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[特派員コラム] 権貴資本主義/パク・ミンヒ

原文入力:2012/07/05 20:31(1505字)

←パク・ミンヒ北京特派員

重慶のじっとりする蒸し暑さは変わっていなかった。

 先週重慶に行った。 長江と嘉陵江が出会う朝天門埠頭は真夜中でも蒸し暑さを避けて出てきた市民で込み合っていた。 重慶党書記の座から失脚した薄煕来事件で全世界が沸きかえったが、この都市は何事もなかったように済ましていた。 いや、薄煕来の痕跡はきれいに消されていた。 あちこちに貼られていた‘10大民生工程’とか‘5大重慶’とかいう薄煕来のスローガンは全てなくなり、代わりに‘科学発展’ ‘調和社会’等、胡錦濤のスローガンがあちこちに登場した。 これが重慶を舞台にして展開された未完の巨大な権力闘争の一つの片鱗だろう。

 重慶市政府のある関係者は 「‘重慶モデル’がどうなるかは分からなくなった。 影響を受けないことはありえない」としながら言葉を濁した。 薄煕来を見て重慶に大規模投資を行った企業関係者たちは今後どうなるか分からない不安な状況だとしてため息をついた。

 もちろん重慶の人々の胸中に薄煕来は依然として大きな場所を占めている。 薄煕来は‘有能な指導者’イメージを誇示するために、重慶を精魂込めて育てた。 毎年20%近い成長率を誇り、大規模投資を誘致した。今はばく大な借金で祭りを行ったという非難があふれているけれど。

 だが、重慶生え抜きの会社員ヤオ・某(40)は冷静だった。 「私は薄煕来に何の関心もない。 私たちが指導者を選ぶことができるわけでもないが、誰が来ようが何の関係もない。 郊外や農村に行けば金がなくて飢えた子供たち、学校に行けない子供たち、病気でも病院に行けない人々がとても多い。 薄煕来が金を降り注いで開発区を作り、成長率を高め、そんなことは本当に何の意味もない。」

 薄煕来は国有企業の収益を社会に還元して、より公正な社会を作ると約束した。だが彼が没落した後、彼の一家が権力を利用して天文学的な財産を集め、それを国外に逃避させようとし、その過程で殺人まで起きたということが明らかになった。 左派的経済モデルである‘重慶モデル’が破産したので、中国が今後は国家を強調する左派に対する幻想をたたみ、市場を強調する右派的改革に乗り出さなければならないという声が高まった。 だが、真の問題は‘国家か市場か’ではなく、国民が特権層の専横を監視し社会の方向を決めるのに影響を及ぼす力を有しているかにある。

 先週末<ブルームバーグ>通信は中国の次期指導者である習近平副主席一家が3億7600万ドル(約4310億ウォン)の財産を保有していて、彼の妹と姉の夫、弟らが不動産、希土類、通信事業などに投資して財産を大きく膨らませたと報道した。 数日間、中国で<ブルームバーグ>サイトは接続が全面遮断された。

 中国ではこの頃、権貴資本主義、すなわち権力と資本が結合して社会の富を思いのままにする情実資本主義に対する批判の声が高い。 役人たちの専横に抗議するデモも各地で起きている。 中国の権貴資本主義は政治改革なき経済成長の副作用という共感が広がっている。

 韓国では絶対的な権力と呼ばれた大統領の兄が巨額の金品を受け取った疑いで検察の調査を受けている。 これは社会の監視機能を破壊して退行してきた韓国権貴資本主義の憂鬱な肖像であろうか?

パク・ミンヒ北京特派員 minggu@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/541215.html 訳J.S