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(韓国)蔚珍住民1万6000人に保護服500着・防毒マスク2700個のみ

原文入力:2011-03-22午後10:20:38(2255字)
‘原電事故マニュアル’事故が起きれば対応無策

キム・グァンス記者、チョン・デハ記者、パク・ジュヒ記者

←原子力発電所位置(*クリックすれば大きく見ることができます。)

原子力発電所21基が稼動中の釜山機張郡、慶北慶州市・蔚珍郡、全南霊光郡など自治団体4ヶ所の原子力発電所事故対応マニュアルと実際のマニュアル運営状況を見渡してみた結果は、我が国政府が前面に掲げる‘原子力発電所強国’という華麗な修飾語とは程遠く見える。

■放射能監視 おざなり
原子力発電所事故の時、放射性物質が外部へどれくらい漏れ出たかをリアルタイムで監視する測定所は4自治団体の原子力発電所周辺に10~20ヶ所ずつある。大部分が原子力発電所から半径8~10km以内の放射線非常計画区域に集中しており、その他地域には測定所が非常に少ない。

機張郡の輪原子力発電所周辺には放射能測定所が12ヶ所あるが、10km圏外には1ヶ所のみだ。慶州市の測定所10ヶ所の内、月城原子力発電所の10km圏外には2ヶ所のみ設置されている。霊光郡測定所13ヶ所の内では4ヶ所が14~25km地点に分散している。原子力発電所のすぐ近隣には放射能漏出監視網が細かい方だが、8~10km圏外は放射能監視網が非常に粗末な実情だ。

教育科学技術部が原子力発電所地域外の放射能をあまねく監視するために全国主要地点70ヶ所に測定所を置いているが、全国基礎自治団体が228ヶ所である点を考慮すれば市・郡・区3ヶ所の内 1ヶ所に測定所1ヶ所ずつだけが稼動しているわけだ。

日本、福島原子力発電所から出た放射能が気流に乗って数日で半径20~30kmまで拡散したように、放射性物質が風向きにより不特定地域に飛んで行けば、測定所のない地域の住民たちは放射能感染有無さえも分からなくなりうる。

■防毒マスク・保護服 不足
原子力発電所がある自治団体では、新しい原子力発電所ができる時に1000億~2000億ウォンの支援金を受け取るのとは別に、毎年国家と原子力発電所事業者である韓国水力原子力(株)から100億~200億ウォンずつを支援される。

だが、これら自治団体が原子力発電所事故の際に必ず必要な安全装備を整えることにはケチだ。昨年、原子力発電所支援金として各々96億ウォン、165億ウォンを受け取った慶州市と蔚珍郡は、原子力発電所と関連した装備購入などには予算を1ウォンも使わなかった。昨年267億ウォンの原子力発電所支援金を受け取った霊光郡は原子力発電所事故対応装備購入に5000万ウォンを使っただけだ。

非常計画区域内の住民たちが利用できる保護装備は非常に不足している。原子力発電所6基が稼動中の蔚珍では非常計画区域内に1万6000人余りが暮らしているが、保護服はかろうじて500着、防毒マスクは2700個あるだけだ。保護服は確保率が20%にもならない。防毒マスクは慶北慶州市だけが非常計画区域内の住民数より多い1万1000ヶ余りを備えているだけで、残り3自治団体の確保率は16.7~25.6%にとどまる。

機張郡災難安全課関係者は「原子力発電所支援金は住民念願事業に使っている」として「住民を保護する装備は原子力発電所事業者や国家が支給すべきだ」と話した。教科部関係者は「自治団体らが原子力発電所支援金で個人保護装備を買うことが当然だ」と主張した。

■待避所が更に危険?
原子力発電所事故が起きれば非常計画区域内の住民たちは中間集結地で会い、車両で20分~1時間離れた待避所に行かなければならない。だが、待避所に指定された小・中・高校の建物の大部分は地震に耐えられるように作られた建物ではない。霊光原子力発電所の近隣待避所19ヶ所の内、耐震設計されているところは一ヶ所もない。残り3自治団体の実務部署は待避所が耐震設計されているか否かも把握できていない。

光州環境運動連合関係者は「去る10年間に規模5に近い強震2回をはじめ光州・全南地域では58回の大小の地震が観測されており、地震の頻度も増加傾向」として「決して霊光原子力発電所も地震のような要因による事故から自由とは言えない状況」と話した。

■防災訓練も不十分
原子力発電所がある自治団体では原子力発電所事業者とともに4年に1回‘合同訓練’を行わなければならず、教科部は5年ごとに自治団体とともに‘連合訓練’を行わなければならない。霊光郡は1986年から昨年までの24年間に合同訓練は9回行い、連合訓練は一度も行われなかった。機張郡は2000年以後、合同訓練のみ4回行っただけだ。

極めて稀に行う訓練さえも平日の昼間時間帯に行っており、老人と学生を中心に100~200人ずつが参加している実情だ。蔚珍郡は1989年から昨年まで7回の合同訓練を行ったが、平均参加人員は181人に留まった。慶州市陽南面の月城原子力発電所近隣住民は「20年余りの間、こちらで暮らしているが原子力発電所事故に備えた訓練を一度も受けたことがない」と話した。
釜山、光州、大邱/キム・グァンス、チョン・デハ、パク・ジュヒ記者 kskim@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/469274.html 訳J.S