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国会議長の「改憲」提案めぐり思惑分かれた韓国与野党…大統領選への影響は

登録:2025-04-08 06:47 修正:2025-04-08 08:59
共に民主党のイ・ジェミョン代表(中央)が7日午前、国会で開かれた最高委員会議で発言している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 ウ・ウォンシク国会議長の「早期大統領選挙と改憲国民投票の同時実施」の提案に対し、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が「今は(改憲より)内乱終息が優先」だと素早く立場を表明したことで、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領罷免と共に始まった「早期改憲」議論は弾みが付きにくくなった。

 イ代表は7日、国会で開かれた党最高委員会議で「まずは内乱の終息に集中してほしい」として、ウ議長の提案を事実上拒否する一方、「5・18光州(クァンジュ)民主化運動の精神と戒厳要件の強化などは、国民投票法が改正され現実的に可能になれば、すぐに処理できるだろう」と述べ、可能性を残した。「早期改憲」への余地を残したものの、権力構造の改編と大統領任期の調整という主な争点を排除したことから、「原則的な見解の表明」とみるべきという分析が多い。しかも5・18民主化運動精神を憲法前文に挿入するという改憲案は、弾劾政局を経て極右化した与党「国民の力」の今の雰囲気では、合意自体が容易ではない。火種は生かしながらも、「今は適期ではない」という点を強調したものといえる。

 イ代表が意見を表明する前から、民主党内ではウ議長の提案に対する批判が相次いだ。 国民投票法の改正と改憲特別委員会の構成、具体的な改憲案を用意する物理的な時間が足りないだけでなく、ややもすると「内乱勢力の審判」という大統領選挙の構図そのものが乱れる恐れがあるという懸念からだった。特に、憲法裁判所の判決前まで内乱と極右勢力を先頭に立って擁護してきた「国民の力」を、どうやって改憲という国家共同体の未来を論じる対話相手として認めることができるのかという不満の声があがった。

国民の力のクォン・ヨンセ非常対策委員長(中央)が7日午前、国会で開かれた非常対策委会議で発言している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 改憲に友好的でない世論調査の結果も「早期改憲不可論」を後押ししている。前日公開された韓国ギャラップとソウル経済新聞の世論調査(4~5日、全国有権者1012人、無線電話面接調査、信頼水準95%に標本誤差は±3.1ポイント、回答率9.5%)では、回答者の50%が次期大統領の任期を5年から3年に短縮する改憲に反対していることが分かった。賛成は39%、わからない・無回答は11%だった(中央選挙世論調査審議委員会ホームページを参照)。首都圏で初当選したある議員はこれについて「国民は改憲が権力配分になるのではないかと懸念しており、内乱勢力を改憲議論のパートナーとして認めることにも不信感が大きいため」だと語った。

 民主党では、国民の力が「時代的要求に応じなければならない」として、ウ議長の提案に積極的な反応を示したことにも、「政略」が介入しているのではないかという疑念が広がっている。「不動のトップ」であるイ・ジェミョン代表を、民主党内の非イ・ジェミョン派候補らと内側と外側から挟み撃ちにし、大統領選の局面で身動きの幅を狭めようとする思惑が絡んでいるとみているのだ。国民の力は今年2月に設置した党内改憲特別委員会を通じて、大統領4年重任制に重きを置いた改憲案を検討している。これには、大統領弾劾と罷免を経て守勢に追い込まれた党の状況を、早期改憲に賛成することで打開しようという思惑も働いているというのが党内外の大方の見解だ。

 このような全般的な状況から、ウ議長が口火を切った早期改憲論は、大統領選mp局面で大きな影響を及ぼすのは難しいとみられる。民主党のある重鎮議員は「候補たちが改憲ロードマップを大統領選公約に掲げ、2026年の地方選挙などまでに公約を守るという意志を示す線で終わるのではないかと思う」と話した。仁川大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は、「民主党がいま改憲を喜ぶはずがなく、国民の力も(内乱とのかかわりを否定する)アリバイ探しに必死になっている状況であり、利害関係と政治的思惑が違うため、改憲論の余地はないとみられる」と語った。

コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1191194.html韓国語原文入力:2025-04-07 23:48
訳H.J

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