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「ロシア、移動式防空システムと電子戦システム供与…北朝鮮、砲弾900万発移転」

登録:2025-05-30 06:42 修正:2025-05-30 07:30
韓米日など11カ国が参加した対北朝鮮制裁監視チームの初報告書 
朝ロ軍事協力の現況を比較的詳細に公開
北朝鮮の金正恩国務委員長が昨年6月19日、平壌の錦繍山迎賓館で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と28年ぶりに同盟関係を復元するという電撃的な条約を結んだ後、記念撮影をしている=平壌/タス・聯合ニュース

 北朝鮮が昨年、ロシアに砲弾約900万発と弾道ミサイル100発以上を供与し、ロシアはパーンツィリ移動式防空システム、電子戦システム、電波かく乱装置などを提供したことが明らかになった。

 韓米日など西側11カ国が国際社会の対北朝鮮制裁履行を支援するために構成した多国籍制裁モニタリングチーム(MSMT)が29日、対北朝鮮制裁違反事例を集めて発刊した初の報告書は、朝ロ軍事協力の比較的詳細な現況を示している。MSMTは、ロシアの拒否権行使で活動が止まった国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委傘下の専門家パネルに代わって、対北朝鮮制裁履行を監視するために昨年10月に発足した。MSMTは今回出した初めての報告書で、朝ロの相互兵器移転と北朝鮮軍のロシア派兵をはじめ、北朝鮮への精製油の超過供給と北朝鮮の労働者派遣、朝ロ金融取引など、安保理制裁に違反した朝ロ軍事協力の実状を詳しく公開した。

 同報告書は、北朝鮮が2023年9月からロシアにコンテナ2万個以上の砲弾と関連物資を供与したと指摘した。牽引榴弾砲D-20・D-30と榴弾砲M-30・M-46、カノン砲D-74などに使われる82ミリ、122ミリ、130ミリ、152ミリ、170ミリの砲弾などだが、昨年だけで約900万発の砲弾・放射砲弾が移転されたことが把握された。ロシアの貨物船で49回にわたり移転が行われ、その後、鉄道を通じてロシア極東港から中西部の弾薬庫に移動されたという。昨年は北朝鮮製の170ミリ自走砲と240ミリ放射砲などを含め3個旅団が使用する分量である200台以上の重砲が移転された。この他にも、弾道ミサイル100機以上、対戦車ミサイルおよび対戦車ロケットなどがロシアに供与された。

 報告書では、ロシアが北朝鮮に供与した兵器体系も詳細に把握された。昨年11月以降、ロシアが北朝鮮に短距離防空システム、電子戦システム、電波かく乱装置などを供与し、使用法を伝授したと明らかにした。特に、少なくとも1台のパーンツィリ(ロシアの移動式防空システム)級戦闘車両を北朝鮮に供与したうえ、北朝鮮の弾道ミサイルデータのフィードバックを提供し、誘導性能改良も支援したと報告書は公開した。

 また、北朝鮮がウクライナ戦争支援のために昨年1万1千人以上の兵力をロシアに送ったのに続き、最近3千人を追加で派兵し、派兵された北朝鮮軍はロシアから砲兵、ドローン対応、基本歩兵作戦などの訓練を受けたと指摘した。また、北朝鮮からロシアへの兵器運送に活用された船舶・航空機の情報と制裁の回避に加担した助力者個人と団体も明示した。

 この他にも、昨年北朝鮮はロシアに8千人の労働者を派遣し、今年上半期に数千人を追加で建設・賃加工業・情報技術(IT)・医療分野などに投入する計画だと報告書で明らかになった。具体的に昨年12月から今年2月までの間に、北朝鮮労働者481人(建設198人・繊維283人)がロシアに派遣されたと指摘した。

 韓国外交部は「北朝鮮とロシアの間で移転された具体的な兵器体系と供与の時期、数量、移動経路および手段などを記述することで、これまで推測と情況だけだった北朝鮮の兵器供与の内幕を具体的に明らかにしたことに意味がある」と評価した。外交部当局者は、最初の報告書が朝ロ軍事協力に焦点を合わせた理由について、「国連の対北朝鮮制裁決議違反が朝ロの軍事協力で最も露骨に発生しており、これを扱う必要があることで参加国の見解が一致したため」と説明した。報告書はMSMT参加国が提供した情報を基に作成され、民間研究機関の情報・分析も一部引用した。

 外交部は、今回の報告書が「対北朝鮮制裁違反および回避活動に対する国際社会の監視網は避けられないという点を明確に示した」とし、「朝ロ軍事協力の不法性と不当性に対して国際社会の注意を喚起し、警戒心を高めるのに貢献するだろう」と評価した。

 MSMTは今後も北朝鮮制裁違反事項を指摘する報告書を継続に発行する予定だ。MSMTには韓国、米国、日本、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダが参加している。これら11カ国は共同声明で「我々は国連安保理の対北朝鮮制裁決議履行を監視し、続いている制裁違反および回避の試みに関する警戒心を高めるために引き続き努力する」と強調した。さらに「北朝鮮が有意味な外交的関与に乗り出すことと、すべての国が北朝鮮の持続的な脅威と安保理決議違反を容易にする者に対抗し、国際平和と安全保障を維持するための国際的努力に参加することを求める」と呼びかけた。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1200207.html韓国語原文入力:2025-05-3000:52
訳H.J

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