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「死の損害賠償訴訟」防ぐ「黄色い封筒法」、20年かかって国会の壁を越えた=韓国

登録:2025-08-25 07:49 修正:2025-08-25 08:40
「より強力な」商法改正案、本会議に上程 
保守野党のフィリバスターを経て25日に採決 
野党「国民の力」のキム・ヒョンドン議員が23日、ソウル汝矣島の国会本会議場で、黄色い封筒法(労働組合および労働関係調整法2、3条改正)に対するフィリバスターを繰り広げている/聯合ニュース

 下請け企業の労働組合が元請けの事業主と労働条件について交渉できるようにするとともに、ストライキを行った労働者に対する報復の性格を帯びた損害賠償請求を制限する「黄色い封筒法(労働組合および労働関係調整法2、3条改正案)」が24日、野党「国民の力」の議員が採決をボイコットする中、国会本会議で可決された。国会は「黄色い封筒法」の処理直後、集中投票制の強化などが盛り込まれた商法改正案を上程した。国民の力は、法案処理を遅らせるための無制限討論(フィリバスター)に突入した。

 国会は24日午前、本会議を開催し、「黄色い封筒法」を在籍議員186、賛成183、反対3で可決した。採決を遅らせるため前日午前からフィリバスターをおこなっていた国民の力の議員たちはこの日午前、民主党の議員たちが投票によってフィリバスターを強制終了させたことを受け、法案採決をボイコットした。

 この日可決された黄色い封筒法は、使用者の範囲を「勤労契約締結の当事者でなくても、勤労条件を実質的かつ具体的に支配・決定できる地位にある者」へと拡大し、元請けの下請けとの労使交渉義務を規定した。労組が行いうるストライキの範囲を、「労働者の処遇」に加えてそれに影響を及ぼす「経営陣の主な決定」へと広げた。企業による損害賠償請求は違法・暴力行為に対してのみ例外的に認め、責任と賠償額も個人の役割や経済的状況などを考慮して大きく制限した。この日の本会議で可決された同法は、公布の6カ月後に施行される。

 本会議で可決された「黄色い封筒法」は、長きにわたって保守政界と財界の反発の中で提出と廃棄を繰り返してきた法案だ。前政権時代には2023年11月と2024年8月の2回にわたり本会議で可決されたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領による拒否権行使でいずれも廃案となっている。

 同法の可決直後、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は国会本庁前の階段で記者会見を行い、「働く労働者は誰でも団結し、使用者と交渉する権利がある」として、「この単純で明解な真実を20年かかって法として刻み込んだ」と評価した。一方、韓国経営者総協会などの財界6団体は声明で「黄色い封筒法の可決に遺憾の意を表す」として、「法律上(拡大された)使用者が誰なのか、争議対象となる経営上の決定がどこまでなのかが不明確なため、労使間の法的紛争が発生せざるを得ない」と主張した。

 「黄色い封筒法」の国会可決直後、2兆ウォン(約2120億円)以上の資産を持つ企業に集中投票制の実施を義務付ける商法改正案も本会議に上程された。商法改正案も同様に、フィリバスターを経て25日午前に採決される見通しだ。

キム・チェウン、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1214906.html韓国語原文入力:2025-08-24 18:34
訳D.K

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