原文入力:2010-08-05午前08:20:00(1721字)
中小都市 最低賃金制 姑息な手、労働条件 逆走行
対面交代で12時間働いても労働時間 4時間に
チョン・チョンフィ記者
←タクシー運転手 2回泣かせる最低賃金制 姑息な手段
京畿光明のあるタクシー会社でハンドルを握って5年目になるナ・某(53)氏は最近、会社の労組委員長の不信任案を労組に出した。委員長が月給を52万ウォンから67万ウォンに15万ウォン上げる代わりに、運転手が出す1ヶ月の社納金は39万ウォンも上げる内容の会社側賃金交渉案に去る4月末に署名したためだ。
また、会社は団体協約で決まった一日の労働時間を6時間から4時間に減らすことで労組と合意した。実際には2人対面交代勤務で1日12時間ずつ仕事をしているにも関わらず、書類上ではこの内 3分の1だけ仕事をしたことで処理されることになったのだ。ナ氏は 「賃金というのは物価引上げ率などを反映して毎年少しずつ上がるのが常識なのに、ますます削られて、どうしてこらえることができるか」として「熱心に仕事をしても家に150万ウォン持っていくこともギリギリな状況」と訴えた。
去る7月から地方中小都市のタクシー労働者たちに最低賃金制が適用され、タクシー会社らがこれを回避しようと姑息な手段を駆使し、労使葛藤が増幅されている。会社側が最低賃金の適用を避けようとして持ち出すカードは大きく2種類だ。
第一に労使が一日の労働時間で合意する‘所定勤労時間’を縮小することだ。労働時間が法定時間(週40時間)に至らない場合、支給基準(今年 4110ウォン)だけを守れば済むためだ。このように書類上の一日の労働時間を減らせばタクシー労働者が後で事故がおきても、労災療養給付や保険金算定の際の不利益を受けるだろうと労働界は見ている。韓国労働組合総連盟(韓国労総)京畿本部のイ・スンギ事務局長は「使用側の主張は一言で言って‘運転手の賃金は所定勤労時間までで、残りは自律休憩時間であり仕事をしようがしまいが好きにすれば良いとして社納金だけ入れろ’ということ」として「だが、現場では時間当り1万ウォンの稼ぎも難しい」とした。
二番目は月給を引き上げるものの社納金はそれよりさらに多く上げる方式だ。月給を上げれば4大保険料など会社が支出しなければならない各種費用が増加するとして、社納金をさらに多く受け取らなければならないとの論理を展開する。問題はナ氏の会社の事例に見るように、月給引き上げ分より社納金引き上げ分がはるかに大きいので、結局はタクシー労働者の給与減少につながるという点だ。
中小都市タクシー労働者にも最小限の暮らしを保障するために最低賃金制を適用したが、これが結局 労働条件の下落につながる矛盾的な状況が広がっているわけだ。こういう境遇に置かれたタクシー労働者は、全国13万6800余人の中の概略5万人余りに達すると労働界は把握している。ソウル・釜山など7大都市タクシー労働者たちは昨年から最低賃金制が適用されたが、大都市の場合は相対的に給与水準が高く中小都市のように葛藤が激しくなかった。郡単位地域は2012年から最低賃金制が適用される予定だ。
韓国労総傘下タクシー労連 チェ・ナクボン政策局長は 「このような形で所定勤労時間を減らしていけば、いずれ書類上では30分仕事をして実際には12時間以上も仕事をする奇形的な状況が引き起こされるだろう」と話した。
これに対して、雇用労働部賃金福祉課関係者は「法の趣旨を無視し所定勤労時間を短縮したり、社納金を過度に引き上げないよう地方労働庁を通じてタクシー会社側を指導している」として「この問題はタクシー料金の引き上げとタクシー運転手の給与体系改善とも関連した部分であり、私たちも思い通りにならなくて苦しい」と話した。
チョン・チョンフィ記者 symbio@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/433541.html 訳J.S