大韓民国政府にベトナム戦争での被害の補償と真実究明を求めている2人の被害生存者が6月に訪韓し、「ベトナム戦争真実究明法案」(仮称)の提出について意見を交わす。
韓ベ平和財団(カン・ウイル理事長)は29日、「大韓民国政府を相手取って国家賠償訴訟を起こし、一審と控訴審で勝訴したフォンニィ出身のグエン・ティ・タンさん(65)と、真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委)に真実究明を申請して却下され、現在も行政訴訟中のもう1人のグエン・ティ・タンさん(68)が、財団の招きで6月17日から1週間の予定で韓国を訪問する」と発表した。同財団のクォン・ヒョヌ事務処長は「ベトナム戦争終戦50年を迎え、被害者の真相究明への意志と要求を韓国の政府と社会に改めて伝えるとともに、国会に関連法案が提出され、推進されるようにすることが訪問目的だ」と明らかにした。
フォンニィ村のグエンさんは現在、韓国政府が上告したため最高裁判決を待っている。「外国で発生した被害は調査範囲に当たらない」として真実和解委の調査開始が却下されたハミ村のグエンさんは、行政訴訟の一審で敗訴後、二審を闘っている。
2人はソウル汝矣島(ヨイド)の国会で、「ベトナム戦争真実究明法案」提出の記者会見を行うほか、国会議員との懇談会や討論会などに出席する。また、ベトナム戦争での民間人虐殺を扱ったドキュメンタリー「平和への道」の上映会および観客との対話(GV)、ソウル龍山(ヨンサン)の戦争記念館のダークツアープログラムなどに参加する。
2人が被害にあった事件を調査することを内容とする特別法案は第20代と第21代の国会にも提出されたが、制定には至っていない。法制定を推進してきた市民社会団体は現在、既存の法案に参戦軍人に関する内容を補足した「ベトナム戦争時期の大韓民国軍隊による民間人および派兵軍人に対する人権侵害などの真実究明法案(ベトナム戦争真実糾明法案)」を国会議員と共に検討している。
2人のグエンさんが幼い頃に故郷のフォンニィとハミで体験した事件は、ベトナム戦争期の韓国軍による民間人虐殺の中でも、韓国社会で最も知られているものだ。フォンニィ事件は1968年2月12日に、ハミ事件は12日後の2月24日に発生した。韓国の海兵隊が両村にやってきた後、公式にフォンニィでは74人、ハミでは135人の死者が発見されている。
被害にあった2人のグエンさんは、それぞれ5人の家族を失っており、腹部を銃で撃たれたり、左耳の聴力を失ったりした。フォンニィには韓国の市民団体の会員たちの手で建てられた慰霊碑がある。ハミは、2001年に韓国の参戦軍人団体の支援で建てられた慰霊碑に対して韓国政府が圧力を加え、碑文が隠されて物議を醸した。