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脳の健康には「外国語の学習」…複数言語使用者は体の老化もゆっくり

登録:2025-11-13 23:45 修正:2025-11-15 08:24
一日に何度も言語を切り替える行為は、脳の注意力、記憶力、実行統制機能を同時に刺激する=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 言語を学ぶというのは、単に新しい単語を覚えることではない。脳の回路を組み直し、考えの境界を広げることだ。このような「頭脳運動」が実際に生物学的な老化の速度を遅らせるとする大規模な研究の結果が発表された。

 アイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリン(TCD)のアグスティン・イバニェズ博士の研究チームは、欧州27カ国の8万6千人あまりの健康データを分析し、複数言語の使用者の老化速度は単一言語の使用者より平均で2.17倍遅いことを確認したとする研究結果を発表した。今回の研究は、国際学術誌「ネイチャー・エイジング(Nature Aging)」に掲載された。

 研究チームは人工知能(AI)を用いて、個人の健康と生活習慣を総合的に評価する「生体行動的老化時計(Biobehavioral Aging Clock)」モデルを適用。このモデルは血圧、糖尿、睡眠パターンのような身体的変数だけでなく、教育水準、認知能力、社会活動のような保護要因も考慮して「生物学的予想年齢」を算出する。

 研究チームは「一日に複数回言語を切り替える行為は脳の注意力、記憶力、実行統制機能を同時に刺激する」として、「このような反復的刺激は脳の回復力を高め、結果的に生物学的老化を遅らせるとみられる」と説明した。

 研究によると、2つ以上の言語を駆使する人は1つの言語のみを使う人に比べ、早期老化リスクが50%以下と低かった。さらに、使用言語の数が多ければ多いほど、保護効果は積み重なる傾向を示した。

 これは単なる文化的要因の結果ではなく、言語の切り替え過程で反復的に活性化される前頭葉-海馬ネットワークが脳機能の訓練に寄与するからだと分析された。

 研究チームは「言語は脳を最も広く、最も頻繁に働かせる道具」だとし、「多重言語の駆使は認知の健康だけでなく、身体的な老化指標でも有意な差を示した」と強調した。

 今回の研究は様々な社会経済的要因、教育水準、身体活動などのかく乱要因をすべて補正した後でも結果が一貫して保たれたため、学界の注目を集めた。研究チームは、複数言語の駆使は単なる教養の水準にとどまらず、「頭脳の健康を一生保つための低コストで高効率な戦略」になりうると提言している。

ユン・ウンスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/hanihealth/healthlife/1229022.html韓国語原文入力:2025-11-13 13:11
訳D.K

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