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「我々も韓国と縁…助けて」アフガンから来た「ミラクルSOS」

登録:2021-08-28 04:44 修正:2021-08-28 06:32
アフガン人のHさんがKOICAと韓国産業人材公団から授与された職業訓練教師研修の修了証=Hさん提供//ハンギョレ新聞社

 アフガニスタンで韓国政府とともに働いていた390人のアフガン人が無事脱出した中、韓国との縁はあるものの移送対象となっていない数十人のアフガン人が、今も韓国政府の支援を切実に訴えている。

 26日に本紙と連絡が取れた33歳のアフガン男性Hさんは「韓国政府に、私たちは非常に恐ろしく、(自分たちが)とり残された(left behind)ように感じていると伝えてほしい」と話した。Hさんは、KOICA(韓国国際協力団)が2004年にアフガン支援事業として設立した「韓国-アフガン職業訓練院」でコンピューター教師として12年間働いた。自動車整備、コンピューター、建築など7分野の課程を設置する同訓練院から輩出されたアフガン人は7000人あまりにのぼる。

 本紙がHさんからメッセンジャーで提供を受けた資料を総合すると、Hさんは今月5日、在アフガニスタン韓国大使館に電子メールを送った。何度も電話したが、つながらなかったためだ。自分たちのことを韓国-アフガン職業訓練院で5~16年働いた教師だと紹介したHさんは、4人の教師代表と大使との面会を要請した。Hさんは、米国政府は自分たちと直接的または間接的にかかわって働いていたアフガン人の撤退プログラムを運用していることに言及しつつ、韓国は米国の同盟国なので、自分たちは故国にいること自体が脅威に感じられる、と記している。アフガンの状況は日々悪化しており、韓国の事業に関与した自分たちも身の危険を感じているというのだった。

 韓国大使館は、職業訓練院に勤務していたという証明書類を送ってくれれば、検討して連絡する、という返信を送ってきた。これを受けHさんは、自分を含む33人の名前と身元情報が明記された職業訓練院の証明書の発給を受け、14日に大使館に送った。しかし、その時はタリバンの首都カブールへの進入が差し迫っており、大使館は15日に暫定閉鎖された。その後、大使館側との連絡は途絶えたとHさんはいう。

 26日に初めて彼らのことを本紙に伝えてきた国際人権活動家のキム・ヨジョンさんは「1日2日以内に彼らを救助できなければすべてが終わる。どうかあの人たちを助けてほしい」と述べた。26日夜7時ごろまで現地に残っていた韓国軍の2機の輸送機に彼らを乗せるのが最後のチャンスだと考えたキムさんは、26日は一日中、外交部、取材陣、現地の人々と連絡を取り合いながら彼らの事情を伝えた。

 キムさんは26日午後3時過ぎ、外交部から公式に立場表明を受けたと明らかにした。キムさんは「(外交部は)彼らは韓国政府との勤労契約(を交わしていたわけ)ではなく、(彼らが勤務していた職業訓練院は)アフガン政府に委託して運営したもの」であるため、「(彼らは韓国への移送)対象から除外された」との返事を受け取ったと述べた。実際に、Hさんらが働いていた職業訓練院は、KOICAが2002年から2005年まで1236万ドル(約144億ウォン)を投じて設立・運営していた。開設された2004年から翌年まではKOICAが自ら運営したものの、2006年にはアフガン政府に事業を移管し、これまでアフガン政府が運営してきた。Hさんと同僚の教師たちはアフガン政府に雇用されていたわけだ。これまでに政府が明らかにしている韓国への移送対象者はアフガンでの韓国政府の活動を支援してきた人たちで、大使館や韓国政府が現地で運営する病院や職業訓練院などに直接雇用されたアフガン人だった。

 しかし、Hさんが本紙に送ってきた職業訓練院の証明書によると、2003年から2017年までに22人の教師が多い人で3回も韓国を訪問している。Hさんの2013年の「KOICA-産業人材公団研修」の修了証と韓国訪問ビザも考慮すると、彼らも同研修の一環として韓国を訪問したものとみられる。韓国が設立し支援する施設で韓国と行き来しながら生活してきた人々にとっては、韓国との縁が混沌に陥ったアフガンを脱出する最後の希望となっているわけだ。

 キムさんは「(職業訓練院は)初期の2年間、韓国が運営していた時に訓練した職員が移譲を受けて、そのまま運営」してきており、「職員訓練院の卒業式には常に(韓国)大使が出席しており、KOICAからファンディング」も行われていると説明した。キムさんは「(韓国政府の行為は)現代自動車の社員だけを連れてきて、社内下請けの社員は連れてこないのと同じ」とし、韓国政府の移送対象選定基準を批判した。

 韓国政府に支援を要請しているのは彼らだけではない。キムさんによると、韓国の大学に各種奨学金の支給を受けて入学が許可された数十人の大学生も、9月の新学期を控えて困難に直面している。彼らも大使館に電子メールを送って現地でパスポートを発給してもらえない事情を伝え、自分たちも共にアフガンを離れられるよう支援してほしいと要請している。

 26日(現地時間)夕方、カブール国際空港付近で爆弾テロが発生し、100人あまりが死亡したというニュースが伝えられ、彼らが期待していた「奇跡」(軍による現地協力者の韓国移送作戦名)はさらに遠のいている雰囲気だ。

 キムさんは27日、「もしかしたら韓国から(自分たちを連れに)またやって来るのではないかと思って(職業訓練院の)教師たちは待っていたが、みな未明から隣国に避難しはじめた」と述べた。そして、現在はパキスタンとの国境を越えることが困難な状況であるうえ、国境を越えるために金銭を要求していると説明した。キムさんが把握している職業訓練院の教師などの、韓国と縁があり、韓国行きを希望しているアフガン人は数十人にのぼる。

 外交部のチェ・ヨンサム報道官は26日の定例ブリーフィングで「万が一、今後もさらに韓国行きを希望するアフガン人が出てきた場合には、過去の雇用関係、身元などを考慮し、支援の可否および方策を総合的に検討していく」と述べている。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1009423.html韓国語原文入力:2021-08-27 14:42
訳D.K

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