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略奪も悲しいが…絡まる遺物紛争

原文入力:2009-10-08午後11:34:33
台湾 中国の顔色伺って圓明園十二支神像 寄贈 受け取れず
エジプト ファラオ遺物 返還しなければルーブルと断絶

パク・ミンヒ記者

←(左から)フランスが清国から略奪した後、台湾に返還意思を明らかにし最近論難の対象となったウサギ頭とネズミ頭十二支神青銅像。エジプトが一貫してドイツ アールテス博物館と英国大英博物館に返還を要求中のネフェルティティ胸像とロゼッタ ストーン。<ハンギョレ>資料写真,パリ/AFP連合

1860年フランス-英国連合軍が北京の清国別宮圓明園を破壊し略奪した青銅像遺物が台湾政界を論争に追い詰めた。またフランスとエジプトはルーブル博物館に所蔵されているファラオ墓の遺物返還をめぐり衝突している。

圓明園の青銅十二支神像の内、ウサギ頭とネズミ頭像(左側写真)を所蔵しているフランス人ピエール ペルジュは去る5日、台湾故宮博物院に該当遺物を寄贈しようとしたが、博物館側が中国を意識し断ったと明らかにした。彼はフランス言論に「遺物を台湾博物館に寄贈しようとしたが、彼らは中国との紛争の種を作ることを願わなかった」と話した。

便りが伝えられるや7日、台湾の議員たちはジョウクンシン故宮博物院長に対し糾弾に出た。国民党リチンファ立法委員は「なぜ中華の文物を受け取らないのか。何を恐れているんだ」と促した。ジョウ博物館長は「それらの遺物は略奪されたものであり論争の対象だ。私たちは博物館の倫理に基づき論争となる遺物を所蔵できない」と答えた。結局、呉敦義行政院長(総理)は故宮博物院が青銅像が略奪文化財なのか、ペルジュの寄贈意志が確実なのかを把握し、遺物所蔵を再検討するようにすると明らかにした。

問題になった青銅像らは昨年死亡したフランスのファッションデザイナー イブサンローランが所蔵していたことから、同業者のペルジュが今年2月パリ クリスティ競売に売りに出し中国人らの怒りを買った。当時、中国政府は「略奪して行った文化財を競売することに反対する」として返還を要求し、ある中国人がこれを落札した後で代金支払いを拒否している状態だ。ペルジュはこれを中国に返還せず台湾に寄贈する意向を明らかにし新しい論難を起こした。

中国と共に帝国主義列強に文化財を略奪された代表的被害国であるエジプトもフランスに対し声を荒げた。エジプト古遺物最高委員会は7日、フランス ルーブル博物館が盗掘されたファラオ時代の遺物返還を拒否したとし、遺物が返還される時までルーブル博物館とのすべての協力関係を中断すると明らかにした。返還を要求した遺物はルクソール近隣‘王家の谷’付近の古代墓から出土した壁画浮彫4点だ。ルーブル博物館はカイロ南部で進行しているファラオの墓発掘作業に打撃を受けることとなった。

エジプトの強力な措置が出てくると、ルーブル博物館とフランス文化部は「善意で買い入れたもの」としつつ該当遺物らを返還する意向を初めて明らかにした。フランス政府の科学委員会は今週の会議でこれら遺物の返還問題を議論すると発表した。

エジプトはその他にも帝国主義列強が奪ってゆき世界有名博物館に堂々と展示している大量の文化財を取り戻すために一貫して努力してきた。最も有名なものはドイツと紛争中である‘ネフェルティティ胸像’(3番目写真)と大英博物館のロゼッタ ストーン(最後の写真)だ。

だが、きわめて一部の事例を除き大部分の遺物紛争では略奪して行った国が踏みとどまれば解決法がない状況だ。現行ユネスコの略奪文化財返還規定は1970年以後に取引された略奪文化財だけに適用され限界がある。19世紀英国外交官が搬出して行ったパルテノン神殿の壁画彫刻(エルギンマーブル)を所蔵する大英博物館がギリシャの粘り強い返還要求を断っているのが代表的事例だ。19世紀帝国主義から始まった‘遺物戦争’は今も続いている。

北京/パク・ミンヒ特派員minggu@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/380934.html 訳J.S