原文入力:2011/07/09 21:11(3425字)
‘希望バス’参加者、父娘・姉妹・恋人など多様な同行
キム・ジンスク委員 "1万人集まった 私たちはすでに勝ちました"
←才能教育座込み場前に集まった希望バス参加者ら
キム・ヘスン(36.会社員)氏は1次希望バスに乗って釜山に行った日、韓進重工業の塀を乗り越えた時のその瞬間を忘れられない。奇蹟のようにどこかからはしごが現れ、人々ははしごを使って塀を越え始めた。キム氏は迷っていた。夜中にロウソクのあかりを持ち、疲れていたりもしたし、はしごで乗り越えることが危険に思えたりもした。しばらくためらっていたその瞬間、青い服を着た一人の男がキム氏に手を差し出した。キム氏は黙って差し出された彼の手を握り無事に塀を越えた。
何日か後、キム氏はテレビ ニュースで強制的に引かれて出てくる韓進重工業労働者たちを見た。‘ア、あの人だ。’キム氏はその時、初めて自身の手を握ってくれたその男が韓進重工業解雇労働者だったことを知った。 突然、涙が出た。キム氏は「私は希望バスに一度乗って行ってくればそれだけだったが、そちらではずっと人々が戦っていた。一度行ってくることで終わってはいけないという気がした」と話した。
キム氏は9日午後1時、ソウル広場前を訪ね‘2次希望バス’ 41号車に身をのせた。 幸い6才と7才の二人の子供は夫が引き受けてくれた。「私たちが1次希望バスに乗ったその日、キム・ジンスク委員が籠城以後初めて気楽に眠ったと伝え聞きました。今日もキム・ジンスク様が気楽に寝つかれたらいいですね」
希望バス185台が釜山に向けて出発した。全国から1万人余りの市民が6ヶ月を超えて籠城しているキム・ジンスク民主労組釜山地域本部指導委員を応援するために出発した。希望バス準備チームのキム・ヘジン氏は 「誰が組織したのでもないのに自発的にこんなに多くの市民が集まったことは初めてだ。本当にすごい」と話した。
35m高空クレーン上にのぼった労働者1人が全国の市民を動かしている。何が彼らを希望バスに乗せさせたのだろうか。 希望バスに乗った人々はどんな事情を持っているのだろうか。
#予備労働者の微笑
イ・ソマン(24.大学生)氏はまもなく卒業する大学4年生だ。授業料を用意するために4年間苦しんだつらい記憶を持っている。これから彼はまもなく労働者となる。
イ氏は 「社会福祉学を専攻しながら‘一緒に暮らすことの重要さ’をよく知っている」とした。「自分ももうすぐ労働者になるでしょう。韓進重工業解雇労働者が勝利する経験をしてこそ私のような予備労働者が不利益を体験せずにすみます。」イ氏は6月11~12日の間に進行された‘1次希望のバス’には10日に開かれた‘半額授業料集会’に参加するために乗れなかった。「とても残念だったが今回は一緒にすることができてうれしい」と話すイ氏の口元から微笑がこぼれた。イ氏のボーイフレンドが「危険だから行くな」と言ったがイ氏が意を曲げないため、結局 恋人は釜山へ一緒に行くことにしたといった。
#希望バス父娘連帯
イム氏父娘は希望バスの後部座席に並んで座っていた。黒い皮膚のお父さん、まだうぶ抜けない白い皮膚の娘が両手をしっかり握っていた。お父さんのイム・某氏の手をしっかり掴んでいたのはイム・ソダン(永登浦女子高2学年)さんだった。イムさんは「ニュースで接することが出来ない新しい世の中を力一杯体験できそうで期待している」と話した。
お父さんに連れられて希望バスに乗ったが、イムさんは「初めてのことではない」と言った。
「お父さんと2008年ろうそく集会もしょっちゅう行きました。警察の放水も何度も当たりましたよ。こういう経験をさせてくれるお父さんが誇らしいです。」イムさんは慎ましく笑った。
イムさんのお父さんイム・某(48)氏は典型的な386世代だ。83年度入学生の彼は「その時期、みながそうであったように社会運動は全てした」と語る。五十路を控えたイム氏は娘に譲らなければならない世の中が相変らず反労働者的なことが気にかかる。それで娘の手を握り釜山へ向かうことになった。
イム氏に「娘に良い教育になりそうだ」と話しかけると「そうではなくて、一緒にするのです」という返事が帰ってきた。そばにいたイム・ソダンさんは「お父さんが誇らしい」と続けて話した。共にバスに乗り釜山に行った市民は‘希望バス父娘’にキム・ジンスク氏の本‘塩花木’をプレゼントしてくれた。
#希望バス姉妹連帯
ソン・ウンミ(33)氏姉妹も並んで希望バスに身をのせた。姉さんは会社員。自身はフリーランサーと紹介した。警察が行進を許可しないだろうという消息を聞き、怖くもなるが二人は共に釜山に行くことにしたといった。
名前を明らかにすることが出来ないソン氏の姉さんは「私たちはいつもこのようにして集会に出て行く」と話した。「妹が警察に捕れば私が後始末をしなければならないですね。」この話しを聞いたソン・ウンミ氏は「姉さんと一緒に行くから恐ろしくない」として明るく笑った。
彼らは同じ女性としてキム・ジンスク指導委員の闘争に連帯したいと考えた。「男たちにはよく分からない苦痛が多いのです。キム指導委員がぜひ挫折しないで生き残り解雇労働者問題を必ず解決して欲しいです。」ソン氏姉妹の願いが希望バスに乗り85号クレーンに走って行った。
#‘クィアバス’も走った
性少数者のイ・某(28.重症障害者活動補助労働者)氏もキム・ジンスク委員を応援するために希望バスに乗った。ところで彼の乗ったバスの名前は少し独特だ。‘希望クィアバス’。‘クィア’は‘愉快’という意の同性愛者を指し示す言葉だ。
イ氏は周辺同性愛者50人余りと共にクィアボスに乗った。性少数者は私たちの社会の代表的な社会的弱者だ。彼らも韓進重工業解雇労働者を応援するためにクィアバスを組織した。ある性少数者ファッション コラムニストは韓進重工業解雇労働者を助ける人を‘食堂のおばさん’に例えてさげすんだが、彼らの考えは違う。
「もちろん、解雇の心配なしに生きている性少数者もいるでしょう。だが、大部分の性少数者も平凡な労働者です。私たちのような性少数者が解雇労働者の痛みを分かち合うのは全く変なことではないのです。」
イ氏とともにクィアバスに乗った性少数者は七色の虹の旗を掲げて立っていた。多様な色が仲良く旗の中で笑っていた。
#“希望バス参加者は歴史の主人公”
←ユ・ミョンジャ全国学習誌労組才能教育支部長
資本に冷酷に踏み付けられた労働者があふれ出ている。釜山でもソウルでも解雇労働者の座り込みは終わりがない。午後1時。希望バス参加者はソウル広場近隣の才能教育解雇労働者座込み場に集結した。こちらが2次希望バス出発地だ。
ユ・ミョンジャ全国学習誌労働組合才能教育支部長はこの日、上気した声で市民に向かって演説していた。
“会社が労組をなくそうとし、1300日間戦ってきています。希望バス参加者の皆さん。周囲にいる子供たち、父母たちに訴えて下さい。才能教育不買運動に参加して下さい。”
この日のユ氏の声には力がこもっていた。希望バスが彼に吹き込んだ力だった。
クレーン上のキム・ジンスク委員はこの日ツイッター(@JINSUK_85)に文を残し希望バス参加者たちを‘歴史の主人公’と奉った。
“希望バスは多くのことをもたらすでしょう。愛、希望、連帯、これらすべてのものを込めた‘人間に対する礼儀’。この道を礼儀知らずたちが阻み立つでしょう。1万名が集まったことで私たちはすでに勝ちました。最も平和な勝利! 大胆で楽しい祭り! 新しい歴史の主人公をときめく気持ちで待ちます。”
希望バス41号は夕方7時40分頃、釜山駅広場に到着した。釜山駅広場にはすでに5千人余りの‘希望の人波’が集まっていた。
←9日、5千人余りが釜山駅広場に集まった。
ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/486616.html 訳J.S