最後まで態度は変わらなかった。
25日、憲法裁判所の弾劾審判に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、1万9000字近くに及ぶ最終陳述の大半を、非常戒厳の正当性を訴えるのと野党批判に使った。尹大統領は「12・3非常戒厳は過去の戒厳とは完全に異なるものだ。武力で国民を抑圧する戒厳ではなく、戒厳のかたちを借りた国民に対する訴え」だと主張した。また「野党」に48回も言及しつつ、巨大野党の議員たちが北朝鮮の指令を受けて行動していたという主張も展開した。
尹大統領は「2023年に摘発された民主労総スパイ団事件をみるだけでも、反国家勢力の実体をたやすく確認できる」とし、「彼らは北朝鮮の工作員と接触して直接指令を受け、軍事施設の情報などを北朝鮮に渡していた」と述べた。さらに「果ては、北朝鮮の指示に従って選挙に介入していたことも明らかになった。先の大統領選挙の直後には『大統領弾劾の火をつけよ』として、具体的な行動指令まで下されていた」とし、「2022年3月26日には『尹錫悦先制弾劾集会』が行われ、2024年12月初めまでに実に178回の大統領退陣弾劾集会が行われた。この集会には民主労総傘下の建設労組、言論労組などが参加し、巨大野党の議員も発言の舞台に立った。北朝鮮の指令どおりになったではないか」と述べた。尹大統領は「『今の世の中にスパイがどこにいるのか』と言う人もいる。しかしスパイはいなくなったのではなく、大韓民国の自由民主主義を破壊する体制転覆活動へといっそう進化している」と主張した。
尹大統領は、共に民主党は北朝鮮、中国、ロシアの側に立っているという主張も展開した。尹大統領は「巨大野党は重要な国防予算を削減し、韓国軍を無力化しようとしている」とし、「巨大野党は予算全体の0.65%を削ったと主張するが、その0.65%が重要なわけではない。まるで人の両目を奪って、体全体からせいぜい目玉を2つ奪っただけだと主張しているようなもの」だと述べた。
ソウル西部地裁で暴動を起こして拘束された青年たちに対しては「申し訳ない」とも述べた。尹大統領は「国と国民のための戒厳だったが、その過程で大切な国民のみなさまに混乱と不便をおかけしたことを心より申し訳なく思う」として、「私の拘束過程で起きたことで、厳しい状況に直面している青年たちもいる。正しいか間違っているかの前に、非常に心が痛み、申し訳ない」と述べた。
尹大統領は「弾劾棄却後」についての「構想」も展開した。尹大統領は「職務に復帰することになったら、87体制(1987年の民主化以降の政治体制)を私たちの体に合わせ、未来世代にきちんとした国を譲り渡すための改憲と政治改革の推進に任期の後半は集中しようと思う」とし、「私はすでに大統領職をはじめた時から、任期の中盤以降は改憲や選挙制度などの政治改革を推進するという計画を持っていた」と語った。さらに尹大統領は、「残りの任期にこだわらず、改憲と政治改革を最後の使命と考え、体制改善に最善を尽くすつもり」だとして、「国民の意思を結集して速やかに改憲を推進し、韓国社会の変化にうまく合致する憲法と政治構造を誕生させることに身命を賭す」と述べた。これまで改憲について特に言及していなかった尹大統領が、自身の弾劾を防ぐために憲法裁判所で任期短縮改憲を語り出した。