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'成績競争’に追い込まれた公立高、軽い逸脱にも‘退学’量産

原文入力:2010-09-01午後10:58:32(4135字)
[生徒を投げ出す学校] 追い出された○高新入生10人は今

ソンチェ・ギョンファ記者

去る3月31日、ソウル、江北の公立高である○高新入生10人がまとめて退学処分を受けた。友人の運動服を盗んだり、修学旅行に行き事故を起こしたということが理由だった。入学して一ヶ月目だ。新学期が始まったが、子供たちは本来の位置に戻れないままさまよっている。一度の‘逸脱’で16才の少年たちが耐えなければならない現実は苛酷だった。だが、学校は他の生徒たちのために仕方なかったと訴える。自律型私立高、高校選択制などで公立高が疎外され、こういう状況を抜け出そうともがいた結果、落伍する子供たちが生まれるほかはないと話す。子供たちを投げ出すまで‘危機に陥った公立高’ではどんなことが起きているのだろうか。(*記事は取材を土台に記者が独白として再構成した。名前は全て仮名。)

退学生10人はどうしているだろうか

 "水が濁る" 安易な選択…競争教育が生んだ殺風景

■ 1万5000ウォンで退学処分を受けたミョンジュンの夏休みが終わった。去る3月、一緒に学校に入学した友人たちは皆 学校に戻った。ところが私は毎朝、麻浦のある日本料理店へ出勤する。生活が苦しくて、学校から退学処分を受けた後、すぐにアルバイトを始めた。だが簡単ではなかった。初めて仕事をした食堂では未成年者という理由で一週間で追い出された。年齢が幼く酒を売る店では受け入れなかった。やっと日本料理店の台所仕事を得たが、この頃は仕事も勉強もまったく手につかない。学校に戻りたいとばかり思っている。

3月11日、私はミンソクが掠めてきた運動服を代わりに売ってあげた。当時、学校の5階に運動服販売業者が入っていて、校外の文具店より安く服を売っていた。誰かが運動服のサイズが合わないと言って返品を要請し、業者は躊躇なあく金を返してくれた。うわさが学校にあっという間に広がった。運動服盗難事故が起き始めた。その時、ミンソクが私に盗んだ運動服を差し出し 「私は一度返済して顔を知られているからと、自分の代わりに売ってくれれば3万1000ウォンの中から1万5000ウォンをあげる」と言った。そうして1万5000ウォンを稼いだが、私たちの過ちはまもなく露見した。私を含めて6人が摘発され、学校では私たちに来週に予定されていた修学旅行に参加するなと通知した。

3月31日、結局 私はミンソクとともに学校善導委員会で退学処分を受けた。反省文を書きひざまずいて謝った。お母さんも学校にきて、再びこうしたことが無いようにするとして詫びた。効果はなかった。学校では「学校の名誉を失墜させ勉学の雰囲気を濁らせる生徒を許すことはできない。2週間の時間を与えるから転校する学校を探してみなさい」と言った。お母さんが私よりもっと苦しがった。お母さんは「生活が苦しいので一層無視されるようだ」として泣いた。

一度の失敗で "退学" …バイト・ネットカフェに追いやられた‘夢’
運動服窃盗などを理由に入学一ヶ月目で苛酷処分

親しい友人たちとも、プログラマーへの夢とも‘遠い離別’
"学校が私を捨てた" 不信・怒りの感情が込み上げる

自主退学した後、新しく入学した実業系高等学校はとても恐ろしかった。からだに入れ墨をした先輩たちが、学校のエレベーターでタバコを吸っていた。一食1000ウォンの給食のおかずはタクワンだけだった。それすら先輩たちの食事が終わらなければ食べられない。授業時間に騒ぐ子供たちが多いと、「今日の授業はやめようか」と言って教室を出て行く先生もおられた。私とミンソクは3週間で自主退学願いを出して出てきた。

お母さんは私と弟(妹)を苦労して育てた。お母さんとお父さんは、私が小学校5学年の時に離婚した。一時、貿易会社に通っていたお母さんはうつ病で会社も辞め、家で過ごさなければならなかった。それでも中学校2年の時まではお父さんが養育費を送ってくれ、塾にも通うことができた。その時まで私は問題児と思わなかった。数学にもとても興味を持った中2の1学期には中間考査も遂行評価も全て100点をとったし、数学は全校1番にもなった。熱心に勉強して良い点数をもらうことがおもしろかった。

そうするうちにお父さんが送る養育費が途切れ思春期になるなかで成績が墜落した。中3の時は友人たちとネットカフェに出入りし、ゲーム中毒になった。ゲームを止めようと努力したが、2日しか我慢できず再びコンピュータの前に座ることを繰り返した。一日に11時間もゲームばかりしている日もあった。

高校生になった。本当にやり直さなければならないと決心した。プログラマーになりたかったし、もっと成績が良くなったら私が好きな従兄弟のように任用試験を準備して先生になりたい気持ちもあった。だが、3月31日以後、私の夢はどんどん遠ざかっていくようだ。2回の自主退学の後、お母さんは私がまた○高に通えるよう教育庁に訴えたりもしたが効果はなかった。

私と一緒に学校をやめたミンソクはアルバイトをしながらネットカフェ、ビリヤード場、カラオケなどで時間を過ごす。この頃は自分でも心配になるのか、来年は復学をしようと英語学院に通っていると言っていた。ミンソクは「制服を着た子供たちを見る度にうらやましい」とも言った。「学校が恨めしく、来年には他の学校で熱心に勉強して絶対に彼らに見せてやりたい」とも言った。

私もやはり今できるのはアルバイトと来年学校にまた行くために勉強をすることだけだ。だけど残された期間、私がよく頑張れるだろうか? 不安だ。時間が一気に流れてこの生活がはやく終わればいいな。

■ポムイルとの友人たちの転校・バイトの悪循環

私もミョンジュンと同に日に学校から退学処分を受けた。ミョンジュンは学校に通う私を羨むかも知れないが、私もやはり学期が始まっても学校に行きたくない程に苦しいのは同じだ。退学処分を受けた後、4月に転校して来たこちらのD高には親しい友人があまりいない。今度の休みにはそれでも初めて入学した○高の友人たちと会い、楽しい時間を過ごした。7月末にはその友人たちと江原道、三陟に遊びに行き、楽しく水遊びもした。またD高に戻ると思えばため息しか出てこない。学校がとても遠くて、朝早く起きることも辛いし、うまく適応できなくて空回りしていたら成績もますます下がった。去る3月の失敗さえ無かったら、今、私の学校生活がこんなではなかった筈なのに…。

済州道へ修学旅行に行った去る3月17日、私はガラス博物館の展示物に手をつけた。光を浴びて輝くガラスの魚がとても美しかった。それが欲しくてこっそりと魚を取って隠し、友人たちに自慢した。友人たちが集まってきた。私たちを案内していた旅行会社ガイドがそれを見て、魚を奪って博物館職員に戻した。こういう事実を知った先生は、その日の夜、ガラスの魚に手をつけた5人の友人を呼び集めた。私たちは先生に殴られた後、経過書を書いた。殴られた時にも私が退学になるとは想像もできなかった。

3月31日、私を含めて4人が退学処分を受けた。一緒に退学にされたソンイルはお父さんが腹を立てて博物館に電話をした。この事件が退学させるほど深刻なことかと問い詰めたという。博物館の人は「ガラス造形物が割れたりなくなることは、たびたびあることで、退学までさせるのはちょっと厳しい」と話したという。ミノのお母さんも「子供が過ちを犯したことは認めるが、入学して間もない一度のミスで退学までさせるのはとても苛酷だ」と学校に訴えた。私たちもすみませんでしたと謝った。だが、学校の決定は変わらなかった。

この事件で平凡だった私の短い人生は大きく変わった。お母さんは私が退学にならないように私の住所を親戚の家に移しD高に転校させた。引っ越しはしない便法であったし、私は自分の意志で新しい学校に適応することは容易ではなかった。新しい学校の友人たちの間に、私が割り込む隙はなかった。教科書も違うし、私の心の片隅には○高の先生たちに対する物足りなさと不信、怒りのような複雑な感情が常に去来した。学校のムードのために私や友人たちを追い出したという思いが頭の中から離れなかった。

一度転校して学校に通う私は、それでも良い方だ。ジェジュンは地方に暮らしていて、高等学校に通うために中学校の時にソウルに上がってきたが、今回の事件で再び地方に下って行くことになった。ソウルにいるお母さん・姉さんと離れ、お父さんと二人で暮らすことになったジェジュンは再びソウルに上がってこれる日だけを待っている。そのために、わざと地方のその学校には適応しないでいる。そのためか、ジェジュンもますます壊れていきつつあるようで残念だ。ジェジュンは今回の事件でガールフレンドとも別れた。

両親が他の学校を調べてくれた私たちとは違い、転校する学校が見つからず結局、退学になったジュンスはソウル弘大前のトッポッキ屋でアルバイトをしながら過ごしている。午前11時から午後5時まで働いて月に70万ウォンを稼ぐと言った。ジュンスは学校の外で過ごす1年という時間がとても退屈で、来年はまた後輩たちと同じ学年で生活しなければならないことも心配だと言った。

その時、一緒に退学処分を受けて学校を2回ずつ転校した友人たち、そして‘問題児’にされてネットカフェに頼っている友人たち…、私を含めて私たちはこれからどこで何の仕事をすることになっても、2010年の春を簡単に忘れることはできないだろう。私たちは明らかに過ちを犯したが、学校から捨てられたという思いのために受けた傷は簡単に癒えそうにない。 ソンチェ・ギョンファ記者 khsong@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/437842.html 訳J.S