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‘脱政治の政治’新たな実験が始まった

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/494785.html

原文入力:2011/09/04 23:32(1981字)
キム・ウェヒョン記者、イ・テヒ記者


‘アン・チョルス現象’ホットイシューに
保守-進歩概念 抜け出した
新たな政治構図に関心
成功可能性については意見交錯


10・26ソウル市長補欠選挙を控え、政界の外側の人々が既存政界を揺るがしている。 いわゆる‘脱政治の政治’だ。

ソウル市長補欠選挙出馬を真剣に考慮しているアン・チョルス ソウル大融合科学技術大学院長が代表的だ。ソウル市長候補に出馬する準備をしているパク・ウォンスン希望製作所常任理事もやはり市民社会陣営の要人だ。全野党陣営の有力大統領候補隊列に上ったムン・ジェイン前大統領府秘書室長もやはり大きく見ればこの範疇に入る。彼らは全て‘党籍’を拒否している。ソウル市長候補に出馬するならアン院長は無所属で、パク常任理事は市民候補として出るつもりだ。 ムン理事長も来年の総選挙で嶺南を引き受けるという意向は明らかにしていものの、入党については口を閉ざしている。

シン・ユル明知大政治外交学科教授は、彼らが党籍を望まないという点で「政党参加を排除する‘非政治性’を通じて政治を行っている」と語った。アン院長が代表する‘脱政治’の特徴は、進歩と保守のどちら側にも属さない脱理念政治を指向する。アン院長と懇意な経済界のある要人は「アン院長は普段から‘進歩と保守では説明できないことが多い’と話してきた」とした。‘青春コンサート’を一緒に行うユン・ヨジュン前環境部長官はそれを‘反ハンナラ、非民主’の政治と表現した。 既存の伝統的な与野党構図とは異なる第3地帯政治だということだ。


この概念は最近米国で関心の対象に浮上した、いわゆる‘リバタリアン(Libertarian)’などと近い側面もある。米国の主要シンクタンクであるケイト研究所は2006年こういうリバタリアンたちが有権者の10~20%に達しているという報告書を出した。 既存進歩と保守の両極政治構図を跳び越える第3の政治勢力が登場したという分析だった。また、ツイッター・フェイスブックで広まっている‘アン・チョルス現象’を遠回しに言ってSNS(ソーシャルネットワークサービス)政治と表現することもできる。インターネットではこれを‘概念政治’と呼んだりもする。


アン院長は出馬説が出た状況だけでも大きな威力を発揮した。<国民日報>と世論調査専門機関GHコリアが去る3日に実施した世論調査であるソウル市長候補適合度調査でアン院長は36.7%の支持率でハンナラ党ナ・ギョンウォン最高委員(17.3%),民主党ハン・ミョンスク前国務総理(12.8%),パク・ウォンスン希望製作所常任理事(5.0%)等を大きく上回った。


専門家たちもアン院長の市長当選の可能性が結構高いと見た。しかし問題はその後だと言う。時事評論家キム・ジョンベ氏は「アン院長はソウル市長当選の可能性はある」とした。キム氏は「補欠選挙まで残った時間がなく与野党が‘アン・チョルス’をまともに検証する時間がないため」と言った。政党としても勢力化が可能だと見た。 キム氏は「しかし総選挙と大統領選挙を経てきちんと検証されれば問題は変わる」とした。シン・ユル教授も「ソウル市長としては当選できるだろう」としながらも「ただし、ソウル市内部の巨大な利益葛藤構造でどうしていいか分からなくなるアン院長を見ることになるのではないかと憂慮される」と話した。


反面、キム・ヒョンジュン明知大人文教養学部教授は「韓国ではいわゆる‘第3の候補’が常に序盤に注目をあびるが、選挙終盤に支持勢力が乱れる」として「上がるのも早いが、下がるのも急なのが第3の候補」と語った。与野党の基盤と組織を軽く見てはいけないという説明だ。


アン院長の‘青春コンサート’にたびたび参加しているキム・オジュン<タンジ(訳注:タンジは足払いのこと)日報>総帥は 「アン・チョルスに対して尋ねなければならないキーワードは出馬ではなく単一化」として「全野党陣営から単一化要求がある時、これに応じないならば、彼が受けることになる政治的傷は耐え難いだろう」と話した。


こういう脱政党的政治は政治発展にも役立たないという指摘もある。シン・ユル教授は「政治発展のためにはシステムを変えることを考えなければならないが、個人中心で進めば‘人だけ変われば良い’という側に流れかねない」と憂慮した。韓国政治の‘人物’中心化を加速化させるということだ。

イ・テヒ、キム・ウェヒョン記者 hermes@hani.co.kr

原文: 訳J.S