機械への挟まれ事故、過労などで労働者の死亡事故が相次いで発生したSPCグループが、事故の原因と指摘される長時間の夜間労働の廃止を決めた。25日に李在明(イ・ジェミョン)大統領が京畿道始興(シフン)にあるSPC三立の始華(シファ)工場を訪ね、現場懇談会を開いてからわずか2日でだ。
SPCグループは27日、「生産職の夜勤を8時間以内に制限して長時間の夜間労働をなくす」と表明した。大統領の呼びかけにより始華工場で25日に行われた現場懇談会で、李大統領は労働者の夜間労働と労働の強度の問題を指摘。これを受けてSPCグループは、「厳しく認識し、代表取締役の協議体である『SPCコミティー』を27日に緊急開催して生産システムの全面改革に取り組んだ」と述べた。
SPCグループの関係者は「8時間を超過する夜勤の廃止のために人材の拡充、生産品目および生産量の調整、ラインの再編など、全般的な生産構造を完全に変える計画」だとして、「各社で実行策を立て、10月1日から全面的に実施する」と説明した。
それに向けて、製品の特性上、必要不可欠な品目以外は夜間生産をできる限り無くし、工場の稼動時間を短縮することとした。昼間の労働時間も徐々に減らし、長時間勤務による疲労の蓄積、集中力の低下、事故のリスクなどを事前に遮断するとの方針だ。
SPCグループは今回の勤務制改編が安定するよう、労働組合と協議を続けていくとともに、転換の過程における混乱を最小化するための研修とマニュアル整備も共同で推進してくことを決めた。勤務制改編によって労働者の賃金が減少するという懸念については、「労働組合と緊密に協議し、労働者の安全と処遇をバランスよく満たせるよう、合理的で実効性のある代案を作る予定」だとSPCの関係者は述べた。
SPCグループの系列会社の工場では、労働者の死亡事故が相次いでいる。2022年にはソース配合機(かくはん機)に、2023年には生地こね機に労働者が挟まれて死亡する事故が発生。ホ・ヨンイン会長は2022年に国民に対して謝罪した際、安全管理に1千億ウォンを投資することを約束しているが、今年5月には機械に潤滑油を差していた50代の労働者がまたも挟まれて死亡している。
工場を訪れた李在明大統領は「同じ現場で同じかたちで同じ事故が繰り返されるのは問題がある」として、深夜の長時間労働が労災の原因だと指摘した。実際に、6月にSPCが国会に提出した「安全経営革新方策報告書」によると、4月現在で2組2交代勤務を実施中の労働者の割合は、(系列会社の)シャニーで34.4%、パリクロワッサンで58.5%、SPLで66.2%にのぼっていた。