李在明(イ・ジェミョン)大統領は、北朝鮮向け拡声器放送とビラ散布を中止させたことに続き、南北対話チャンネルの復旧を目指すというメッセージを発表した。緊張を高めず、平和的共存で対北朝鮮関係を安定的に管理するという意志を持続的に示したものと言える。
李大統領は6・15南北共同宣言25周年を迎えた15日、フェイスブックへの投稿で、「中断された南北対話チャンネルから速やかに復旧し、危機管理体系を復元していく」と綴った。李大統領は「平和が揺らぐと、経済と安全保障はもちろん、国民の日常までも脅かされるという事実を私たちは歴史を通じて学んだ」とし、「『朝鮮半島リスク』を『朝鮮半島プレミアム』に替え、南北双方が共生できる未来を共に切り開いていかなければならない」と強調した。
これに先立ち、李大統領は10日の国務会議で、南北境界地域の住民の日常と安全を脅かし、朝鮮半島の軍事的緊張を高める可能性がある対北朝鮮ビラ散布を止めるための具体的な対応策などを設けるよう指示し、11日には北朝鮮向け拡声器放送の中止を指示した。また、13日午後には、南北境界地域の住民たちと会って、対北朝鮮ビラ散布を厳罰に処すると重ねて強調した。にもかかわらず14日、仁川市江華郡(インチョンシ・カンファグン)と京畿道金浦市(キムポシ)一帯で、民間団体が北朝鮮側に送ったと推定されるビラを載せた風船3個が発見されたことを受け、李大統領はビラ散布を強行した団体と個人に対し、関連法令違反の判断によって厳重措置するよう指示した。
李大統領の指示により、警察は15日、航空安全法違反の疑いでビラ散布の主体などに対する捜査に着手し、2023年9月に憲法裁判所のいわゆる「対北ビラ散布禁止法」の違憲決定が下されてからは中断していた南北境界地域への警察の投入も再開した。また、政府は16日に統一部主管で関連省庁会議を開き、処罰を含めた総合対策を議論する計画だ。
李大統領はひとまず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代に取られたこのような対北朝鮮強硬措置を速やかに中止することで、南北間の偶発的衝突を防止し、境界地域の住民の日常を回復させることに焦点を合わせている。より根本的な関係改善問題は、北朝鮮の反応を見ながら漸進的に進める構えだ。大統領室関係者は15日、「今念頭に置いているのは、南北間での過度な緊張と対決を避けるべきということだ」とし、「安全保障態勢に否定的な影響を大きく及ぼさない範囲内で、緊張を緩和し、信頼を構築し、相互呼応できるイシューがあれば、引き続き進めていく方針だ」と述べた。
専門家らも、北朝鮮が対北朝鮮ビラと拡声器放送の中止を受けて「同時中止」に踏み切ったのとは違って、政府の対話提案に直ちに応じる可能性は低いとみている。統一研究院のホン・ミン先任研究委員は「北朝鮮が南北関係を『敵対的二国』と規定したため、南北対話チャンネルや9・19軍事合意の復元提案に応じる可能性は、当分は高くないだろう」と語った。その一方で「李在明政権が対話チャンネルの復元などを急ぐよりは、北朝鮮に対して敵対的意思がなく、対話を通じて問題を解決でき、平和的に共存できるというメッセージを絶えず重ねて発しながら、慎重に進むことが望ましい」と話した。