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韓国小説「82年生まれ、キム・ジヨン」、ドイツ最大の書店でベストセラー3位

登録:2021-03-23 09:34 修正:2021-03-23 11:28
ドイツ・ベルリンの書店ドゥスマン・ダス・クルトゥアカウフハウスにチョ・ナムジュさんの小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(Kim Jiyoung、geboren 1982)が陳列されている=ベルリン/ナム・ウンジュ通信員//ハンギョレ新聞社

 ドイツ・ベルリンの書店「ドゥスマン・ダス・クルトゥアカウフハウス」(Dussmann das KulturKaufhaus/ドゥスマン)のベストセラーの棚に、韓国の作家チョ・ナムジュさんの小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が置かれた。今年2月にドイツの出版社が翻訳出版して以来わずか1カ月で、ドゥスマンが集計したベストセラー3位になった。ドゥスマンはベルリン最大の書店かつ複合文化空間であり、ここのベストセラーには主に文学分野で注目される本が選ばれる。最大手の電子商取引ポータルであるドイツアマゾンのオンライン書店販売でも『82年生まれ、キム・ジヨン』は社会小説分野で5位を記録している。文学性と商業的成功を同時に評価する「シュピーゲル」誌の選んだベストセラーチャートでは13位となり、刊行直後から順位に名を連ねている。

 毎年7万400点の新刊が出版されるドイツ(2019年基準)で、アジアから来た小説が注目されるのは珍しい。英米文学はもちろん、スペイン、イタリアなどの、ドイツ人に親しまれている文化圏の世界的な作家が激しく競争する市場だ。ドゥスマンは「『82年生まれ、キム・ジヨン』以前に韓国人作家の小説がこの書店でベストセラーになったのは、2016年のハン・ガンの『菜食主義者』だった。どちらも英語版とドイツ語版が売れ、ベストセラーになった」と説明した。

ドイツ・ベルリンの書店ドゥスマン・ダス・クルトゥアカウフハウスのベストセラー棚にチョ・ナムジュさんの小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(Kim Jiyoung、geboren 1982)が陳列されている=ベルリン/ナム・ウンジュ通信員//ハンギョレ新聞社

 ドゥスマンのある社員は「世界的な流れに敏感な読者がよく訪れるこの書店では、ドイツ書籍だけでなく外国書籍もたくさん売れている。『82年生まれ、キム・ジヨン』は最近多くの読者が読みたがるフェミニズム問題を扱っているため、好評を得たと思われる」と語った。韓国から来た顔も名前も知らないキム・ジヨンという女性が、「フェミニズム」という普遍的言語の力で欧州の読者にアプローチしているという話だ。

 当初は、この本が韓国で巻き起こした論争に欧州の読者の関心が集まった。昨年2月に同書が英国で出版された際、「ガーディアン」誌は、大統領弾劾、江南駅(女性嫌悪)殺人事件、韓国MeToo運動へと続いた2016年の韓国の女性運動の熱気を紹介し、「(キム・ジヨンは)踏みにじられることで集団の怒りのチャンネルを開いた」現実の韓国社会の女性の顔の一つであることを強調した。2021年2月、ドイツのラジオ放送DLFも、韓国である女性歌手がこの本を読んでいるという理由により激しい批判を受けたというエピソードを紹介し、ボン大学東洋アジア研究所のナデシュダー・バヘム教授の言葉を引用して「そのような社会的要素もこの本の文学性の一部を成すものとして評価すべき」と分析した。

 最初はアジアのぎすぎすした女性の現実に対する好奇心から始まった関心は、やがて共感へと発展する。あるドイツの読者はアマゾンに残したレビューで「(女性問題に関する限り)韓国だけでなく全世界で変わったことはほとんどない。残念ながら欧州の読者はこの差別に対して認識できていない」と述べた。3月9日に放送されたスイスのSRFラジオの番組で、文学編集者のアーネット・ケニッヒは「男と女が一緒に1冊の本を読むことでも世の中を変えることができる」と言い、同書を勧めた。1999年に性差別禁止法が成立したものの、人生の重要な瞬間ごとに女性であることが烙印となり不幸に作用する韓国女性の生き方とスイスに暮らす女性の生き方は、大きく違わないということだ。

 韓国で約130万部が売れた同書は、日本で20万部以上が売れるという希な現象をもたらし、これまでに海外26カ国で販売権が売れている。

ベルリン/ナム・ウンジュ通信員 nameunjoo1@gmail.com

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/987690.html韓国語原文入力:2021-03-23 02:48
訳C.M

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