韓国政府は、米国移民当局によって拘禁された韓国国民が自ら帰国しても今後米国への再入国の際に不利益を被らないよう、米政府と交渉を終えた。拘禁者らは施設から釈放され次第、大韓航空のチャーター機に搭乗し、早ければ11日、仁川(インチョン)空港を通じて帰国する予定だ。
9日、ハンギョレが接触した政府関係者たちの話によると、政府は今回の釈放交渉において最大の争点だった拘禁者たちの今後の米国再入国問題に関して「不利益を与えない」という約束を米国政府から取り付けた。出国前に米国側とこのような内容を事前合意したチョ・ヒョン外交部長官は、同日米ワシントンに到着した後、マルコ・ルビオ米国務長官らと会談し、これを正式な合意にするものとみられる。
政府は交渉過程で、彼らの再入国が滞ればジョージア州エラベルに建設中のバッテリー工場(現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁)の完成が遅れるという点を強調したという。工事が遅れると米国が工場誘致の時に広報した「地域に8000人の雇用」の創出もやはり引き延ばしになるという点で、米国にも良くない状況であることを重点的に訴えたのだ。バッテリー工場は工事工程率が97%で、10月末に完工を控えていた。
政府は「短期商用ビザ(B-1)やビザなし電子旅行許可(ESTA)を所持してバッテリー工場建設現場で働いたことは明白な違法」という米移民・関税執行局(ICE)などの主張に対しても、「正式就業ビザ(H-1B)が取得困難な状況で、工事期日を守るためにはやむを得なかった」という点を強調したという。キム・ヨンボム大統領室政策室長もこの日、韓国放送記者クラブ招請討論会で、「一部のESTAで就業した方々は、米国の立場からすると法違反事項があることも事実だが、幸いにも米ホワイトハウスなどで韓国側の立場を十分に理解し行政手続きを終えている」と述べた。
政府は「再入国の争点」が解消されたことを受け、拘禁者の「全員早期帰国」を急ぐ方針だ。外交部はこの日「10日の米国出国を目標に政府と関係企業が最善を尽くして準備している」と述べた。
李在明(イ・ジェミョン)大統領はこの日の国務会議で、今回の事態と関連し、「国民の安全の最終責任者として大きな責任感を感じる」としたうえで、「政府は類似した事例が繰り返されないよう、米国との緊密な協議を通じて合理的な制度改善を迅速に推進していく」と述べた。大統領室は、米ホワイトハウスと必要に応じて「作業部会」を立ち上げ、ビザ問題の短期的な解決策をまとめる計画だ。