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出退勤バスにも乗れない現代車の‘下請け’たち…

原文入力:2011/07/19 22:22(1895字)
"社員証を首にかけることができたら・・・"
キム・ソヨン記者

下請け労働者 止まらない涙

←全国金属労働組合現代自動車支部組合員が去る6月3日、蔚山市、北区、楊亭洞の現代車蔚山工場で2011年賃金および団体交渉出征式が始まるのを待っている。 蔚山/ニューシス

コ・キルソン氏 「正規職か協力業者かを聞かれるたびに臆する」
イ・ミンス氏   「業務量が減り雇用不安…闘争あきらめない」
イ・ジンソン氏 「私が正規職になれば非正規職と共に戦うだろう」
現代自動車には蔚山・牙山・全州工場を合わせて8200人余りの社内下請け労働者が働いている。彼らの賃金は正規職の50~60%ほどに留まり、常に雇用不安に苦しめられていると非正規職労組は主張する。下請け労働者は30代が最も多く、相当数が仕事を求めて‘外地’から来た。

■差別と雇用不安
慶北の小さな田舎の村から仕事を探して2004年に蔚山に来たコ・キルソン(仮名・30)氏は初めて現代車に入社した当時、夢をふくらませた。だが、期待はしばしのことだった。現代車で正規職と非正規職の処遇はあまりにも違った。下請け労働者は辛い作業に配置されるが賃金は正規職の50~60%に過ぎなかったという。成果給も差が大きく、子供の学資金などは‘絵に書いた餅’だった。 会社の出退勤バスさえも下請け労働者は乗れなかった。

目に見える差別よりもっと耐え難いことは、下請けという‘レッテル’だった。チョン・ソンミン(仮名・34)氏は合コンとか昔の友人たちとの集りに出て行った時、誰かに職場について聞かれれば肩がすぼまる思いがすると話した。現代車に通っていると言った瞬間、‘正規職か、協力業者か’という質問が後に続くためだ。彼は 「現代車に通っているといえば‘すごい’という視線を送りながらも、下請け業者で仕事をしていると言った瞬間、何か失望した表情に変わるようだ」として「私がしていることを堂々と話すことはできない」と話した。

差別と並んで下請け労働者たちを締めつけているものは雇用不安だ。新型モデルの自動車が出てくる度に下請け労働者は緊張する。イ・ミンス(仮名・35)氏は 「現代モービスなど大きな部品企業等が最初からエンジン・シャーシーなど大きな単位の組み立て部品を作り納品する‘モジュール化’が広がり、本社(蔚山工場)で仕事をする業務量がますます減っている」として「新車が出てくる時、モジュール化の程度により工程別業務量が決定されるため雇用不安が激しい」と話した。業務量が減れば非正規職が構造調整の一次的対象になる。経済危機は下請け労働者にとって致命打だ。パク・スギル(仮名・38)氏は 「2008年経済危機の時、特定車がよく売れないので生産が中断され、その車を作っていた正規職は他へ配置転換されたが非正規職100人余りは仕事場を去った」と話した。

■下請け労働者にとって正規職は?
正規職転換を要求して闘争している現代車下請け労働者にとって、正規職はどんな意味であろうか? コ・キルソン氏は「実際に正規職になっても昼夜なしに働いてばかりいるのは同じだが、7年間 非正規職として生きてきて感じたあらゆる悲しみを考えれば正規職自体が大きな補償」と話した。ただの一度だけでも工場に入る時、出入証ではなく社員証を首にかけて入りたい。キム・キチョル(仮名・36)氏は下請け労働者を‘ホン・ギルドン’に比喩した。キム氏は「ホン・ギルドンは父親をお父さんと呼ぶことができないが、下請け労働者も現代車が明確に使用者であるにも関わらず使用者と呼ぶことはできない立場」として「7年ごしで仕事をしているけれど現代車が私の職場なのか、正規職労働者が同僚なのか、自己恥辱感が強い」と話した。

正規職は愛憎の対象でもある。イ・ジンソン(仮名・37)氏は「工場で一緒に仕事をする時は兄弟のように仲良く過ごすが、率直に言って正規職は非正規職闘争にはこれと言った関心がない」として「腹が立ったり、かと言って理解できる面もあったりして複雑な感情」と語った。イ氏は「正規職は一度も非正規職になって見たことがないのでこの苦痛を知らない」として「私はこの痛みを分かるので正規職になったら非正規職と共に戦う」と話した。

蔚山/キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/488124.html 訳J.S