原文入力:2011/06/24 17:20(3144字)
←警察のような用役たち 柳成企業労組員ら(写真手前に後ろ姿が見える人々)と盾を持った会社側用役業者職員が去る22日午前、忠南、牙山市の柳成企業正門前で対峙している。 牙山/全国金属労組提供
柳成企業牙山工場はまるで要塞のようだった。自動車部品を生産する忠南、牙山市、屯浦面のこの工場正門は盾を持ったがっしりした男たちで埋まっており、周辺の塀には丸型の鉄条網で囲まれていた。本格的な梅雨に入った23日、どしゃ降りの雨が工場に降ったり止んだりしていた。
‘要塞’は会社に雇用された用役職員が守っている。前日、柳成企業労組との衝突でマスコミ映像などに撮られた彼らの姿は威圧的だった。両者の衝突で労組員18人が頬骨が陥没するなどの重・軽傷を負い、用役職員6人も負傷した。消火器を労組員に振りまき投げる彼らの暴力に労組員らも応戦した。
顔にマスクをかぶり、鉄パイプと鎮圧用具で武装した用役は何者か? <ハンギョレ>は柳成企業の用役職員2人に会い話を聞いてみた。正式インタビュー要請は会社側が断ったが、会社周辺を守り立っていた2人の用役職員と話を交わすことができた。 現在、牙山工場には才能教育労組などに対し執拗な労組破壊行為で名を馳せた労使紛争専門警護業者‘CJセキュリティ’をはじめとする3社以上の用役業者が下請けと再下請けで入ってきている。
2人1組で警備に立っていた用役は記者の接近を警戒した。胸に付けた無線機をいじりまわし二人でこそこそ話し合う様子から見て外部接触があれば報告するようになっているようだった。浅黒い顔とがっしりした体格の彼らは初めは恐ろしかったが、いったん警戒を緩めるや中学生のように無邪気に難しい状況を訴えた。
3交代24時間勤務、足りない睡眠
先月27日から投入されたという彼らは日常的な疲労を訴えた。労組員500人余りが「夜昼交代勤務を昼間2交代に変えてくれ」として籠城を行い公権力によって会社外に追い出されたのが同じ月の24日だった。最も大きな疲労の原因は足りない睡眠だった。「毎日3交代で勤務に立ちます。昼間には1時間立ち2時間休み、夜間には2時間立ち4時間休みます。睡眠は休む度にとります。」2人の用役職員の中でよりがっしりした体格のパク・某(24)氏は「呼び出しがあれば休んでいる間でも飛び出していかなければならない」と話した。
工場内には物資が足りないといった。やせた体形のイ・某(23)氏は「最近数日はご飯とキムチ程度で食事を間に合わせた」として「酒は飲めず、ほとんどすべての用役がストレスでタバコを吸うがタバコも無くなった」と話した。
柳成企業牙山支会労組は去る15日からストライキを解除し正常出勤をすると明らかにしたが、会社側は選別復帰方針を固守しコンテナ2棟を積み正門を閉鎖した。 この日会った用役職員2人は昨日、正門コンテナを片づけ「用役が進出し再び物資が入ってくるだろう」と期待していた。
"辞めるなら代わりの人を連れてこなければ"
先立って去る14日には19才のサービス職員K氏が会社を抜け出し道の向い側の労組状況室に立ち寄った。労組に「とても恐ろしかった、これはだめだと思って逃げた」と話したというK氏は「柳成企業内に常駐する用役が少なくとも250人はいるだろう」と伝えた。イ氏は「その後に逃げた人が多く自分たちも今の数はよく分からない」と話した。
こうした仕事を敬遠する人が多いと見ると、個人的に離脱しようとするなら会社では「代わりの人を連れて来い」と要求すると彼らは伝えた。パク氏は「下請けを与えた側では下請け業者の人員が減れば問題になるので頭数をずっとチェックしている」として「それで個人が抜ければ代わりの人を要求する」と話した。彼は「普通は下請け業者単位で人々が抜けて入ってくる」と付け加えた。
専門的な用役職員を除けば、彼らはインターネットなどで‘警護職員募集’求人広告を見てきた人々だ。実際、先月25日に柳成企業牙山工場で仕事をする警護要員を募集するB警護業者のバイト ホームページ広告を見れば△身長178以上、体重80KG以上△高等学校以上の学歴△特殊部隊出身および段位所持者優待となっている。勤務形態については‘警護業の特性上、週5日勤務および出退勤時間保障が困難’と書いてある。 給与は‘月180~250可能’と提示した。
イ氏は 「給与が良いので大学生がこんなこととは知らずに訪ねてくる」 と話した。オ・セフン ソウル市長の腰も曲げさせるほどの高い授業料が純真な大学生を用役バイトに追い立てているということだ。
先立って抜け出したK氏も「芸能人警護やコンサート行事と思って行った」と話した。彼はまた「勤労契約書のようなもの作成しなかったし、筆記で何かを作成したこともない」と付け加えた。‘給与はどのように払われているか’という質問にイ氏は「決まった日に通帳に送金される」と話した。
“私達だけがやった訳ではないでしょう”
芸術系側の仕事に従事していたが金が必要でこちらに来たというイ氏は、労組と自分たちが同じ境遇だと訴えた。「労組とぶつかる時は恐ろしいです。ところがそれは相手も同じだから。事実、私達だけがやった訳ではないでしょう。」彼はまた「昨日、衝突の記事を見たが用役職員に対する悪口が多かった」として悔しがりもした。
軍除隊後2年間、警護業者の仕事をしているというパク氏は「ここに(柳成企業)はそれでも韓進重工業に比べればマシだ」と正面から受けた。彼は「聞こえてくる話では、そこは労組が1500~2000人は集まっているらしい」として「こちらの業界では下請けが仕事を受けなければならないので、各地の状況がはやく分かる」と説明した。韓進重工業の警備に立っている用役もこちらと同じCJセキュリティだ。
彼はまた、今回の柳成企業のストライキに「警察がはやく投入された」と‘観戦評’を出すこともした。「たいていは会社と労組との葛藤がもっと深刻になった時に警察が出るのに、ここは警察がはやく入ってきました。投入時期は会社が警察にどのように要請するかにかかっているが、そうして見ると、この会社が重要だということかなと思います。」イ氏は「我が国の自動車の70%がここの部品を使っているから」と加勢した。柳成企業のピストンリングは現代・起亜車と韓国GMに70%以上供給されている。
“はやく終わらせなければならないですね”
2人ともこの仕事が「すべき仕事ではない」と口をそろえた。パク氏は「お金がちょっと貯まれば小さな店の一つでも用意して、写真を撮りに旅行に行きたい」として「はやく辞めなければならないですね」と打ち明けた。2人が交代する頃になるとすぐにまた雨が降り始めた。
“夜には眠れるようにしてくれ”として籠城を行い、工場外に追い出された柳成企業労組員は会社の‘選別復帰’方針のために今は帰れずにいる。この間、彼らを阻むために会社が下請けと再下請けで日当8万ウォンで雇用した用役職員は仮眠で疲労がたまり労組と‘血まみれの’戦争を行っている状況だ。しかし、いつものように、この戦争の責任は兵士にあるわけではない。
クォン・オソン記者 ツイッター@5thsage
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/484375.html 訳J.S