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韓国国家安保室長「対米投資、3500億ドルの代案を協議中」…APECが「分水嶺」

登録:2025-09-29 06:43 修正:2025-09-29 07:17
関税交渉の打開策に腐心する大統領室 
ウィ・ソンラク国家安保室長が12日、龍山の大統領室で外交懸案に関する記者懇談会を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国が米国に組成することにした3500億ドルの対米投資ファンドに関して、米政府が「前払いの現金投資」と「投資金の増額」をさらに要求し、韓米間で神経戦が高まっている。韓国政府内外で米国の過度な圧力に「強硬論」が噴出し、「交渉派」の立場も揺れている。10月末にドナルド・トランプ米大統領が出席する慶尚北道慶州(キョンジュ)でのアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が交渉の分水嶺になるとみられる中、対米交渉と内部への説得を続けるべく大統領室は腐心している。

 ウィ・ソンラク国家安保室長は28日、ハンギョレとの電話インタビューで、トランプ大統領の「3500億ドル前払い」発言について「現実的に私たちが受け入れられる水準ではない。代案を持って協議を続けている」と述べた。トランプ大統領は25日、ホワイトハウスの記者団に「韓国から3500億ドルを前払いで受け取る」と主張する一方、同日米ウォール・ストリート・ジャーナル紙はハワード・ラトニック商務長官が韓国に3500億ドルよりさらに多い対米ファンド投資を要求したと報じた。

 米国の要求が予想水準を超えると、与党内でも断固たる対処を求める声があがっている。李大統領に外交安保戦略を助言してきたチョン・セヒョン元統一部長官が国会セミナーに出席し、「米国が嫌がったら何もできないという考えを持つ人々が大統領の周辺にいる」とし、外交・安保担当高官の交替を主張する一方、与党「共に民主党」内の親李在明派の外郭団体である「ザ・民主革新会議」は「非道な関税交渉で国民主権を傷つける米国政府を強く糾弾する」という声明を発表した。

 大統領室としては、与党内部の破裂音が負担にならざるを得ない。だが、「交渉の他に道がない」という原則には依然として変わりがない。ウィ・ソンラク室長は「トランプ政権が関税圧迫を始めた後、交渉をせずに関税を選ぶと言った国は世界で一国もない。対米貿易の比重が少ないインドでさえ交渉妥結に務めている」とし、「大統領の指揮のもと、徹底的に調整された立場を持って交渉を続けなければならない」と述べた。

 大統領室は、李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ大統領の第2回首脳会談が開かれる10月末、慶州キョンジュAPEC首脳会議が関税交渉の最後のヤマ場になるとみている。(首脳会談まで)1カ月の時間が残っており、粘り強く交渉を続け、韓国側の立場が最大限反映されるよう説得していく方針だ。大統領室高官は「我々の戦略は、ラトニック(商務長官)のような強硬派の主張を論破するのではなく、米国内に友好的な世論をより多く作ることだ」と述べた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済閣僚会議で、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表と会った産業通商資源部のヨ・ハング通商交渉本部長は27日の帰国の際、記者団に「(対米投資ファンドは)商業的合理性を保障し、実現可能な方式で運営されるべきであり、韓米両国の国益にも合致するという部分を強調した」と述べた。26日(現地時間)、ニューヨークでクリストファー・ランドー米国務副長官に会ったチョ・ヒョン外交部長官も(ランドー副長官から)「韓国側の立場が米国内部でよく考慮されるよう努力する」という呼応を引き出したと、外交部が伝えた。

オム・ジウォン、パク・ミンヒ、イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/1221189.html韓国語原文入力:2025-09-29 01:28
訳H.J

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