韓国企業は強制動員問題に対する責任がない。したがって、韓国企業が日本企業の債務を肩代わりするために日帝強制動員被害者支援財団に金を拠出することは背任となりうる。

 韓日両国の政府は「法治」というスローガンを掲げつつ、実は「反法治」へと向かっている。

 それは韓国と日本の目指すべき未来の姿とはなりえない。日本政府は韓国最高裁の判決に対する不当な攻撃をやめるべきだ。韓国政府は最高裁の判決を否定する「解決策」を直ちに撤回すべきだ。最高裁は最終決定を迅速に執行することで、人権を守る最後のとりでの役割を果たすべきだ。

//ハンギョレ新聞社

キム・チャンノク|慶北大学法学専門大学院教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1083438.html韓国語原文入力:2023-03-13 21:02
訳D.K

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