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「戦時作戦統制権」のない韓国軍…ベトナム戦争では独自に指揮を執った

登録:2026-06-02 08:53 修正:2026-06-02 10:48
[クォン・ヒョクチョルの見えない安保]
1972年2月7日、ベトナムに派兵され帰国した青龍部隊の歓迎式が釜山港で行われている=韓国学中央研究院ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 アン・ギュベク韓国国防部長官は先月26日、慶尚南道昌原市鎮海区(チャンウォンシ・チンヘグ)にある海軍潜水艦司令部で開かれた第1回未来国防戦略委員会で、「大韓民国は強力な軍事力を保有しているが、世界190カ国余りのうち、戦時作戦統制権(戦作権)を持たない唯一無二の国だ」とし、 「米国と同盟を結んでいる36カ国の中で、大韓民国だけが戦時作戦統制権を保有していない」と述べた。

 李承晩(イ・スンマン)大統領が1950年7月14日、マッカーサー国連軍司令官に韓国軍の指揮権を移譲してから、1978年11月に韓米連合軍司令部が創設されたことに伴い、国連軍司令官が行使していた韓国軍の作戦統制権が韓米連合軍司令官に委任された。1994年12月、平時の作戦統制権は韓国合同参謀議長に移管されたが、戦作権は韓米連合軍司令官が引き続き握っている。米陸軍大将の在韓米軍司令官が韓米連合軍司令官、国連軍司令官を兼任しているため、事実上、米国が韓国軍の戦作権を握っているといえる。

 では、韓国軍は朝鮮戦争以降、戦作権を行使したことが一度もないのだろうか。1960~70年代のベトナム戦争に派兵された韓国軍の戦闘部隊は、独自に作戦指揮権を行使した。当時、国連軍司令官の統制下にあった韓国軍が、なぜベトナムでは作戦指揮権を持つことができたのだろうか。李在明(イ・ジェミョン)政権が米国と「迅速な戦作権の回復」を協議する際、注目すべき事例だ。

 韓国は1960年代半ば、4回にわたりベトナムに派兵した。1964年9月と1965年3月に行われた第1・第2次派兵の兵力は、移動外科病院、テコンドー要員、建設支援団などの非戦闘要員だった。駐ベトナム米軍司令官が彼らを指揮した。派兵規模が小さかっただけでなく、非戦闘部隊であったため、現地で緊急事態が発生した際の派兵部隊の安全を考慮した決定だった。

アン・ギュベク国防部長官が5月26日、慶尚南道昌原市鎮海区で開かれた李在明大統領主宰の第1回未来国防戦略委員会で、戦作権の早期移管に関する報告を行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 一方、第3・4次派遣では戦闘兵が派遣されており、彼らの作戦指揮権をめぐり韓国と米国は対立した。第3次派遣では1965年9月に海兵隊第2旅団(青龍部隊)、10月に首都師団(猛虎部隊)、第4次派遣では1966年9月に第9師団(白馬部隊)などが派遣された。米軍は、戦争の基本原則である指揮統一(同一の目的を持つ作戦部隊の指揮統制を一元化して作戦に臨む原則)を掲げ、韓国軍戦闘兵の作戦指揮権も確保しようとした。米国の立場からすると、韓国の戦闘兵が米軍の指揮統制下で作戦に臨むのは当然のことだった。米軍の軍需支援なしには、韓国軍がベトナムで自由に動くことができない状況だった。国連軍司令官の韓国軍に対する作戦指揮権は、ベトナム派兵の過程で米軍が韓国軍に対する作戦指揮権を要求する根拠となった。

 これに対し、韓国政府は、在韓米軍は国連軍の一員であるが、ベトナムの米軍はそうではないという点を強調し、作戦指揮権は韓国軍派兵の政治的正当性に関わる問題であると主張した。朴正煕(パク・チョンヒ)政権は、「共産主義と戦う」ことをベトナム派兵の理由に掲げた。派兵される韓国の戦闘部隊に対して米国が戦闘手当を支給することにした状況で、作戦統制権まで米軍が行使する場合、韓国軍は金をもらって戦う「傭兵」と批判される可能性が高かった。軍事的な側面から見れば、傭兵かどうかの判断基準は「ベトナムに派遣された韓国軍が米軍の指示を受けて手足として動いたのか、それとも韓国軍独自の戦術に基づいて作戦に臨んだのか」という点にあった。

 「傭兵論争」は、戦作権との関係で南北関係にも登場する。北朝鮮は、戦作権を持たない韓国を米国の傭兵と見なし、主に米国との直接交渉を通じて体制の安全保障や軍事緊張の緩和を得ようとする戦略を取っている。南北対話の経験が豊富な関係者は、「北朝鮮と軍事問題を議論しようとすると、『作戦権もない傀儡軍と何を話すのか』と無視されることが多かった」と語った。

 歴代の韓国政府が戦作権の返還に取り組んだ理由は、単なる「民族の自尊心の回復」のためではない。韓国が独自の戦争遂行能力を持ち、北朝鮮が軍事的な挑発を行った際に即座に打撃を与える能力と指揮統制権を持てば、北朝鮮が向き合わなければならない交渉相手は米国ではなく韓国になるからだ。

 李在明大統領も昨年9月11日の就任100日記者会見で、「彼ら(北朝鮮)の立場からすれば、『戦作権もない国が何になるのか(重要性があるのか)。朝米関係が重要だ』と考えるかもしれない」と述べた。

李在明大統領が5月26日、慶尚南道昌原市鎮海区で開かれた第1回未来国防戦略委員会で、出席者の発言に耳を傾けている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国はベトナム戦争当時、米軍の執拗な要求にもかかわらず、独自の作戦指揮権を最後まで固守した。ベトナム派兵戦闘部隊の作戦指揮権を独自に行使することは、傭兵論争を遮断するという政治的側面だけでなく、実際の戦闘においても極めて重要なことだった。

  ベトナムに駐留した米軍は、韓国軍の投入を通じて米軍の被害を減らそうと考えており、そのためには韓国軍の作戦指揮権が必要だった。米軍は韓国の戦闘部隊を最も激しい戦闘地域に投入して決定的な戦果を上げようと考え、韓国軍の一部の戦闘部隊を連隊や大隊ごとに分けて兵力配置計画を立てた。韓国軍のある将官は、米国のこうした態度に対し、「あなたたちは我々韓国軍の将兵の命を犬や豚と同様に考えているのか」と米軍将官に詰め寄ったという。ベトナム派遣韓国軍は、独自の作戦指揮権を確保することで、韓国軍の被害を減らすことができた。

 朝鮮半島の危機管理が失敗し、戦争が勃発した際にも、戦争遂行の過程で韓国と米国の考えが食い違う可能性がある。現在、米軍の大将である韓米連合軍司令官が、朝鮮半島の戦区(単一の軍事戦略目標達成のために地上、海上、空中作戦が実施される地理的地域の概念で、戦争区域を意味する)を想定し、地形を把握して作戦を構想している。この連合作戦計画の作成には韓国軍も参加しているが、その範囲は限られている。戦作権の移管は、韓国軍が主導して戦争を企画・遂行できる能力の向上につながる。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/polibar/1260998.html韓国語原文入力:2026-05-31 19:23
訳H.J

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