日本軍「慰安婦」に続き、強制動員被害者に対する損害賠償請求訴訟まで、最近韓国の裁判所で相次いで却下の判決が下されている。しかし、これに先立ち原告が勝訴した最高裁判決の効力は生きており、韓日関係に直ちに影響を与えるのは難しいという見通しだ。
ソウル中央地裁民事34部(裁判長 キム・ヤンホ)は7日、強制動員被害者と遺族85人が三菱重工業など日本企業16社を相手取って起こした訴訟を却下した。裁判所は、1965年の韓日請求権協定などを根拠に「訴訟を起こし権利を行使することが制限される」として、被害者の訴訟自体を遮った。日本政府がこの間主張してきた内容と同じ脈絡の判決だ。ただし、2018年10月の最高裁(大法院)の全員合議体判決を全面否定するもので、控訴審でも継続維持されるかが争点だ。
今年1月以後、裁判所の判決の流れが2018年の最高裁判決と変わっているのは事実だ。ソウル中央地裁は今年3月、(被害者に対する日本政府の賠償責任を認めた今年1月の)慰安婦訴訟に対して、「韓国国内にある日本の財産に対する強制執行は国際法違反」という趣旨の判断をしたのに続き、2件目の日本軍「慰安婦」被害者損害賠償請求訴訟では1件目(今年1月)の判決を覆し却下決定を下した。
だが、韓国裁判所のいくつかの判決が日本側に有利に出てきたからといって、日本政府の態度が前向きに変わることはないと予測される。韓日関係が急速に凍りつく契機になった2018年10月、11月の強制動員損害賠償最高裁判決は、日本企業の韓国内資産の差し押さえなど後続措置が継続して進行しているためだ。日本の加藤勝信官房長官はこの日、定例記者会見で「(強制動員や「慰安婦」の)懸案解決のために韓国が責任を持って対応することが重要だ。具体的な提案も注視する」と話すなど、これまでの立場を繰り返すのに終わった。
日本政府は、1965年の請求権協定と2015年12月の「慰安婦」合意により韓日間の歴史問題は全て終わったとし、韓国政府が適切な解決策を用意しなければならないとの主張を曲げていない。日本政府は「対抗措置」次元で、韓日首脳会談に消極的であるのをはじめ、茂木敏充外相も赴任して4カ月が経ったカン・チャンイル駐日韓国大使に意図的に会わずにいる。
これといった解決法がない韓国政府は、この日の判決に対して原則的な立場を明らかにした。韓国外交部の関係者は「関連動向に注目している」として「司法判決と被害者の権利を尊重し、韓日関係などを考慮して合理的解決方案を議論することに対して開かれた立場で日本側と協議を続けていく」と話した。