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強制動員被害者には3カ月間連絡もなく、韓日関係だけに集中する韓国政府

登録:2022-11-29 05:49 修正:2022-11-29 07:28
日帝強制動員被害者のイ・チュンシクさんが、9月2日に自宅を訪問したパク・チン外交部長官に強制動員被害の解決を要請している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が日本政府との関係回復に速度を上げる一方、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者賠償問題で被害者の声には真剣に耳を傾けていないという批判が高まっている。被害者たちは韓日政府間で議論されている賠償問題の解決策について韓国政府から直接聞いたことがないと語った。

 尹錫悦政権は最近、日本との関係強化に重点を置いている。韓米同盟と韓米日協力強化を同時に強調してきた尹大統領は13日、カンボジアのプノンペンで岸田文雄首相と韓日首脳会談を行い、強制動員賠償問題の早期解決の必要性に共感した。大統領室高官は16日、「両国の実務者間で解決策が一つから二つに絞られているという報告を(尹大統領が)受けた」と述べた。ユン・ドクミン駐日大使は26日、共同通信とのインタビューで、「尹大統領が年内に訪日する可能性もありうる」と述べた。一部では李明博(イ・ミョンバク)元大統領時代の2011年12月以降中断されていた韓日シャトル外交が再開される可能性も取りざたされている。

 しかし、この過程で当事者である強制動員被害者たちは後回しにされた。28日の本紙の取材を総合すると、外交部は強制動員被害者支援団体に来月7日の面会を要請したという。外交部が強制動員被害者側と公式に会うのは、今年9月にパク・チン外交部長官が光州(クァンジュ)で強制動員被害者のイ・チュンシクさん(98)とヤン・クムドクさん(91)に会って以来、3カ月ぶりのことだ。日帝強制動員市民会のイ・グゴン理事長は28日、本紙との電話インタビューで「9月2日にパク長官が訪問して以来、何の連絡も受けたことがない。マスコミ報道を通じて進展する話を推測するだけだった」と語った。

 政府は7月に「強制動員問題解決のための官民協議会」を設けたが、4回の会議の末、9月初めに終了した後、被害者の意見に耳に傾けるよりは日本との対話に力を入れてきた。政府は強制動員被害者賠償問題の有力な解決策として、併存的債務引受案を念頭に置いているという。併存的債務引受案とは、2014年に強制動員被害者支援のために設立された日帝強制動員被害者支援財団が韓日両国の企業の自発的な寄付を募り、このお金を被告企業の日本製鉄と三菱重工業に代わって被害者に支給する方式をいう。被害者支援団体は、日本製鉄や三菱重工業など戦犯企業の謝罪と賠償を求めてきたが、併存的債務引受案ではこれを充足できない。

 民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は本紙の取材に対し、「併存的債務引受というのは基本的に債権者の同意なしに問題を解決しようとする試み」だとしたうえで、「(被告企業に強制動員被害の賠償を命じた2018年の)最高裁判決の意味をあまりにも考えていないのではないか」と語った。

 こうした中で、三菱勤労挺身隊訴訟の原告、ヤン・クムドクさんと被害者支援団体は29日、最高裁前で三菱差し押さえ資産(商標権と特許権)の特別現金化命令再抗告事件の迅速な判決を求める記者会見を開く予定だ。同日は最高裁が強制動員賠償判決を言い渡してから4年になる日だ。

シン・ヒョンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1069269.html韓国語原文入: 2022-11-28 18:08
訳H.J

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