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出国禁止になった韓国の「非常戒厳国務会議」出席者ら、誰が嘘をついているのか

登録:2025-05-28 06:30 修正:2025-05-28 08:39
警察捜査の焦点は戒厳関連文書の配布・受領の過程
ハン・ドクス大統領権限代行首相とチェ・サンモク経済副首相が4月16日、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎で補正予算案を審議するための臨時国務会議を始める前に、国民儀礼を行っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 非常戒厳当日の大統領室の防犯カメラ(CCTV)映像で、国務会議の出席者らが虚偽の供述をした情況が明らかになり、韓国警察は関連捜査に拍車をかけている。

 警察が出国を禁止し、再び呼び出して取り調べを行ったハン・ドクス前首相、チェ・サンモク前経済副首相、イ・サンミン前行政安全部長官には、昨年12月3日に戒厳宣言前の国務会議に出席したという共通点がある。彼らに対する警察の捜査は、戒厳関連文書の配布と受領の過程などに焦点が当てられるものとみられる。

 戒厳関連文書をめぐる関係者たちの供述には食い違う点が多い。キム・ヨンヒョン前国防部長官は1月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の弾劾裁判で、戒厳関連文書をハン前首相、チェ前副首相、イ前長官、チョ・テヨル外交部長官などに渡したと主張したが、このうち文書を受け取ったことを最初から認めた国務委員はチェ前首相とチョ長官だけだ。

 ハン前首相は昨年12月、国会で「戒厳に関するいかなる指示や書類も受け取ったことがない」と述べたが、それから2カ月後に行われた国会の聴聞会では「戒厳解除の国務会議を終えて事務室に出勤したとき、(戒厳宣言文が) 洋服の後ろポケットにあるのに気付いた」とし、前言を翻した。非常戒厳当日、ホ・ソッコン消防庁長に「報道機関の電気・水の供給断絶への協力を要請」したイ前長官は、1月の尹前大統領の弾劾裁判で「大統領室で消防庁に電気・水の供給断絶(の協力を要請する)内容が書かれたメモを遠くから見た」とし、尹前大統領から報道機関の断電・断水を直接指示されたという疑惑を否定している。

 戒厳文書を受け取ったという国務委員たちも当時の状況に対する明確な陳述を避けている。チェ前副首相は尹前大統領が自分の名前を呼び、「資料(非常立法機構の設置などの内容が書かれた文書)を参考にしてくれ」と述べ、「隣の誰か」から文書を渡されて受け取ったが、「伏せておいて見ていない」と主張してきた。チョ長官も戒厳関連指示が含まれた文書を受け取ったが、「在外公館」という単語以外に他の内容を覚えておらず、(会議室から)持ち出してもいないと述べた。

 戒厳宣言に反対した国務委員の名簿も依然として不明だ。行政安全部が公開した「非常戒厳宣布国務会議」関連の大統領室資料によると、戒厳宣布前の国務会議は12月3日午後10時17分に開始して22分に終了しており、発言の要旨まとめは作成されなかった。尹前大統領の控訴状にはハン前首相、チェ前副首相、チョ長官など一部の国務委員が大統領執務室に入って戒厳宣言を引きとめたとされているが、他の国務委員の行動については言及がない。

 警察が確保した大統領室の映像を通じて、非常戒厳の後続措置文書を受け取った国務委員が追加で確認される可能性もある。現在、実物として残っている非常戒厳の後続措置文書はチェ前副首相が受け取った1枚のみだが、その文書の下段にはページ数のシリアル番号と推定される数字の「8」が印刷されている。同文書は少なくとも8人に渡された可能性が高いということだ。現在まで同文書を受け取ったと認めた国務委員はチェ前副首相とチョ長官の2人だけだ。非常戒厳宣言前、ソウル三清洞の安全家屋で尹前大統領から指示文書を受け取ったというチョ・ジホ警察庁長とキム・ボンシク前ソウル警察庁長を含めても、同文書の受領者は4人に過ぎない。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1199658.html韓国語原文入力:2025-05-27 21:20
訳H.J

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