原文入力:2011-01-12午前09:05:42(2005字)
‘側近・見返り人事’ MBに直言する人物なし
参謀陣“大統領の意中があって限界”と弁解
与党、公開提起自制の中、イム・テヒ室長に矢
ファン・ジュンボム記者
チョン・ドンギ監査院長候補者が自ら候補者を辞退するほかない状況に置かれたことにより、大統領府の人事システムにまたも‘赤信号’がついた。 人事の失敗が繰り返される中で、誰か責任を負うべきではないかとの責任論も政界に広がっている。
チョン候補者が辞退すればイ・ミョンバク政府になって国会の人事聴聞会の対象となる候補者が中途下車する8回目のケースとなる。 昨年7月のイム・テヒ大統領室長就任以後だけでも6ヶ月間にキム・テホ国務総理、シン・ジェミン、イ・ジェフン長官候補者に続き4人目だ。 特にイ大統領が昨年9月キム・ファンシク当時監査院長を国務総理に抽出した後3ケ月間悩んだあげくに発表したこのチョン候補者人選は、与党のハンナラ党に正面から拒否されて、最悪の‘人事惨事’として記録されることになろう。
大統領府は2009年7月、チョン・ソングァン検察総長候補者の落馬の際、首席級人事企画官を新設したが、ずっと空席のまま、結局この年末に廃止した。 昨年8月キム・テホ、シン・ジェミン、イ・ジェフン候補者の落馬後には自己検証書の項目を200個に増やし、大統領府内模擬聴聞会制度も導入した。 しかし今回の‘チョン・ドンギ事態’に見るように、状況はより一層悪化している。
このため大統領府周辺では “制度の問題ではなく人の問題だ”として“誰かが責任を負わなければならない”という問責論が提起されている。 相次ぐ人事失敗の根本原因は、回転ドア式人事・側近人事・見返り人事のスタイルを捨てることができないイ大統領の人事哲学にある。 大統領府が監査院長候補として検討してきた人は、チョン候補者の他にリュ・ウイク前大統領室長、ペク・ヨンホ大統領府政策室長、キム・ギョンハン前法務部長官、イ・ダルゴン前行政安全部長官など、すべてイ大統領の側近であるという点がこれを傍証する。 だが、イ大統領に “それはだめです”と言ってブレーキをかけることが出来なかった参謀陣が責任をとらなければ、こういう事態が繰り返されることを防ぐことはできない、というのが問責論者の主張だ。
大統領府関係者は11日、“チョン候補者は監査院長として始めから不適当な人物だった”として△監査院の独立性・中立性毀損△高額収入に対する国民の反感△民間人不法査察および ‘道谷洞(トゴクトン)土地問題’(訳注:イ大統領が大統領戦の時不正疑惑の焦点となっていた問題の一つで、当時検事だったチョン候補者が嫌疑なしとした経緯がある)イシュー喚起△与党と野党の反発で国会表決難航などを理由に挙げた。 だが、こうした意見をイ大統領に強く提起した参謀はいなかったことが明らかになった。
チョン候補者指名直後の世論悪化にも、大統領府の参謀陣はかえって“ノ・ムヒョン政府の時のイ・ヨンフン大法院長とパク・シファン最高裁判事もローファームで高額給与を受けたのが問題になったが落馬することはなかった”とか“キム・デジュン政府の時大統領府秘書室長をつとめ、ノ・ムヒョン政府の時監査院長になったチョン・ユンチョル氏のケースもある” といった苦しい論理で防御膜を張るのに汲々としていた。
大統領府の参謀陣はチョン候補者落馬が既成事実化された後になって初めて“大統領の意中が始めからチョン候補者にあったので、限界があった”と言っている。
ハンナラ党では与党と大統領府の共倒れを憂慮して大統領府参謀責任論を公けに提起するのは自制する雰囲気だ。 しかし内部的には非難の矛先はイム・テヒ大統領室長に向けられている。 ハンナラ党のある議員は“大統領をまともに補佐できなかった最大の責任はイム室長にある”と話した。 イム室長は各種の人選を主導している。 ハンナラ党議員はイム室長がチョン候補者の高校の後輩であるという点も取り上げている。
イ大統領が自分の周辺から人をとり、参謀陣は格別問題意識なしでそれに従い、その結果200項目の自己検証書はただの要式行為になってしまった。 イム室長と政務、民政、広報首席などが参加する内部模擬聴聞会も、以前からよく知っている者同士が向かい合って座り、頷き合って確信を固める場に転落してしまった。 ある大統領府関係者は“いったい模擬聴聞会では何をしているのか”と嘆いた。
ファン・ジュンボム記者jaybee@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/458344.html 訳A.K