原文入力:2010-10-27午前10:32:32(3039字)
サイエンスオン
←白頭山. 2008年撮影. ハンギョレ資料写真/タク・キヨン記者
過去の白頭山の火山活動と今後の噴火可能性、
そして韓国学者らの白頭山研究参加方案
ユン・ソンヒョ(釜山大地球科学教育科) /イ・ジョンヒョン(釜山大科学教育研究所)
(* 10月27~30日に慶州で開かれる大韓地質学会学術発表会発表資料(抄録)の一つです。この発表資料の抄録は大韓地質学会が事前に配布したものです。)
北韓と中国の国境に位置する我が民族の名山である白頭山が2002年7月以後、噴火前兆活動が活発に観測され、白頭山に対する過去の噴火履歴を調査し、合わせて衛星観測および地球物理観測を併行し状況を正確に把握し理解する基礎研究が必要だ。
←2003年~2008年の白頭山天池火山で発生した火山性地震の震央と震源分布図. 資料/中国国家地震国提供
今から約2840万年前の新生代オリゴシーンに広大な満州平原で北東-南西方向の深部断熱帯が作られ、これに沿って小規模の玄武岩がスキ間(fissure)噴火で噴出した後、約1500万年前から1百万年前まで、このスキ間に沿って玄武岩が大量に噴出し玄武岩溶岩台地(lava plateau)が作られ、マグマが吹き出てくる活動が停滞されながらスキ間の一地点を中心に噴出し現在の天池下部に長白山楯状火山体(shield volcano)が形成された。その後、火山休止期を経て約60万年前から1 万年前まで中心噴火(central eruption)により粗面岩およびアルカリ流紋岩 火山活動で火星砕屑物の爆発的な噴火と溶岩噴出が交代で何回も発生し白頭山成層火山体を形成し、約4千年前と1千年前には軽石を主とする爆発的な大分化で成層火山体の山頂部が破壊され陥没し、天池カルデラを形成した。
現在の姿の天池カルデラ湖は今から約1千年前に完成された。その後、西暦1403年、1668年、1702年、1903年と天池カルデラ内で小規模噴火した歴史時代の噴火記録を持っている。約1千年前の10世紀の大噴火は噴出物の量が100~150 km3(火山爆発指数VEI=7.4)で、人類歴史上最大の火山噴火事件と認識されており、その噴出物の一部が日本、北海道と本州北部地域でB-Tm(Baegdusan-Tomakomai) ashで発見された。
白頭山は活動的な火山(活火山)であり、いつかは噴火することが確実であり、現在現れている白頭山の火山噴火可能性の兆候は以下のとおりだ。
1) 最近天池直下2-5km部の天部火山地震増加(2003年月間250回)
2) 白頭山天池周辺外輪山一部岩盤崩壊(2003年),亀裂(2003年)等 発生
3) 白頭山天池カルデラ周辺の岩石節理(スキ間)に沿って火山カスが噴出し周辺一部の樹木が枯死。
4) 衛星GPSを利用した白頭山天池周辺地形が年間移動速度観測の結果、2002年8月から2003年8月まで天池北側の水平および垂直年間移動速度が約45-50mm/年に活発化される。
5) 天池周辺温泉水の水温上昇(最大83℃), ガス成分増加(He,H2等)
6) 地震波トモグラフィーにより天池地下10-12 km地下に奎章質(アルカリ流紋岩-粗面岩)マグマ存在確認
白頭山の爆発的な火山噴火の可能性評価の根拠は以下のとおり。
1) 白頭山は現在、地球上で存在する最も威嚇的な火山中の一つと明らかになる。(約1千年前の火山爆発指数VEI=7.4で人類歴史上最大の火山噴火事件を記録)
2) 白頭山の歴史時代噴火事件には主に粘性が高い硅長質マグマが吹き出てき、天池地下10-12kmの奎章質マグマ内にはばく大な量の溶存高圧ガスを蓄えておけるが、このマグマが地表に上昇し深さが浅くなり臨界条件を越えれば一気に高圧の火山ガスが膨張し強烈な火山灰と軽石(pumice)の大爆発を伴い噴火する可能性が憂慮される。
3) 天池地下の天底から発生する頻繁な火山性地震により、天池に含まれる20億トンの水が地下岩盤のスキ間(断層や節理)に沿って地下マグマと出会う場合、水蒸気と火山灰を吹きだす超大型火山爆発につながる可能性が充分だ。
←白頭山地下のマグマの存在を現わす地震波トモグラフィー分析図(キム・ジョンベ、イ・ソヘン他 著(2010)より引用)
白頭山が爆発的に噴火する場合、偏西風の影響で北韓、咸鏡道一円の鉄道、道路、電気、水道など社会基盤施設の無用化、白頭山半径約100 km内に山崩れ、火砕流、泥流などの被害予想、咸鏡道全域に降下火山灰被害、火砕流の噴火で白頭山付近の広い範囲にかけて大規模な山火事につながる可能性、石炭、火力発電所など咸鏡道に依存している北韓エネルギー需給に致命打、白頭山山すその土石流と火山泥流発生による植生と家屋の破壊等 等 (可能性が予想される)。
白頭山火山の爆発的な噴火の被害にあらかじめ備え、地質災害を緩和するための韓国、北韓共同研究は我が国家と民族の未来のための国家安保的次元だけでなく白頭山の地質、自然環境、生態系研究のような学問的次元、中国の東北工程による高句麗、渤海歴史歪曲を防ぎ白頭山脈を正しくたてる民族確立の次元からも重要だ。
そのために初歩的に白頭山火山の過去噴火履歴を地質調査を通じ正確に調査し、火山性地震、GPS,地磁気、水温とガス測定、その他 物理探査資料、遠隔探査などに対し専門研究チームを構成し持続的で科学的な観測計画を樹立しなければならない。民間次元の韓国、北韓共同研究者が必要で、これのために政府次元の政策的研究費支援が切実に要求される。一歩進んで白頭山に対する包括的な研究のために地質、生物、歴史、物理探査光学などの最精鋭学術研究団を構成する必要がある。
←ユン・ソンヒョ教授
研究の質を高めるために火山噴火経験を持っている日本、米国などの学者や専門家を招へい合流させる必要がある。学術研究次元で日本が雲仙科学ボーリングプログラムで国際大陸科学ボーリングプログラム(ICDP)等と連係し研究を遂行したのと同じように、教育科学部後援で南北共同で‘白頭山火山モニタリングのための科学ボーリングプロジェクト’を推進する必要性を感じる。本研究事業を効果的に実施するために、3年以上の研究期間を通じ連続性ある研究組織の強化を行い、国際間共同研究の提携体制を構築する必要がある。その中でも噴火経験が豊富で先端研究実績を持っている日本の東北大学、実際的に白頭山天池火山観測所を運営し観測をしている中国国家地震局活火山研究センター、そして可能ならばロシア、北韓の研究機関の核心研究者を参加させ国際共同研究のパートナーとして参加させ、これと関連した国内研究者らとの研究協力交流を通じ充分に基礎資料を確保し、同時に各国の火山研究基盤を形成し公告するようにできる。
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原文: https://www.hani.co.kr/arti/m_special/m_hanispecial/445803.html 訳J.S