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京仁アラベッキルはなんと巨大な排水路だった

原文入力:2011/10/31 14:58(2479字)
パク・ヨンニュル記者


[10月29日 試験運航 京仁アラベッキル遊覧船に乗ってみると]
横を見ると削られた斜面の下には汚れた緑色の水
中間地点では700t級遊覧船でも航行が難しい川幅
4人家族で旅行すれば10万ウォンを軽く超えるのに
"2万人の客が集まった" 広報
地方紙には参加費2万ウォンの広告


←車で走りながら運河区間を見下ろすのと、実際に船に乗り水をたっぷり湛えた運河を進むのとでは明らかに興趣に差があった。だが、まもなく10~12ノット程度の遅い速度と窓外の単調な風景に少し飽きてきた。 写真 パク・ヨンニュル記者


 "好奇心で一度は乗ってみる価値はあるものの、まだ整備が不十分で風景がちょっと単調ですね。" 去る29日に試験運航をした京仁アラベッキル遊覧船に搭乗したチャン・某氏の所感だ。

 長きにわたる生態系破壊と経済性論難を呼び起こした京仁アラベッキルは1992年に放水路事業が始まり以後20年、本格的な工事に入り2年半ぶりに工事を終え、この日初めて一般乗客を搭乗させた。投入された工事費だけで何と2兆2458億ウォンに及ぶ。


 この日午後1時30分、西海(ソヘ)、八尾島(パルミド)を往来したハーモニー号(693t)と漢江(ハンガン)遊覧船ユセルアルファ号(430t)等、遊覧船2隻は仁川(インチョン)地域の疎外階層住民など500人余りを乗せアラベッキル仁川ターミナルを出航した。クォン・ドヨプ国土海洋部長官とキム・ムンス京畿(キョンギ)知事など各界要人らも共に搭乗した。


 船が水の流れをかき分けて進むと上甲板に出ていた参加者たちの口から感嘆の声が溢れでた。車で走りながら運河区間を見下ろすのと実際に船に乗って水をたっぷり湛えた運河を進むのとでは明らかに興趣に差があった。 だが、まもなく10~12ノット程度の遅い速度と窓外の単調な風景に少し飽きてきた。


 仁川港から抜け出すとすぐにコンクリート堤防の上にきめこまかく植えられた造形樹が目に入った。京仁アラベッキルは巨大な排水路であった。堤防の向こう側では掘削機とトラックが行き来して運河周辺の仕上げ造形の整備の真っ最中だった。


 船が桂陽(ケヤン)山幹を全て切り出した峡谷の間に入ると、それまで目についた荒涼な田畑や学校などの風景が消え山を削った斜面が目に入った。人工滝など8種類の見どころとして‘水郷8景’を作ったと言っても、まだゴチャゴチャしていて、テーマパークのような作為的な感じは避けられなかった。所々コンクリートで上塗りした傾斜面も目障りだった。


 チョン・ジンヨン水資源公社京仁アラベッキル運用団長は「芝がみな植えられ工事が終わる来年春になれば景観がはるかに良くなるだろう」と話した。


 中間地点に来ると川幅が狭くなった。700t級遊覧船でさえ航行が難しいような幅だった。水は緑色で非常に汚れていた。人工水槽である水路に半月も水を閉じ込めておけば水質が汚染されるという環境団体らの憂慮が思い出された。

 3階甲板からはそれなりに展望が良かったが、1階船室からは外の風景がほとんど見えなかった。船室の退屈を紛らすためにロシア舞踊団と魔術、ジャズ演奏などの公演が準備されていたが、水準はそれほど高くなかった。 料金は片道1万6000ウォン、往復2万8000ウォンに策定された。4人家族が仁川ターミナルに車を駐めて往復で行ってくれば10万ウォンを軽く超える。


 水資源公社側は現在、有料で運営される試験運航予約者が2万人もたまっていると明らかにしたが、大部分が旅行会社を通じた募客だ。去る24日、大邱(テグ)地域のある地方紙に載せられたアラベッキル遊覧船観光広告を見れば、朝・昼・夕食と往復交通費、遊覧船費を含めて参加費はわずか2万ウォンに過ぎない。もちろん中間に高麗人参販売場に立ち寄る低価格観光だ。そのためにすでにアラベッキル観光が団体観光客のための低価格観光コースに転落しかねないという憂慮も出ている。


←京仁アラベッキルは巨大な排水路だった。所々コンクリートで上塗りした傾斜面も目障りだった。写真パク・ヨンニュル記者


 国土部はまた来年5月までアラベッキルと細於島(セオド)などを結ぶ西海航路を追加で開設する計画だ。だが、細於島に行くためには仁川港で降りて船を乗り換えなければならない。アラベッキルのカギは物流運送だ。 韓国水資源公社は2030年にはアラベッキルがコンテナ93万TEU,砂1千万t、自動車6万台、鉄鋼材57万tを輸送する経路になると見ている。しかし環境団体はアラベッキルの経済性が劣り船舶往来がなく周辺生態系を破壊する副作用を産むだろうと指摘するなど、効用性をめぐる論難は続いている。実際に郊外循環道路で30分余り走れば京仁港に着く陸路運送の速度に追いつくためには1時間30分以上かかる船の速度がひどく遅く見えた。これと関連して海運組合関係者は「荷主がまだ運河より陸路運送を好んでいる状況」と伝えた。


 午後3時、川幅が突然広くなるとすぐに金浦(キンポ)ターミナルに到着した。 参加者たちの反応は交錯していた。疎外階層の住民たちと共に船に乗った社会福祉士イ・ギファ(仁川市桂陽区)氏は「それなりにおもむきがあり、初めての運河と目新しくて面白かった」とし「料金がもう少し安ければなお良い」と話した。1時間30分の旅を終えたイ・ハンナ(西京(ソギョン)大4年)氏は「思ったより見どころがなく、物流量も多いとは思えず成果を出るかは疑問」として「多くの市民が接近しやすいように公共交通対策を用意しなければならないだろう」と話した。


文・写真パク・ヨンニュル記者 ylpak@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/503239.html 訳J.S