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法の上位にいる大企業、不法派遣 止まず

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/488116.html

原文入力:2011/07/19 22:29(2194字)
キム・ソヨン記者

「現代自動車 社内下請け労働者、請負ではなく雇用関係」
最高裁判決後1年になるも
下請け労働者の正規職転換
判決後も1名もおらず
解雇104名・懲戒は1000名余り

去る13日、蔚山(ウルサン)市、北区、楊亭洞(ヤンジョンドン)の現代自動車蔚山工場正門の向いの商店街のとある建物. エアコンどころか風さえ通らない部屋に、労働者20人余りが集まっていた。 現代車社内下請けの解雇労働者たちだ。 10分も座っていれば全身汗だくになるけれども、ここは彼らにとってこの上なく大切な空間だ。 復職闘争の拠点の役割をする“第2の労組事務室”だからだ。 彼らは会社が解雇者の工場出入りを禁ずるや、去る2月からこの建物の一室を借りて臨時事務室として使っている。 今年に入り正規職転換を要求して解雇された労働者だけで104人、懲戒者は1000人を越えた。 しかし当面の生計問題などで苦しんでいる彼らの状況とは関係なく、495万㎡(153万坪)に及ぶ世界最大の自動車工場である現代車蔚山工場は、24時間休まず稼動している。

これらの社内下請け労働者にとって、昨年7月22日は夢にも忘れることのできない日として記憶されている。 闇の中で絶望していた彼らに対し、一筋の光のような最高裁判決が下された日だ。「現代車社内下請けの場合、請負(下請け)に偽装した不法派遣に該当するので、派遣法により2年以上勤めた労働者は現代車に直接雇用されたものとみなす」という内容だ。 誰も予想できない結果であった。 地方労働委員会、中央労働委員会、ソウル行政裁判所、ソウル高裁まで敗訴続きのあげく、最高裁で逆転したのだ。 判決の威力はすごかった。 970人だった労組組合員(蔚山・牙山(アサン)・全州(チョンジュ)工場)が2400人にまで増えた。 正規職になれるという期待が彼らを労組の旗の下に集まらせたのだ。 昨年11月には250人余りの社内下請け労働者が蔚山第1工場を占拠して25日間操業が中断されもした。

だが、法も闘争も大企業の前には“無用の長物”だった。最高裁判決が出て1年が過ぎたが、何も変わっていない。 現代車は相変らず不法派遣をしており、派遣法により正規職になった社内下請け労働者はただの一人もいない。

昼間の勤務を終えて工場を出てきた下請け労働者パク・スギル(仮名・38)氏は「最高裁の判決が出たのに、会社は "我関せず"だ」と怒りをぶちまけた。パク氏も工場の占拠籠城で2ヶ月の停職にあい最近復帰したばかりだ。

金属労組「純益の5%を使うだけで正規職転換が可能」

彼は「下請け労働者は今でも現代自動車の生産施設で現代車の部品を使って現代車が作った作業指示書を見ながら仕事をしている」と言った。最高裁の判決趣旨に照らしてみれば明白な不法派遣だ。 正規職と会社側もそれをよく知っている。 艤装部で自動車の組み立てをしている正規職キム・マンチョル(仮名・43)氏は「非正規職が作業をしていて不良を出すと正規職管理者がきて指摘する」と言い「一緒に仕事をしている私たちも不法派遣であることを知っている」と言った。 現代自動車の会社側関係者も「最高裁判決を基準とすれば不法派遣と見ることができる」と言った。 だがこの関係者は「裁判所の判決は自動車産業の特殊性が反映されておらず、受け入れ難い」と述べた。

労働部もすでに2004年に現代車の社内下請けを不法派遣と規定し告発したが、検察が嫌疑なしで処理して現代車は“免罪符”をもらう結果となった。また昨年、最高裁が不法派遣であると認めたため下請け労働者1900名あまりは現代車を相手に勤労者地位確認訴訟を行なっている。
 企業の立場からすれば、社内下請けは“コンノリペ”(訳注:囲碁で、どう転んでも損しない花見コウのこと)のような制度だ。 同じ非正規職である契約職や派遣労働者は法的保護装置があるが、社内下請けは何の規制もない。 賃金は正規職の半分だけ与えればよく、解雇も容易だ。 首を切りたければ下請け業者との契約を解約するだけで済むから、労働者とやり合う必要がない。

金属労組政策研究院の分析を見れば、現代車の下請け労働者を正規職に切り替えるのに1年に約1200億ウォンの追加費用が要る。 イ・サンホン金属労組政策研究員は「現代車はこの10年間の毎年平均約2兆5000億ウォンの当期純利益を上げており、この中から5%だけ投資すれば下請けの正規職転換が可能だ」と指摘した。 ドイツの自動車会社フォルクスワーゲンは企業の社会的役割を強調して、昨年 派遣労働者400人を正規職として採用したのに続き、今年も2200人の派遣労働者を正規職に切り替えることにした。
全国非正規職労組連帯会議のオ・ミンギュ政策委員は「政府が社内下請けガイドラインを発表し、政界が非正規職対策を出しているけれど、非正規職問題の核である不法派遣を解決できなければ面目づくりに過ぎない」と指摘した。

蔚山/キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr

原文: 訳A.K