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【独自】「〇〇〇はアカ」…尹前大統領、戒厳5カ月前から「軍動員」言及

登録:2025-11-13 23:44 修正:2025-11-14 08:20
2024年10月21日、尹錫悦大統領がソウル龍山の大統領室の芝生広場で、国民の力のハン・ドンフン代表と言葉を交わしている。二人は検察から政界に直行し、検察政権を作りあげた=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が非常戒厳宣布の5カ月前の外遊中に、「国民の力」(当時与党)のハン・ドンフン前代表のことを「アカ」だと非難しつつ、国会などの政界の現状に軍が介入すべきと発言していたことが把握された。

 13日のハンギョレの取材の結果、内乱事件を捜査するチョ・ウンソク特別検察官チームは非常戒厳解除決議を妨害した疑いで「国民の力」のチュ・ギョンホ議員の拘束令状を請求した際に、戒厳宣布前の国会の状況などに対する尹前大統領の認識を詳しく記述していた。特検チームは、尹前大統領は昨年7月10日、米ハワイのホテルでカン・ホピル合同参謀本部次長、キム・ヨンヒョン警護処長(いずれも当時)と同席した際、「ハン・ドンフンはアカ」だと述べつつ、「共に民主党」を中傷するとともに「軍がかかわるべきではないか」という趣旨のことを述べ、キム警護処長も同調する態度を示したと拘束令状に記している。尹前大統領は当時、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に向かう途中でハワイに立ち寄り、インド太平洋軍司令部を訪問。当時、ハン前代表は7月23日の国民の力党大会に出馬してキム・ゴンヒ女史と対立しており、共に民主党はC上等兵特検法と「尹錫悦大統領弾劾訴追案国民請願」聴聞会の開催を決議していた。政治的に守勢に立たされていた尹前大統領は、状況を覆すために親衛クーデター計画を公然と明かしていたということだ。

 拘束令状によると、カン元次長は帰国後、シン・ウォンシク国防部長官(当時)に「雰囲気がかなり危険なようだ。長官が止めるべきだ」と伝えたという。これに対しシン元長官は「あいつら、まだそのようなことを考えているのか」と述べ、直ちにキム・ヨンヒョン元処長に電話して強く抗議したという。

 尹前大統領の「ハン・ドンフンはアカ」発言は、ハン前代表との対立の深まりから生まれたとみられる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の初代法務部長官だったハン前代表は、2023年12月に国民の力の非常対策委員長に就任したが、ハン前代表がキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り疑惑について「国民が心配している部分がある」と発言したことで、対立に火がついた。特検チームは、その後にハン前代表が国政運営のあり方に問題を提起したことで、両者の対立はさらに深まった一方、当時院内代表だったチュ議員はハン前代表と異なり大統領を支持するなど、尹前大統領との結束が強まったと拘束令状に記載している。

 特検チームは、尹前大統領を普段から擁護し支持してきたチュ議員は、非常戒厳解除のために国会に移動しようというハン前代表の要求を拒否したとみている。特検チームは、チュ議員は非常戒厳宣布後の昨年12月3日午後11時22分ごろに尹前大統領と通話し、その後、ハン前代表から「国会の戒厳解除要求決議によって戒厳を止めるべきだ。これ以上遅れると国会が封鎖されてしまうから、いま党本部にいる議員と共に迅速に国会に行くべきだ」と要求されたにもかかわらず、議員総会の招集、主宰などの国民の力の院内代表としての権限を利用して拒否したと記している。

 また、チュ議員はウ・ウォンシク国会議長による集結公示の場所と相反するメッセージを伝えたにもかかわらず、それを解決せず、いっそうの混乱を招いたという。ウ議長は昨年12月4日午前0時1分、国会議員全員に対し、「国会本会議場に集まってほしい」というショートメッセージを送ったが、チュ議員は0時3分に国民の力の議員に「汝矣島(ヨイド)の党本部に集まってほしい」というショートメッセージを送った。これに対して国民の力の議員のテレグラムのチャットルームには「メッセージに混乱があってはならない。チュ代表には直接話してもらいたい」「チュ・ギョンホ院内代表には整理してもらいたい」などのメッセージが投稿されたが、それでもチュ議員は何ら答えないかたちでさらなる混乱を招いたと特検チームは記している。

 また、ハン前代表が12月4日午前0時3分のチュ議員の党本部への招集公示を見て、「何とか本会議場に来てほしい」と要求したが、チュ議員は拒否しつつ、「民主党もいるし、公開の場所だから、水面下で様々な状況を整理したうえで、投票が決まってから行ってもよいのではないでしょうか」という趣旨の対応をしたという。

 特検チームは、チュ議員は「国会本会議場に集結して非常戒厳解除要求議決に参加してほしいとか、非常戒厳に反対の立場を表明してほしいという党代表のハン・ドンフンや所属の国会議員らの要請を拒否し、表決に参加しようともせず院内代表室に居続け、国会本会議場に集まってほしいという党代表ハン・ドンフンと国会議長ウ・ウォンシクの相次ぐメッセージ発信と相反する非常議員総会の招集を告げるショートメッセージを発送し続けた」として、内乱重要任務従事容疑で今月3日に拘束令状を請求している。

 チュ議員の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)の日程は、今月27日の国会本会議での逮捕同意案の採決後に決定される予定だ。

カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1229087.html韓国語原文入力:2025-11-13 16:40
訳D.K

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