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「シニアは人的資産」日本、定年過ぎた「65~69歳」の5割以上が働く

登録:2022-09-20 09:11 修正:2022-09-20 12:23
東京の多摩ニュータウン永山団地内にあるカフェ「福祉亭」の様子=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「超高齢社会」である日本で昨年、法的定年を越えた65~69歳の高齢者の2人に1人が現職で働いていることが分かった。この年代で就業率が50%を超えたことが調査されたのは今回が初めて。

 総務省が18日に発表した「統計からみた我が国の高齢者」報告書によると、9月現在で65歳以上の高齢者は昨年より6万人多い3627万人と集計された。総人口に占める高齢者の割合は29.1%で、圧倒的な世界1位を記録した。イタリア(24.1%)とフィンランド(23.3%)が後に続いた。満65歳以上の人口が全体の20%を超えた社会を超高齢社会と呼ぶ。

 社会全体の高齢化が進み自然と生じる現象は「働く高齢者の増加」だ。特に昨年、65~69歳の就業率が初めて半分を超える50.3%(男性60.4%、女性40.9%)を記録した。65歳以上の全体就業者は909万人(就業率25.1%)で過去最大水準。実に18年連続で増加傾向にある。

 高齢者が法的義務定年(65歳)を過ぎても働き続けることができるのは、日本の法と制度がこれを後押しするためだ。日本政府は1998年に定年を60歳と義務付けた後、2006年から段階的に定年を延長し、2013年に65歳に引き上げた。65歳に定年が延長される時、「雇用確保」のために、定年廃止▽定年延長▽継続雇用制度などのうち、企業が状況に合わせて選択するようにした。

 企業は費用などを考慮し、60歳以降は契約職などでより低い賃金で雇用を継続する「継続雇用」(2020年現在76.8%)方式を主に選択した。継続雇用が効果的だと判断した企業は自発的に66歳以上になっても労働者が働ける制度を導入した。この制度を導入した割合も33.4%にのぼる。

 これに加えて日本政府は昨年4月から、職員の就業の機会を70歳まで保障するよう努力することを義務化した「高齢者雇用安定法」を施行している。定年廃止、定年延長、継続雇用以外にも、委託契約を通じた就業維持、社会貢献事業を通じた雇用などが新たに追加された。強制ではないが、70歳まで職員の雇用に責任を取るための様々な努力をするよう企業に促すことを趣旨とする。

 人手不足などにぶつかっている企業は先頭に立って応じた。日本の家電販売大手のノジマは、昨年10月から80歳だった定年を完全になくした。豊富な商品知識と常連客の多いシニア社員は立派な人的資産だと判断したためだ。世界最大のファスナーメーカーであるYKKグループも、昨年4月に65歳だった定年を廃止した。システム開発会社のサイオスグループも定年を廃止した。

 少子高齢化で人手が足りなくなった日本で、このような現象は増加し続ける見通しだ。2030年になれば日本の労働需要は供給を644万人も上回るという研究結果もある。

 課題も多い。一番大きな問題は労働条件の悪さだ。厚生労働省の資料によれば、企業に雇用された65歳以上の高齢者のうち、非正規職の割合は75.9%にのぼる。中でも賃金などの条件が劣悪なパートタイム(アルバイト)の割合が52.2%で最も多い。非正規職の割合が高いのは、費用を減らそうとする企業と高齢者の自発的選択がかみ合った側面もある。非正規職を選択した理由について、65歳以上の高齢者の中で最も多い34.4%が「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答えた。

 しかし、日本の65歳以上の高齢者の貧困率は20%で、経済協力開発機構(OECD)の平均(13.5%)よりかなり高い。生計のために働く高齢者たちの場合「良い働き口」が少なく、働いても貧困層から抜け出すのは容易ではない。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1059201.html韓国語原文入力:2022-09-20 02:02
訳C.M

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