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追い出されたソウル駅のホームレスたち、寒くても他に行く所なくて…

原文入力:2011/11/30 22:08(2596字)
パク・テウ記者


強制退去措置、あれから100日
周辺地下歩道に新たな住みか
退去前の人数と類似
救護政策 依然空転
"医療・住居支援など増やすべき"


←去る29日夜、地下鉄ソウル駅6番出口地下道でホームレスたちが寝ている。


 去る29日夜10時頃、中年ホームレス2人がソウル駅ロッテマート前を徘徊していた。彼らはガラスドアの向こう側で買い物を計算したお客さんが段ボール箱に商品を詰めるのをぼんやりと眺めていた。2~3分余りためらっていた彼らは閉まっていないガラスドア一つを発見し、素早く売り場内に入り段ボール箱を取り出し運び始めた。1人5,6ヶずつを得た彼らのしわのある顔には笑顔がこぼれた。ホームレスになって4ヶ月になる前職溶接工のソン・某(57)氏は「段ボールもお客さんが優先ということでしょう。持っていって見つかれば職員がものすごく何やら言うんだけど、今日は引っかからなかったよ。今日のように雨の日は段ボールが必須なんだ。」彼らはようやく手に入れた段ボールを抱きかかえて地下鉄駅2番出口エレベーターに乗り駅舎に降りて行った。エレベーターの中には他の人々が残した小便臭いにおいが漂っていた。彼らは6番出口へ向かう通路の前でドキッとした。 駅舎とつながった建物の若い警備員が近づいてきて「おじさん!そんなふうに段ボール持って来られると他のホームレスたちが集まるから。すぐに出て行って下さい」と手を振ったためだ。彼らは恥ずかしそうに段ボールを下ろして近所を再び徘徊した。その渦中にも視線は段ボールから離さなかった。野宿生活6ヶ月目になるハ・某(73)氏は「段ボールを置いておけば皆片付けられてしまう。ここは監視の目がとても多くて。ソウル駅で寝る時はそれなりに良かったんだよね」と不満を言った。他所に比べて相対的に閑散としている2番出口側通路で寝ようとすれば地下鉄駅のシャッターが降りる深夜12時まで待たなければならなかった。

 去る29日は韓国鉄道公社が悪臭と騒音にともなう嘆願誘発、犯罪とテロ危険などを理由に‘ホームレスが駅舎内で寝る行為’を禁止し100日目になる日だ。おりしも午後までずっと雨が降っていたし、気温はプラス6度で、それほど低くはなかったが、風が強かった。ソン氏とハ氏は共にソウル駅が夜 門を閉める前は駅舎で寝た。駅舎の中が安全だと考えたためだ。外で寝てからは救護団体が配ってくれたふとんや生活必需品を入れたカバンをなくし、彼らには荷物が一つもなかった。「初めてホームレスを始める時に来たところがここだから。 ご飯もくれトイレもあるから。似た境遇の人々も多いし。こう言ってはなんだが慰安というのがあった。ところがこのように追い出されたので…」と話すハ氏の目に涙がにじんだ。


 ソウル駅舎の内のすべてのテレビは夜11時になれば消える。一日中、退屈を慰めたテレビが消えると駅舎内に残っていた20人余りのホームレスは一人一人と荷物をまとめて立ち上がった。野宿生活8年目のキム・某(65)氏もひもで縛った段ボールの固まりを持ち立ち上がった。キム氏は郵便局の地下歩道で寝る。この地下歩道には去る7月、ソウル市がホームレス対策として打ち出した80人を収容できる緊急救護施設の工事がまだ進行中だった。キム氏にソウル市が出した臨時住居費支援、開放型カフェ設置など緊急救護政策について尋ねると「そういうことは聞いたことがない」として「駅舎外に追い出すという話も他のホームレスに聞いた」と話した。


 この日最後の列車である釜山発KTXが到着する翌1時15分頃、正午から降り始めた雨粒が大きかった。ソウル駅舎に残っているホームレスは3人に過ぎなかったが、ソウル駅6番出口側の幅7mほどの通路には70人余りのホームレスが軍隊の内務班のようにきちんと横になっていたし、郵便局の地下歩道には30人余り、2番出口に10人余りがいた。風と雨を避けることのできない広場にも20人余り、旧駅舎にも30人余りが寝ていた。


 去る9月、国家人権委員会の緊急実態調査報告書によれば、ホームレスの39.1%が地下道に移り、近隣公園に行ったりもしている(13.0%)。残り(34.8%)は行き場がなくて徘徊していることがわかった。この調査でホームレスは鉄道公社の退去措置に対して「寒さと雨をよける所がなくなって心配」(19.5%)と言ったり、「どこへ行けばよいか見当もつかなかった」(18.3%)と言った。報告書でキム・ソンミ成均館(ソンギュングァン)大講師(社会福祉学)は「ホームレス強制退去措置は個人的・社会的衝撃で住みかを喪失したホームレスたちにまた別の心理的衝撃を加えた」とし「ホームレスに対する差別と烙印を誘発する強制退去措置を直ちに撤回しなければならない」と主張した。


 ホームレス支援団体のホームレス行動は現在、ソウル駅近くのホームレスを250人余りと把握している。去る8月の強制退去実施前の280人余りに比べ30人余りしか減っていない。これはソウル市が掲げた緊急対策に特別な効果がなかったことを証明している。ソウル市は去る8月、臨時住居支援100人、ホームレスが休める自由カフェと緊急救護施設設置などを約束した。しかし自由カフェは周辺商人などの嘆願により開始さえ出来ずにいて、救護施設は12月1日に完工する予定だ。ソウル市関係者は「住居支援200人を追加し、応急救護室を拡充するなど最大600人まで利用可能なように努力しているが、新規ホームレスが継続的に増えている実情であり困難が多い」と話した。


 イ・ドンヒョン ホームレス行動執行委員長は「対策のない退去措置は冬季を迎えるホームレスたちの生存を脅かしている」として「ソウル市と鉄道公社はホームレスを追い出すのではなく、ソウル駅を拠点にしたホームレス、住居脆弱階層に対する政策を繰り広げなければならない」と主張した。


パク・テウ記者 ehot@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/507876.html 訳J.S