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職業性癌認定 0.1%だけ…‘労災認定は空の星を取るようなもの’

原文入力:2011/06/27 22:23(1623字)
キム・ソヨン記者

三星の白血病“労働者に立証責任”に批判洪水
“疫学調査も形式的”制度現実化の声 高まる

労災保険法改正方案 討論

“三星半導体白血病労災認定”判決を契機に、現行の労災補償保険法を全面改正しなければならないという声が出てきている。“半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム(四捨五入)”のイ・ジョンナン労務士は「今の構造で労災認定を得るということは“空の星を取る”より難しい」と言う。 実際我が国の職業性癌認定率は0.1%に留まっている。

■専門家でも難しい労災立証
27日午後、国会で環境労働委員会所属のイ・ミギョン、チョン・ドンヨン、ホン・ヨンピョ(以上 民主党), ホン・ヒドク(民主労働党)議員の共同主催で「三星白血病事件を通してみた労災保険法改正方案」の討論会が開かれた。 この日の討論会では、労災認定を得るには災害が業務によって発生したという因果関係を当該労働者や遺族が立証しなければならないことになっている現労災保険制度が、集中的に批判を受けた。

“三星白血病”のケースを見れば、災害労働者がすでに死亡している場合、遺族たちにはどんな有害要因のどんな作業方法により露出したのか知る方法がない。災害労働者が闘病中であっても同じだ。 討論会でイ・ジョンナン労務士は「白血病に罹り労災申請をしたキム・オギ氏は、5年間半導体チップ異物除去用に数えきれない程使った洗浄剤が‘トリクロロエチレン’という発ガン物質だとは知らなかった」として「勤労福祉公団や使用者が、労働者の災害が“業務関連性がない”ということを証明できなければ労災と認定する方向に法が変わらなければならない」と主張した。

これと関連して2009年末、ソウル高裁は注目すべき判決を下した。 裁判所はセメント工場で21年間勤めて 副鼻洞 (鼻腔)癌で死亡した労働者に対し「勤労者が災害の因果関係を明らかにすることは難しい」として「国家は他の原因によって病気にかかったということを立証できない限り、労災と認定しなければならない」と判決した。 公団に反証する責任があると釘を刺したわけだ。 この判決は昨年 大法院で確定された。

■疫学調査に対する疑問
三星白血病事件で産業安全公団の疫学調査がなされたが、問題がないという結論が出て、勤労福祉公団傘下の業務上疾病判定委員会はこれを受け入れ“不認定”と決定した。 労務士のイ氏は「労災認定に決定的役割をする疫学調査が、明らかにすることが困難な白血病の原因を捜し出せるよう綿密に組まれた調査というよりは、事前に事業主と日程を合わせて進められた形式的な調査だった」と批判した。 全体306人中、医師が258人を占める業務上疾病判定委の運営も問題になった。 討論者として参加したクォン・ドンヒ労務士(法律事務所“セナル(未来)”)は「労災は業務関連性など法律的判断が必要だが、疾病判定委は医学的判断に埋没していて問題だ」と話した。

この日の討論会では労災治療を“先保証、後認定”のシステムに変更しようという提案も出てきた。イム・ジュン労働健康連帯執行委員長は「現在のように労働者が労災と認められてから治療を受ける構造では労災治療をまともに受けることはできない」として「病院で労災治療対象者をまず判断して、労災立証責任は公団や第3機関に変更しなければならない」と主張した。

一方、雇用労働部は昨年末から労・使・政が参加した“労災保険制度改善タスクフォース(TF)”で、労災認定基準拡大、判定手続きなどを議論している。
キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/484778.html 訳A.K