原文入力:2011/11/07 22:09(2102字)
キム・ソヨン記者
‘最低賃金 100%適用’2015年から
段階施行の5年間 手をこまぬいていた政府
"警備員12% 解雇憂慮"
今になって無責任な延期
2012年には90%適用へ
労働界 "法の趣旨を否定" 反発
←ある警備労働者が7日午後、ソウル、瑞草洞(ソチョドン)のあるアパート団地内の警備室で防犯カメラ画面を見ている。 シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr
アパート警備員など監視・取り締まり労働者への最低賃金100%適用が3年後の2015年に延期された。雇用労働部は監視・取り締まり労働者に対する最低賃金(2011年基準時間当り4320ウォン)を来年には90%まで適用し、2015年から全額適用する方案を推進することにしたと7日明らかにした。 労働界は低賃金労働者の保護および生活向上のためという最低賃金法の趣旨を全面否定したものとして反発した。
■雇用部 "大量解雇負担"
アパート警備員など監視・取り締まり労働者はこの間、最低賃金適用対象から除かれており施行令が改正され2007年から段階的に最低賃金を適用されている。2007年には最低賃金の70%、2008年には80%の適用を受けており来年から100%適用される予定だった。 だが、雇用部は「来年100%適用されることになれば最低賃金が32.5%の引き上げとなり大量解雇が発生する恐れがある」として「適用時期を遅らせた」と明らかにした。雇用部は2007年監視・取り締まり労働者に対して初めて最低賃金が適用された後、4年間に雇用人員が7.7%減り、去る8月全国150世帯以上のアパート団地入居者代表1234人を対象に調査した結果、最低賃金が全面適用される場合、警備員全体の12%を減員する計画であることがわかったと説明した。
政府決定に対して監視・取り締まり労働者は交錯した反応を見せた。ソウル、瑞草区のあるアパートで警備の仕事をしているキム・某(50)氏は「来年、月給が20%上がれば娘を塾に行かせてやると約束したが、政府がその約束を守れなくしてしまった」として「私たちのアパートは住民たちが賛否投票を行い構造調整をしないことにしたが、政府が賃金引き上げを遮断し頭にくる」と話した。ソウル、蘆原区(ノウォング)のあるアパート警備員のイ・某(59)氏は「こちらが最後の職場になるだけに、お金を20万~30万ウォン上げるよりもずっと仕事をできるようにすることがさらに重要だ」として「最低賃金の90%を受け取るならばち解雇が少しは減るのではないか」と話した。
■政府は5年間何をしていたか?
最低賃金引き上げにともなう警備員たちの解雇危険は昨日今日の話ではない。最低賃金が適用され始めた2007年から解雇で警備員が自殺するなど社会的問題になった。にも関わらず政府は施行令を変えた後、5年間特別な対策をたてなかった。特に民主労働党ホン・ヒドク議員が公開した雇用部内部公文書を見れば、去る4月雇用部長官は‘監視・断続的労働者の最低賃金全面適用に対して再検討せよ’と指示したことがわかった。雇用部が当初から最低賃金を全面適用するつもりがなかったのではないかという指摘が出ている。
こうする間に各アパートは警備員の賃金を引き上げる代わりに、賃金を払わずとも良い休憩時間を増やした。休憩時間は2007年の月47.4時間から昨年には73.2時間まで増えた。キム・ドンベ仁川大教授(経営学)は「アパートなどでこの間最低賃金適用について休憩時間を増やし適応してきたが業務空白などでこれ以上は休憩時間の拡大が難しく来年に最低賃金が引き上げられれば雇用減少につながる可能性が高い」と指摘した。これに対し韓国労総チョン・ムンジュ政策室長は「政府は最低賃金適用を避けるために便法的・奇形的に増えた休憩時間を取り締まったり最低賃金の全面適用を定着させるための活動をきちんとしていない」と批判した。
最低賃金適用にともなう管理費値上げ幅や大量解雇憂慮が多少水増しされている主張も出ている。 進歩新党ソウル市党がこの日発表した‘アパート警備労働者の最低賃金適用の争点と解決方案’報告書を見れば、ソウル、冠岳区(クァナクク)にあるアパート管理費値上げ率を推定してみると、最低賃金を100%適用しても管理費が一所帯当り7000ウォン程度上がるのにとどまると推定された。民主労総はこの日声明を出し「最近5年間、防犯カメラ(CCTV)設置率が35%増加するなど監視・断続的労働者らに対する構造調整が相当程度進行された」として「最低賃金適用にともなう雇用減少主張が現実を反映していない」と強調した。
キム・ソヨン、ジョン・ファンボン、キム・ヒョジン記者 dandy@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/504454.html 訳J.S