原文入力:2011/06/23 22:18(1754字)
ファン・チュンファ記者
半導体 手作業、許容値以下でも発病可能性 認定
労災保険研 調査、通常と異なる状態で測定 結論
←三星電子半導体部門 労災日誌
裁判所判断根拠
裁判所は三星電子半導体事業部で勤務した労働者が有害化学物質と電離放射線などの発ガン物質に長期間露出したことにより急性骨髄性白血病に罹ったと判断した。白血病などに罹った5人の労働者全員が有害化学物質に露出した事実は認めたが、3人の労働者は直接的に長時間露出しなかったと判断し労災認定しなかった。
ソウル行政法院は白血病発病の因果関係が医学的に‘明白に’立証されなければならないわけではないと判断した。裁判所は「就職当時の健康状態と病気の原因、作業場での発病原因有無、該当事業場での勤務時間などを考慮した時、病気と死亡の間に相当な因果関係があると推測判断されれば立証されたと見なければならない」と説明した。
■発ガン物質に長期間露出…慢性・低濃度汚染
裁判所の説明を総合すれば、労災が認められたファン・ユミ(死亡当時23才)氏とイ・スギョン(死亡当時30才)氏は長期間ベンゼンなどの発ガン物質に露出した。ファン氏らは器興事業場3ラインに勤め‘湿式蝕刻’(Wet Etching)等の業務を1年8ヶ月~10年間にわたり担当した。湿式蝕刻は半導体を化学物質に漬け不要な部分を除去する作業であり、手動設備が備えられていた3ラインでファン氏らは直接 化学物質に手を漬け半導体を取り出さなければならなかった。業務効率を理由に安全保護具は使わなかった。
喚起もきちんとなされていなかった。裁判所は「生産設備を点検し汚染物質が流出すれば外部空気を10~20%ほど流入させ再循環するが、汚染物質がライン内部空間などを循環し勤労者や検知器が感知できない間に慢性的な低濃度汚染を起こしうる」と明らかにした。
ファン氏らが‘持続的’に露出した汚染物質は、医学的に発ガン物質と認められた有害化学物質だった。医学界の話を総合すれば、電離放射線とベンゼンなどは白血病の発病原因に挙げられている。特に電離放射線は福島原子力発電所でも漏れ出た放射線であり、遺伝子に損傷を起こすが骨髄細胞などが影響を受ければ白血病が発病する恐れがある。電離放射線を発生させるインプラント工程はファン氏らが勤めたところから80mほど離れており、裁判所は彼らが電離放射線に露出したと判断した。裁判所は「露出量が許容基準未満だったとしても、ファン氏らが1年8ヶ月間 有害化学物質に露出しながら電離放射線と相互作用を起こし白血病を誘発しうる」と明らかにした。
■ "発ガン物質はない" 三星の主張 排斥
裁判所は有害化学物質が基準値に達していないという三星の半導体工場疫学調査結果は受け入れなかった。裁判所は「発ガン物質はないという三星側の調査は、上・下半期に一定の測定時期を定め該当期間に作業場所別に一回測定したもの」とし「これは通常の作業環境を測定したとは見難い」と指摘した。
三星電子は2007年に産業安全保健研究院に器興事業場疫学調査を依頼し「化学物質水準が非常に低く、発ガン物質と知られたベンゼンなどは検出されなかった」という結果を出した。だが、ソウル大産業協力団が5ヶ月間にわたり半導体事業場の危険性を調査した資料によれば83種の化学物質が発見され、この内24種の物質だけが管理されていた。
‘半導体事業場勤労者の癌発病危険が一般国民より高い’という産業安全保健研究院の調査も半導体工程と白血病発病の因果関係を裏付ける根拠として認められた。これは2008年に国内半導体製造会社6ヶ所を調査した結果だが、裁判所は「一般国民にくらべ標準化死亡比や標準化癌登録比が高く、ファン氏らの作業環境が白血病発病に影響を及ぼしただろうという推定を裏付けている」と付け加えた。
ファン・チュンファ記者 sflower@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/484300.html 訳J.S