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長生炭鉱の朝鮮人徴用犠牲者の遺骨、韓日の市民団体が共同で発掘調査

登録:2025-04-30 02:31 修正:2025-04-30 07:55
今月1~3日、山口県の長生炭鉱での第3回潜水調査の様子=長生炭鉱犠牲者帰郷推進団提供//ハンギョレ新聞社

 「日本の市民社会団体が真摯に遺骨を探しているのを見て、私たちも一緒にやるべきだと思いました。犠牲者が最も多い大邱(テグ)・慶尚北道で先んじてはじめたんです」

 今月24日、大邱市寿城区(スソング)のカフェでハンギョレの取材に応じた「長生炭鉱犠牲者帰郷推進団(推進団)」のシム・サンギュン団長は、このように述べた。最近、韓日の市民社会が80数年の時を経て日本の海底炭鉱「長生炭鉱」の水没事故犠牲者の遺骨発掘調査を開始し、注目を集めている。

 1942年2月3日午前9時30分ごろ、山口県宇部市の長生炭鉱に水が漏れて流れ込み、坑道が崩れて183人の労働者が水没し犠牲となる事故が発生した。うち136人の犠牲者は日本に連れて行かれた朝鮮人強制徴用労働者で、その半数を超える73人は大邱・慶尚北道の出身者だ。だが、事故時に炭鉱を経営していた会社が水没現場を土に埋めたため、事故のことも歴史の彼方へと埋もれてしまった。

 長生炭鉱水没事故が韓国に知られはじめたのは、日本の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(刻む会)」が犠牲者名簿を入手し、公開した1991年から。30年あまりにわたって真相究明作業をおこなってきた刻む会は昨年10月、市民の募金で重機を動員し、坑口を初めて確認した。炭鉱の崩壊から82年を経てのことだった。

今月1~3日の山口県の長生炭鉱の第3回潜水調査に先立ち、犠牲者の慰霊碑の前で黙とうが行われている=長生炭鉱犠牲者帰郷推進団提供//ハンギョレ新聞社

 坑口が確認されたことを受け、民間のダイバーを投入した遺体発掘調査もはじまった。シム団長は「1月の3回目の事故現場訪問で、発掘調査を見守りながら、韓国でも実質的な連帯が必要だと感じた。韓国も全国に支部を置く非営利団体を結成し、ファンディングなどによって発掘調査に合流することにした。強制徴用問題に関連し、韓日の市民社会の連帯を通じての問題解決の試みは、今回が初めてだろう」と話した。

 今月1~3日の刻む会による3回目の潜水調査では、韓国のダイバーが初めて投入された。その際、韓国のダイバーが新たな坑口を発見した。この時の調査では電線固定用の部品が一部発見されたが、残念ながら遺骨は見つからなかった。

 遺体発掘調査が目に見えるかたちになったことを受け、韓日両政府も反応を示している。日本の石破茂首相は今月7日、「そういうこと(遺骨収容)にどれだけかかるのか、国としてどういう支援を行うべきか…さらに政府の中で検討は致したい」と述べた。韓国の行政安全部も18日、長生炭鉱水没事故の遺族に対する遺伝子検査の計画を発表した。遺骨が発見された際に遺族の遺伝子と照合して身元を把握するためだ。

今月1~3日、山口県の長生炭鉱の3回目の潜水調査で、現地調査に取り組む長生炭鉱犠牲者帰郷推進団=長生炭鉱犠牲者帰郷推進団提供//ハンギョレ新聞社

 大邱・慶尚北道出身の犠牲者が多い理由は、今も明らかになっていない。長生炭鉱は日本人労働者が忌避する劣悪な環境であるため朝鮮人が多く、「朝鮮人炭鉱」としても知られていたという。朝鮮人労働者たちは釜山(プサン)から船で下関に渡り、長生炭鉱にたどり着いた。1942年の時点で計1258人の朝鮮人が動員されたと推定されるが、約66%に当たる831人が大邱・慶尚北道の出身者だった。シム団長は「地理的に釜山港とは慶尚南道の方が近いのに、動員された労働者は慶尚北道の出身者の方が多かった。正確な事実ではないが、現場では長生炭鉱の労働者供給担当者に慶尚北道の出身者が多かったのではないかという話が出ている」と説明した。

 推進団と刻む会は、6月18~19日に4回目の潜水調査を行う予定だ。両団体は、韓日両政府はもちろん、犠牲者が最も多い大邱市や慶尚北道も遺骨発掘調査を含む真相調査に責任を持って取り組むべきだと強調した。

 シム団長は「早期大統領選挙後に発足する政権は、戦争被害者問題に前向きに取り組むべきだ。今年は光復80年であり、韓日協定締結60年の年だ。1945年以降、韓米日軍事同盟ばかりが強化されてきた。今年は東北アジアを平和と共存の体制へと転換するモメンタムを作り出さなければならない」と述べた。

キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1194928.html韓国語原文入力:2025-04-29 17:51
訳D.K

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