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2022年1月1日、尹錫悦（当時）国民の力の大統領候補が、ソウル汝矣島のテハビルで開かれた選挙対策委員会の新年会で、靴を脱いでクンジョルする姿（左）。2025年8月21日、チョン・ソンベ氏が、ミン・ジュンギ特検チームの取り調べを受けるため待機している/聯合ニュース

　「コンジン法師」ことチョン・ソンベ被告の裁判で、チョン被告が尹錫悦（ユン・ソクヨル）前大統領夫妻を精神的に導き、国会議員になる提案を断らせ、大統領になるよう助言したという証言が出た。また、尹前大統領が当選後、チョン被告に「いつでもクンジョル（ひざまずいて頭を深々と下げる最も丁寧なお辞儀）をする」という約束を守らなかったため、二人の関係がこじれたという。

　11日にソウル中央地裁刑事33部（イ・ジングァン裁判長）の審理で開かれたチョン被告の特定犯罪加重処罰法斡旋収賄容疑の裁判には、政治ブローカーのK氏が証人として出席した。2019年にクォン・ジェジン元法務部長官の家でチョン被告に初めて会ったというK氏は、国税庁長の任命や引継ぎ委員会への派遣、警察の人事、大統領府特別監察班長の人事などをチョン被告に依頼したと認めた。

■コンジン法師、敬語を使わずショートメール「カン・ソクフンを使うといい」

　K氏はまた、尹前大統領当選直後の2022年3～4月頃、チョン被告に対して、カン・ソクフン元セヌリ党（現在の野党「国民の力」の前身）議員を大統領室の経済首席秘書官に任命してほしいという趣旨でショートメールを送ったと証言。その後、チョン被告は尹前大統領の妻のキム・ゴンヒ氏に「カン・ソクフン教授は実力もあり忠誠心もある。（朴槿恵政権で）経済首席の経験もあるため、経済首席として使うといい」というショートメールを送った。

尹錫悦前大統領と妻のキム・ゴンヒ氏が6月3日、ソウル瑞草区のウォンミョン小学校に設けられた瑞草区第3投票所で投票をするために並んでいる＝共同取材写真//ハンギョレ新聞社

　K氏は、チョン被告が尹夫妻に対して影響力を持っているためこのような人事請託をしたと証言。「（チョン被告は）精神的に大統領夫妻を導いていた」とし、「検察総長時代も、夫婦の縁を結んだ時も、大邱（テグ）高等検察庁に左遷された時も（チョン被告が影響を及ぼしたという）話を聞いて、かなりの力があると思った」と語った。

　尹前大統領は、国情院政治介入事件の捜査で大邱高等検察庁に左遷され辞表を出そうとしたときや、アン・チョルス議員およびヤン・ジョンチョル元民主研究院長などから国会議員候補の提案を受けたとき、チョン被告に意見を聞いており、そのたびにチョン被告は「やめた方がいい」と引き止めたと、K氏は証言した。その後、尹前大統領とチョン被告の間で次のような会話があったという。

■尹錫悦「ファン・ギョアンよりは私の方が良い」

　尹前大統領:ならば、何をすればいいのですか。

　チョン・ソンベ:大統領になれ。

　尹前大統領:どうやって大統領になるんですか。

　チョン被告:ファン・ギョアン元首相をどう思うか。

　尹前大統領:ファン・ギョアンよりは私の方が良いでしょう。

　チョン被告: だから（大統領に）なれ。

　続いて裁判官が「チョン被告とキム・ゴンヒ氏はどうやって知り合ったのか」と尋ねると、K氏は「大統領夫人は少し病を患っていたが、そういうところも相談に乗っていた。（キム・ゴンヒ氏が）バリに行く時も電話して『今回は誰に気をつければいいのか』などを尋ねていた」とし、「大統領夫妻が（チョン被告を）切り捨てない限りは影響力があると思った」と述べた。

■「コンジン法師とキム・ゴンヒ女史、1時間でも2時間でも電話で話していた」

　K氏は「チョン被告は、キム・ゴンヒ氏に精神科の薬を飲んだ方がいい、夜あまり眠れないだろう、などとアドバイスしていた」とし、「二人は1時間でも2時間も電話で話していた。『山火事の鎮火はああしろ、こうしろ』などと話したりしていると時間が経つので、（キム氏が）精神的に（つらいときに）チョン被告がかなり慰めてあげているのだと思った」と述べた。

　尹前大統領はチョン被告にかなり頼っていたが、大統領当選後に仲がこじれたとK氏は述べた。「（尹前大統領は）『当選したらいつでも（チョン被告に）クンジョルをする』と言っていたが、チョン被告が招待されて尹前大統領夫妻の自宅に行ったところクンジョルをされなかったため、チョン被告が『なぜクンジョルをしないのか』と言ったという」とし、「尹前大統領は『法堂でするという意味であって（法堂の）外でどこでもすると言ったわけではない』と返したそうだ」と語った。それで「もう（二人の）仲は終わったんだなと思った。その後、（人事関連で実際に）推薦された人はいない」と述べた。