原文入力:2011/11/15 23:11(1950字)
ソク・ジンファン記者
[ニュース分析] 寄付に含まれたメッセージ
アン・チョルス ソウル大融合科学技術大学院長が1500億ウォン相当の株式寄付決定で再び政界の‘台風の目’に浮上した。彼が韓国社会に投じた強力な衝撃が短時間に拡散したためか、彼のメッセージと疎通方式に耳目が集中している。
アン院長は15日朝、京畿道(キョンギド)、水原(スウォン)の融合科学技術大学院前で記者たちとしばし会い 「単にかなり昔から考えてきたことを実行に移しただけ」とし「私が講義や本を通じて社会に対する責任、社会貢献について多くを語ってきたが、それを行動に移したまで」と語った。メッセージの核心は‘実践’だ。
政治評論家や専門家たちはアン院長がこの間投じてきたメッセージの特徴をこのように要約する。‘自身が追求する価値が‘理念’ではなく‘常識’という点を強調する。そのために参加し実践する。社会を二つに分けようとは思わないが、明確な歴史認識と現実診断を土台に行動する。自身の考えを表現する時は感性的だがやさしい言葉でする。このすべての方式に一貫性を保とうと思う。’
常識、参加、実践に要約される彼のメッセージは‘大衆に刻印される程に’反復された。先月ソウル市長補欠選挙の時、彼はパク・ウォンスン候補に渡した手紙で「選挙への参加こそが原則が便法や特権に勝つ道であり、常識が非常識に勝つ道」と語った。去る14日アン・チョルス研究所職員らに送った手紙でも「共同体の共生のために小さな実践をすることこそが最も切実に要求される徳性」と話した。
参加と実践を強調する根拠も明確に提示する。彼は「ソウル市長選挙が‘金持ち 対 庶民’、‘老人 対 若者’、‘保守 対 進歩’の対立ではない」(パク・ウォンスン候補に伝えた手紙)として二分法を警戒したが、「私たちの社会の数多くの問題の核心の一つは資源の偏重された配分であり、その根本に教育が位置している」(14日手紙)と強調した。「現執権勢力が政治的拡張性を持つことに反対する」と話したり、普段から彼が大企業中心の企業生態系を根気強ク批判してきたのも同じ脈絡だ。
豊かな感性を込めた彼のやさしい話も、大衆に訴える力を高める要因だ。14日の手紙には希望、恩恵、魂、夢などの単語が反復的に使われた。「いつか一緒にいなくなる同時代の人々と、もう少し意味があり健康な価値を守りながら生きて行き‘星の向こう側の塵’に帰ることが人間の生だと考える」という彼の話はツイッター等を通して強い伝播力でネチズンたちを惹きつけた。
50%の支持率を譲歩した時も、50%の株式持分を出す時も、既成政界の姿とは異なり迷ったり偉ぶる様子がないという点も大衆をひきつける要素に挙げられる。
このように政治と非政治の境界を行き来して既成政治の文法と行動様式を砕いてしまった彼の‘破格’に政界は事実上‘パニック’状態だ。 彼が意図しようがしまいが、今や彼を除いては与野党共に政治の将来を語りにくくなってしまった。 与党は彼の歩みを本格的な‘現実政治参加’と見、彼が呼び起こす政治地殻変動にビリッと緊張している。野党圏もやはりもうアン院長を除いては大衆に大統合の完成を言い難いとみて苦心している雰囲気だ。
シン・ユル明知(ミョンジ)大教授は「アン院長が既成政界から抜け出した行動を通じた、いわゆる‘脱政治の政治’をしているが、彼が国民の心をあまりにもよく読んでいて自身の意思ではなく国民による水平的リーダーシップが形成されているようだ」と診断した。時事評論家キム・ジョンベ氏も「彼は意図しなかっただろうが今回の寄付宣言で朴槿恵前代表が出した生涯周期別オーダーメード雇用などの福祉ビジョンや李明博大統領が推進した公正と共生というスローガンを完全に無力化した」と評価した。彼は「野党圏の立場で見ればアン院長はすでにオフロードでバンバン走っているのに、野党圏はもう道路でも磨いている姿になってしまった」と話した。
キム・オジュン タンジ日報総帥は行き過ぎた政治的解釈を警戒した。彼は「アン院長の歩みが政治的に解釈されることは仕方ないが、事実は彼が政治的になるかと思い恐ろしがる保守陣営が過度に牽制し過剰解釈をしているということ」とし「こういう牽制自体がかえって彼の政治的地位を高める効果を出している」と皮肉った。
ソク・ジンファン記者 soulfat@hani.co.kr
原文: 訳J.S