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李大統領「ソブリンAI開発が無駄だという考えは非常に危険」

登録:2025-06-21 06:49 修正:2025-06-21 08:27
「『ベトナムのコメがあるのになぜ農業をするのか』と言うのと同じ」
李在明大統領(中央)が20日、蔚山展示コンベンションセンターで開かれた「大韓民国AI高速道路、蔚山AIデータセンター発足式」に出席している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 「ChatGPTがあるのにソブリンAIをなぜ開発するのか、無駄だと言われています。これは、実は『ベトナムでコメが多く生産されているのに、なんで農業を行うのか。輸入すれば良いのに』と言うのと同じです。それがどれほど危険な考えなのか分かっていないのです」

 李在明(イ・ジェミョン)大統領は20日、「AIデータセンター」発足式が開かれた蔚山(ウルサン)展示コンベンションセンターで、人工知能(AI)業界関係者たちと会い、もどかしい胸の内を語った。「ソブリンAI」とは、米国が主導するAIのエコシステムの中で技術主権を強調する一種の表現であり、実際に国産技術を通じて国内のAIエコシステムを構築しようとする構想を示す言葉だ。李大統領は大統領選挙前から「韓国型のChatGPT」、「みんなのAI」を約束してきたが、これについて「国民の力」などから「無料のChatGPTがあるのに、なぜ国産のChatGPTを作る必要があるのか」という批判を受けていた。

 この日、李大統領の蔚山訪問は就任後初めての産業現場訪問で、「AI3大国」の公約履行に向けた最初の一歩でもある。蔚山AIデータセンターはSKグループとアマゾンウェブサービス(AWS)が数兆ウォンを投資して建設する超大型プロジェクトだ。この日開かれた発足式前の業界懇談会には、SKのチェ・テウォン会長とカカオのチョン・シナ代表取締役、サムスンSDSのイ・ジュンヒ代表取締役、ピューリオAIのペク・ジュンホ代表取締役、韓国AIソフトウェア協会のチョ・ジュンヒ会長、ネイバークラウドのキム・ユウォン代表など、AI業界を代表する企業の関係者らが出席した。この場で李大統領は「蔚山AIデータセンターの誘致は今後、大韓民国の先端技術産業が首都圏だけでなく地方でも可能であることを示す模範事例になりうる」と期待を示した。

 李大統領に会ったAI業界の関係者らは、口をそろえて民官協力の必要性を強調した。チェ・テウォン会長は李大統領に改まって5つの提案を行った。企業やスタートアップ、研究機関、小商工人などがAIインフラを安く簡単に使えるように、政府のAIバウチャー事業を拡大▽5年内に2万社のAIスタートアップ育成に向けたファンド造り▽政府がAIの積極的需要者になるAI市場の形成▽小中高におけるAI必須科目化など国家レベルの人材育成の取り組み▽蔚山AI特区指定などだ。

 キム・ユウォン代表は「なぜソブリンAIを国家戦略産業にしなければならないのか、どのように大韓民国の次世代輸出産業になれるのかを説明したい」として、ネイバーがサウジ、タイ、モロッコなどと共にこれらの国々のソブリンAIを構築している状況を説明した。キム代表は「全世界で各国がAI技術拡散に加え、自国の技術で自国が統制できるソブリンAIを構築することを目指している。首脳会談や二国間対話でソブリンAIが韓国の戦略産業として紹介され、民間企業が関連の海外市場を開拓できるよう、政府が強い橋脚の役割をしてほしい」と述べた。チョ・ジュンヒ会長もやはり「韓国型ChatGPT」の必要性に言及し、「ネイバークラウドのソブリンAI戦略は本当に立派だと思う。政府も参加してくれれば産業に大きく役立つだろう」と述べた。

 李大統領は懇談会後に行われた発足式での激励の辞で「京釜高速道路が大韓民国の産業化の成功を導いたように、AIデータセンター建設を皮切りに、果敢な税制優遇、規制革新を通じて民間の投資を促進し、大韓民国のAI大転換の成功を導くAI時代の高速道路を構築する」と述べた。

オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/1203920.html韓国語原文入力: 2025-06-20 17:45
訳H.J

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